第28話
すみません、仕事が立て込んできた為、1日1話投稿の日が出てきそうです。
「チッ! あの根暗野郎が参戦してくるとはな……」
ナホーティア達とワイバーンが戦っている場所から五十メートル程離れた茂みに、フェリーネが潜んでいた。
フェリーネは召喚のスキルを持っていた。自らより実力の劣る魔物を召喚出来るスキルである。今回のワイバーンも、以前ケイブ達を襲ったリザードマンも、実はフェリーネが召喚した魔物であった。
ルーラルヴォーラ家とリハイヘヴン家は敵対している。元々ナホーティアは排除する予定であった。
さらに、闘技大会でケイブから受けた屈辱の腹いせに、ナホーティアを襲う計画を立てていたのだった。
魔物を使役し襲わせることで偶然の事故を装う。自らには一切の嫌疑がかからない。
「寄子達が上手くケイブを足止め出来たのは計画通りだったが……仕方ない、ボルガドフにも消えてもらうとするか」
フェリーネが取り出したのは虹色に輝く弓矢である。ルーラルヴォーラ家に代々伝わる神器。攻撃対象のスキルを一切無効化出来る逸品だ。
ボルガドフが暴れ回った結果、ワイバーンは残り三匹に減ってしまっている。これ以上の邪魔はさせない。
フェリーネは歪んだ笑みを口元に浮かべつつ、弓を引いた。
「ぐうっっ?!」
ボルガドフにとって、あり得るはずのない事態が起こっている。硬質化のスキルを持つ自分は、ほぼ全ての物理攻撃を無効化出来るはず。そう思っていた。しかし、腹に虹色に輝く矢が貫通している。
「これは神器か? もしや……」
神器を所有している者は限られている。それこそ、七列卿のように高位の貴族に限られるのだ。
ボルガドフは前のめるように倒れた。
「ボルガドフくんっ!」
しかし、三人にボルガドフを助ける余裕は無い。
リミュ、リーフェも全身傷だらけである。ワイバーン達が止めを刺すべく襲いかかる。
ナホーティアも既に満身創痍である。聖女のスキルは攻撃には向かない。皆を助けたくても、どうすることも出来ない。
「ナホーティア、お前だけでも逃げるんだ!」
「いくら分析しても勝ち目がない……ナホーティア、早くっ!」
「そんな、そんなこと出来ないよ! いやだーっ!!」
ナホーティアは泣きながら石をワイバーン達に投げつけるが、ダメージを与えられるはずもない。
ワイバーン達のしつこい攻撃を受け、リミュ、リーフェも次第に動くことすら出来なくなっていく。
ナホーティアの視界が涙で溢れていく。
「やめてぇ……やめてよーーっ!!!」
突如として、妖気がナホーティアの身体から濁流のように溢れてくる。髪は逆立ち、眼からは血の涙を流し始めた。
皆を助けたい。その必死な思いが、ナホーティアの狂化スキルの封印を解いたのだった。
醸し出す雰囲気が明らかにナホーティアの物ではない。尋常ではないプレッシャーが放たれている。
ワイバーン達の目線がナホーティアに釘付けとなり、様子を伺っている。明らかに格上の存在だと認識しているかのようだ。
「ゆる……せない、ころしてやるっ!」
次の瞬間、ナホーティアは素手でワイバーンの身体を引き裂いていた。
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