第19話
昨日と今日、ブックマークを頂きました皆様、ありがとうございます。
皆様のブックマークと評価が、1日2回更新の励みとなっております!
闘技大会の当日。スタジアムは何万人という観客で埋め尽くされた。新入生による闘技大会は、王都でも人気のイベントらしい。
試合はトーナメント方式で、4回勝ち抜けば優勝となる。俺が優勝すればリハイヘヴン家の名も上がり、ナホーティアも喜んでくれることだろう。
初戦は白い髪に白い肌、赤い眼をした兎人族、フェイラビット家のサリアが相手となった。いわば亜人だが、まれに亜人の貴族もいるのである。Bクラスなのでかなり上位の貴族だ。
サリアが試合前に挨拶をしてきた。
「ケイブさん、よろしくお願いします。正々堂々と良い試合をしましょう♪」
ニコニコと愛想が良く礼儀正しい。ウサギの耳がついており、それなりに身体の凹凸もあってとても魅力的だ。サリアはフェイラビット領の象徴的存在であり、領民からの人気も高い。次期当主になることも決まっているようだ。
「ああ、よろしく! 良い試合にしような」
とても良い子だ。今後とも仲良くしておきたいな。
ーーーーーー
新入生の闘技大会は国王も観覧することになっており、スタジアム一番上の特等席に座っている。大柄でどっしりとした体格だ。豊かな白髭を蓄え、威厳に溢れている。
「これより、ケイブ・クオーツカスとサリア・フェイラビットの試合を行う」
審判から俺の名前が出ると観衆から嘲笑が響いた。整理整頓スキルの持ち主ということで馬鹿にしているのだろう。
「とっとと棄権しちまえー!」
「リハイヘヴン家の草むしりでもしてろ!」
凄い野次が飛んでいる。俺は王都ではかなりの有名人のようだ。悪い意味で。
「ケイブさん、あんな野次に負けないで下さい! 全力を尽くせばきっと皆認めてくれますよ!」
サリアが励ましてくる。性格も良い子なのだろう。
「ああ、ありがとう。気にしてないから大丈夫だ」
「サリア様、がんばって下さい!」
「サリア様! 今日も素敵ですー!」
サリアの声援はとても多い。フェイラビット領の人間が多く観戦に来ているのだろう。
「ケイブくん、がんばってぇー!」
「負けたら承知しないわよ!」
「お坊っちゃま、ファイトですぅー♪」
ナホーティア達も応援をしてくれている。この戦い、絶対に負けるわけにはいかない。下馬評を覆して、汚名返上してみせる!
「試合、始め!」
「サリア・フェイラビット、参ります!」
「ケイブ・クオーツカス、行くぞ!」
貴族同士の戦いの前は、互いに名乗り合うのが礼儀だ。最近はそれを無視する輩も多いが。
兎人族は敏捷な動きに定評がある。サリアが持つ短剣から察するに、スピードで撹乱しつつ攻撃をしてくるタイプだと見た。
魔法は初動の早さが大切。相手が兎人族なら尚更だ。様子見を兼ねて、出の早い中距離攻撃を放つ。
「雷撃!!」
紫電の波がサリアを襲う。サリアは一瞬ギョッとした後ガードを展開。雷撃がぶつかり爆発音が轟いた。
「きゃあああああっ!!」
爆発による黒煙がスタジアムを覆った。サリアはBクラスの貴族。かなりの使い手であることが予想される。この程度では倒れないだろう。念の為、もう二発ほど雷撃を放っておく。
黒煙が晴れてきた。よく見るとサリアがペタンと座りこんでおり……なんと服や鎧が殆ど焼けてしまってほぼ丸裸の状態である。
「いやーーーーーーーんっ!」
サリアが泣きべそをかいて身体を隠す。
「勝負あり! 勝者はケイブ・クオーツカス!」
フェイラビット領の観客からは悲鳴が聞こえた。一方、スタジアムの男性からは特大の歓声が響いた。国王も身を乗り出してサリアを見つめている。
フェイラビット家のウサ耳がついた寄子の女子達が駆け寄り、サリアに上着をかける。サリアと寄子は皆、涙目で俺を睨んでいる……。
「ぐすっ、あなたのことは、絶対に許しません!」
「いや、ちょっと待ってくれ……」
フェイラビット家全体を敵に回してしまった瞬間だった。もちろんわざとではないが言い訳出来る状況ではない。フェイラビット家の象徴を公衆の面前で剥いてしまったのだ。
フェイラビット家の関係者と思われる観客が涙を流していたり、怒りの余り、物を床に叩きつけているのがちらほら目に入る……。
「ケイブくん、おめでとう」
ナホーティアは喜んでいたが、どこか言葉がぎこちない。リミュとリーフェに到っては、「お前わざとだろ?」という雰囲気が見え見えである。
「流石です、お坊っちゃま。相手の肌を傷つけずに服だけ燃やすとは。相当の技量が必要かと」
おいおいちょっと待て。キャロンが真剣な考察をしているがまるで見当外れである。
「ケイブよ、初戦突破おめでとう。国王から直々のお言葉を頂いておる。『見事であった』だそうじゃ」
シャンデルが国王の言葉を届けてくれた。サリアを裸にしたことではなく、戦い自体が見事だったと言ってるのだろう、多分。
ーーーーーー
気を取り直して第二回戦へ向かう。失った信頼は、己自身で取り戻すしかないのだ。
次の相手はアマゾネアス家の次期当主、ミーリアだ。サリアと同じくBクラスに所属している。
アマゾネアス家は代々女性が当主を務めている。剣士が多く誇り高い一族であることで有名だ。筋肉質だがメリハリのあるボディをしている。
「ケイブ、よろしく頼む。貴族の名に恥じない戦いをしよう」
「ああ、望むところだ」
ミーリアもアマゾネアス家らしく、高潔な性格のようだ。七列卿とは違い、Bクラスは良い奴が多いな。
スタジアムには前の試合より男性の観客がかなり増えていた。皆、何を期待しているのか……
そして国王は、スタジアム最上部の席から移動したようだ。観客席の一階、俺の真向かい即ちミーリアの真後ろの席に陣取っている。手には双眼鏡を握りしめて。何のつもりだろうか。
「これより、ケイブ・クオーツカスとミーリア・アマゾネアスの試合を行う」
「ミーリア様、勝って下さい!」
「ミーリア様! かっこいい!」
ミーリアへの声援がかなり大きい。やはり、アマゾネアス領の人間が多数観戦に来ているようだ。
「試合、始め!」
「ミーリア・アマゾネアス。この戦いを戦の神に捧げる」
「ケイブ・クオーツカス。じゃあ、俺はナホーティアに捧げるぜ!」
ミーリアが剣を構える姿は気品に溢れており、戦の女神を思わせる。実際に、アマゾネアス家では崇拝の対象になっている。
剣と盾を持っている所を見ると物理攻撃が主体のようだ。近づかれるとまずいので、中距離魔法を放つ。
「雷撃!!」
紫電の波がミーリアを襲う。ミーリアは一瞬ギョッとした後ガードを展開。雷撃がぶつかり爆発音が轟いた。
「きゃあああああっ!!」
爆発による黒煙がスタジアムを覆った。ミーリアはBクラスの貴族。かなりの使い手であることが予想される。この程度では倒れないだろう。念の為、もう五発ほど雷撃を放っておく。
黒煙が晴れてきた。よく見るとミーリアがペタンと座りこんでおり……なんと服や鎧が殆ど焼けてしまって半裸の状態である。
サリアの時よりは鎧が残っているのだが、鎧がある分逆にエロい。
「いやーーーーーーーんっ!」
ミーリアが泣きべそをかいて身体を隠す。
「勝負あり! 勝者はケイブ・クオーツカス!」
アマゾネアス領の観客からは悲鳴が聞こえた。一方、スタジアムの男性からは特大の歓声が再び響いた。国王はというと、立ち上がって双眼鏡を覗きこんでいる。国王とは一体……。
アマゾネアス家の寄子の女子達が駆け寄り、ミーリアに上着をかける。皆、涙目で俺を睨んでいる。
「ぐすっ、お前だけは絶対に許さん!私の誇りがっ、誇りがぁ……」
「いや、わざとじゃないんだ……」
アマゾネアス家全体を敵に回してしまった瞬間だった。サリアに続いて二度目ということもあり、釈明の余地は無い。神に捧げる誇り高き戦いで、アマゾネアス家の女神を裸にしてしまった。
ミーリアの両親とおぼしき観客が、肩を抱き合って涙を流していたり、剣を抜いて俺に向かおうとするのを、押し止められている者もいる。
「ケイブくん……ケイブくん……」
ナホーティアは俺の名前を繰り返しながら、壁に額を何度も打ち付けている。リミュとリーフェは俺を見る目が死んでいる。
「流石です、お坊っちゃま。鎧を部分的に燃やしつつも、素肌の大部分を衆目に晒すとは。相当の技量と痴性が必要かと」
キャロン、それは誉め言葉になってないぞ。
「ケイブよ、二回戦突破おめでとう。国王から直々のお言葉を頂いておる。『今回の方が、ワシ好みだ』だそうじゃ」
シャンデルが国王の言葉を届けてくれた。国王とは一体……。
俺は汚名返上どころか、更なる悪名を高めつつ準決勝へと駒を進めるのだった。
もしよろしければ!
・ブックマークへの追加
・画面下の「☆☆☆☆☆」から評価
をお願い出来ますととても励みになります♪




