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第27話

本日第一回目の投稿です!

「ううっ……俺は、一体どうしたんだ?」


 いつの間にか俺は気を失っていたらしい。目を開けると、ナホーティアの優しげな瞳と目が合った。ずっと膝枕をしてくれていたようだ。


「大丈夫? 鬼人から人間の身体に戻った途端、気を失ってたんだよ」


「そっか……悪いな」


 ナホーティアは俺の目をじっと見つめながら、ぎゅっと手を握ってきた。


「わたしは……ケイブ君がおっぱい怪人になったとしても……ずっとずっと、味方だからねっ!」


「あ、ありがとう……」


 どうやら、俺はおっぱい星人からおっぱい怪人にレベルアップしてしまったらしい。


『かしこまりました。マスターのステータスをおっぱい怪人に修正致します』


 整理整頓スキルよ、余計な事はせんでいい。


 とは言え、鬼人化した時は知力が百分の一になってしまう事は、予め体験出来て良かった。あれほど理性が効かなくなるとは正直思わなかった。鬼人化はいざという時の切り札に取って置くべきだな。


「もう回復したかな? もし疲れちゃったのなら、まだ膝枕しようか? もしくは……ケイブくんが望むなら、わたしのおっぱいで良ければっ……」


 ナホーティアが、恥じらいと憐れみの目で俺を見てくる。


「い、いや、そこまで餓えてないから!」


 まあ、鬼人化した時の俺を見たら、おっぱいにかなり餓えた男だと思うだろうな。


 それにしても、やっぱりナホーティアは聖女だ。優しさが半端じゃない。ちょっと天然も入ってるが。


「じゃあ、一緒に帰ろっか♪ もう授業も終わってるから」


 ナホーティアの膝枕から離れ、教室へと向かう。リミュとリーフェが俺達を待っていた。


「お疲れさま。おっぱい怪人さん」


「鬼人化というより、野獣化だったわね……」


「おっぱい怪人でもないし、野獣でもねえよ! ただ、ちょっとだけ素が出ちゃっただけで……」


「さあ、ナホーティア、帰りましょ!」


 二人はナホーティアを連れて俺より先に帰ろうとする。完全に信用を失ったようだ。


「お、おい、ちょっと待てよ……」


 追いかけようとしたところで、三人組の女子に声をかけられた。


「あの、ケイブさん、ちょっと今お時間よろしいですか?」


「私達、ケイブさんのファンなんです! 握手して下さい!」


 よく見ると、今日欠席していたはずのフェリーネの寄子達である。あれだけ俺達の事を嫌っていたはずだが。しかし、女の子にチヤホヤされて悪い気はしない。


「いや~どうもどうも! フェリーネもかなり健闘してたけどね!」


「闘技大会の時の武勇伝を詳しく聞かせて下さいっ」


「かしこまった! まず、戦いとは、日常から既に始まっているんだ……」


「きゃーっ、カッコイイ!」


 こんなやり取りを続けているうちに、ナホーティア達は先に帰ってしまった。


 ナホーティアは二人に手を牽かれながらも、俺のことが気になっているようだったが。


 まあ、すぐに追いつけるだろう。



ーーーーーー



 外は雨が降り出した。先ほどまでの晴天が嘘のように。黒い雲が湧き、当分晴れ間は見えそうもない。


 遠くでは雷鳴が轟く。いずれ雨もさらにひどくなるだろう。太陽は影を潜め昼とは思えない暗さが辺りを包む。


 俺達Aクラスが実戦訓練を行う場所は、王都から少し離れている。ナホーティア達は馬車で王都へと向かっていた。


「グギャアアアアッ!」


 突如、魔物の雄叫びが聞こえたかと思うと、馬車は横転しナホーティア達は外へ放り出された。


「きゃあっ!」


 ナホーティアは全身を強く打ってしまった。痛みに耐えつつ、やっとの思いで立ち上がる。


「ナホーティア、大丈夫か……?」


 リミュとリーフェもそれぞれひどいダメージを受けているようだ。しかし、目の前に広がる光景を見た三人は、驚きの余り一瞬痛みを忘れた。


「どうして、こんなところにワイバーンが……?」


 ワイバーンは上級の冒険者でも倒すのに手こずると言われる翼竜である。普段はダンジョンや山奥の縄張りにしか姿を見せない。しかし、そのワイバーンが十匹程ナホーティア達を取り囲んでいた。


「くそっ!」


「ウォータースプラッシュ!」


 リミュがワイバーン達に切り込み、リーフェは水魔法で援護をする。リミュは怪力で大剣を振り回すが、ワイバーンにはなかなか傷がつかない。上級冒険者でも勝てない魔物に、学園の一年生が敵うはずもなかった。


「きゃあっっっ!」


「リミュ! 大丈夫か?!」


 リミュがワイバーンの攻撃を受けて吹き飛ばされた。ここぞとばかりにワイバーン達がリミュに止めを刺そうとする。


「やめてぇっっ!」


 ワイバーン達がリミュを食らおうとしたその刹那、人影が乱入した。たちまちのうちに二~三匹を切り殺す手際に、三人は圧倒された。


 彼が浴びた返り血と雨が、稲光を受けて光った。筋骨隆々とした逞しい肉体が翼竜達の前に立ちはだかる。



「ボルガドフ・リーヴェンレイル。親友の大切な人は、僕が必ず護ってみせる……!」



 学園生最強と噂された男が、静かに名乗りを上げた。

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