↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/76

第19話

昨日と今日、ブックマークを頂きました皆様、ありがとうございます。


皆様のブックマークと評価が、1日2回更新の励みとなっております!


 闘技大会の当日。スタジアムは何万人という観客で埋め尽くされた。新入生による闘技大会は、王都でも人気のイベントらしい。


 試合はトーナメント方式で、4回勝ち抜けば優勝となる。俺が優勝すればリハイヘヴン家の名も上がり、ナホーティアも喜んでくれることだろう。


 初戦は白い髪に白い肌、赤い眼をした兎人族、フェイラビット家のサリアが相手となった。いわば亜人だが、まれに亜人の貴族もいるのである。Bクラスなのでかなり上位の貴族だ。


 サリアが試合前に挨拶をしてきた。


「ケイブさん、よろしくお願いします。正々堂々と良い試合をしましょう♪」


 ニコニコと愛想が良く礼儀正しい。ウサギの耳がついており、それなりに身体の凹凸もあってとても魅力的だ。サリアはフェイラビット領の象徴的存在であり、領民からの人気も高い。次期当主になることも決まっているようだ。


「ああ、よろしく! 良い試合にしような」


 とても良い子だ。今後とも仲良くしておきたいな。



ーーーーーー



 新入生の闘技大会は国王も観覧することになっており、スタジアム一番上の特等席に座っている。大柄でどっしりとした体格だ。豊かな白髭を蓄え、威厳に溢れている。


「これより、ケイブ・クオーツカスとサリア・フェイラビットの試合を行う」


 審判から俺の名前が出ると観衆から嘲笑が響いた。整理整頓スキルの持ち主ということで馬鹿にしているのだろう。


「とっとと棄権しちまえー!」


「リハイヘヴン家の草むしりでもしてろ!」


 凄い野次が飛んでいる。俺は王都ではかなりの有名人のようだ。悪い意味で。


「ケイブさん、あんな野次に負けないで下さい! 全力を尽くせばきっと皆認めてくれますよ!」


 サリアが励ましてくる。性格も良い子なのだろう。


「ああ、ありがとう。気にしてないから大丈夫だ」


「サリア様、がんばって下さい!」


「サリア様! 今日も素敵ですー!」


 サリアの声援はとても多い。フェイラビット領の人間が多く観戦に来ているのだろう。


「ケイブくん、がんばってぇー!」


「負けたら承知しないわよ!」


「お坊っちゃま、ファイトですぅー♪」


 ナホーティア達も応援をしてくれている。この戦い、絶対に負けるわけにはいかない。下馬評を覆して、汚名返上してみせる!


「試合、始め!」


「サリア・フェイラビット、参ります!」


「ケイブ・クオーツカス、行くぞ!」


 貴族同士の戦いの前は、互いに名乗り合うのが礼儀だ。最近はそれを無視する輩も多いが。


 兎人族は敏捷な動きに定評がある。サリアが持つ短剣から察するに、スピードで撹乱しつつ攻撃をしてくるタイプだと見た。


 魔法は初動の早さが大切。相手が兎人族なら尚更だ。様子見を兼ねて、出の早い中距離攻撃を放つ。


「雷撃!!」


 紫電の波がサリアを襲う。サリアは一瞬ギョッとした後ガードを展開。雷撃がぶつかり爆発音が轟いた。


「きゃあああああっ!!」


 爆発による黒煙がスタジアムを覆った。サリアはBクラスの貴族。かなりの使い手であることが予想される。この程度では倒れないだろう。念の為、もう二発ほど雷撃を放っておく。


 黒煙が晴れてきた。よく見るとサリアがペタンと座りこんでおり……なんと服や鎧が殆ど焼けてしまってほぼ丸裸の状態である。


「いやーーーーーーーんっ!」


 サリアが泣きべそをかいて身体を隠す。


「勝負あり! 勝者はケイブ・クオーツカス!」


 フェイラビット領の観客からは悲鳴が聞こえた。一方、スタジアムの男性からは特大の歓声が響いた。国王も身を乗り出してサリアを見つめている。


 フェイラビット家のウサ耳がついた寄子の女子達が駆け寄り、サリアに上着をかける。サリアと寄子は皆、涙目で俺を睨んでいる……。


「ぐすっ、あなたのことは、絶対に許しません!」


「いや、ちょっと待ってくれ……」


 フェイラビット家全体を敵に回してしまった瞬間だった。もちろんわざとではないが言い訳出来る状況ではない。フェイラビット家の象徴を公衆の面前で剥いてしまったのだ。


 フェイラビット家の関係者と思われる観客が涙を流していたり、怒りの余り、物を床に叩きつけているのがちらほら目に入る……。


「ケイブくん、おめでとう」


 ナホーティアは喜んでいたが、どこか言葉がぎこちない。リミュとリーフェに到っては、「お前わざとだろ?」という雰囲気が見え見えである。


「流石です、お坊っちゃま。相手の肌を傷つけずに服だけ燃やすとは。相当の技量が必要かと」


 おいおいちょっと待て。キャロンが真剣な考察をしているがまるで見当外れである。


「ケイブよ、初戦突破おめでとう。国王から直々のお言葉を頂いておる。『見事であった』だそうじゃ」


 シャンデルが国王の言葉を届けてくれた。サリアを裸にしたことではなく、戦い自体が見事だったと言ってるのだろう、多分。



ーーーーーー



 気を取り直して第二回戦へ向かう。失った信頼は、己自身で取り戻すしかないのだ。


 次の相手はアマゾネアス家の次期当主、ミーリアだ。サリアと同じくBクラスに所属している。


 アマゾネアス家は代々女性が当主を務めている。剣士が多く誇り高い一族であることで有名だ。筋肉質だがメリハリのあるボディをしている。


「ケイブ、よろしく頼む。貴族の名に恥じない戦いをしよう」


「ああ、望むところだ」


 ミーリアもアマゾネアス家らしく、高潔な性格のようだ。七列卿とは違い、Bクラスは良い奴が多いな。


 スタジアムには前の試合より男性の観客がかなり増えていた。皆、何を期待しているのか……


 そして国王は、スタジアム最上部の席から移動したようだ。観客席の一階、俺の真向かい即ちミーリアの真後ろの席に陣取っている。手には双眼鏡を握りしめて。何のつもりだろうか。


「これより、ケイブ・クオーツカスとミーリア・アマゾネアスの試合を行う」


「ミーリア様、勝って下さい!」


「ミーリア様! かっこいい!」


 ミーリアへの声援がかなり大きい。やはり、アマゾネアス領の人間が多数観戦に来ているようだ。


「試合、始め!」


「ミーリア・アマゾネアス。この戦いを戦の神に捧げる」


「ケイブ・クオーツカス。じゃあ、俺はナホーティアに捧げるぜ!」


 ミーリアが剣を構える姿は気品に溢れており、戦の女神を思わせる。実際に、アマゾネアス家では崇拝の対象になっている。


 剣と盾を持っている所を見ると物理攻撃が主体のようだ。近づかれるとまずいので、中距離魔法を放つ。


「雷撃!!」


 紫電の波がミーリアを襲う。ミーリアは一瞬ギョッとした後ガードを展開。雷撃がぶつかり爆発音が轟いた。


「きゃあああああっ!!」


 爆発による黒煙がスタジアムを覆った。ミーリアはBクラスの貴族。かなりの使い手であることが予想される。この程度では倒れないだろう。念の為、もう五発ほど雷撃を放っておく。


 黒煙が晴れてきた。よく見るとミーリアがペタンと座りこんでおり……なんと服や鎧が殆ど焼けてしまって半裸の状態である。


 サリアの時よりは鎧が残っているのだが、鎧がある分逆にエロい。


 「いやーーーーーーーんっ!」


 ミーリアが泣きべそをかいて身体を隠す。


「勝負あり! 勝者はケイブ・クオーツカス!」


 アマゾネアス領の観客からは悲鳴が聞こえた。一方、スタジアムの男性からは特大の歓声が再び響いた。国王はというと、立ち上がって双眼鏡を覗きこんでいる。国王とは一体……。

 

 アマゾネアス家の寄子の女子達が駆け寄り、ミーリアに上着をかける。皆、涙目で俺を睨んでいる。


「ぐすっ、お前だけは絶対に許さん!私の誇りがっ、誇りがぁ……」


「いや、わざとじゃないんだ……」


 アマゾネアス家全体を敵に回してしまった瞬間だった。サリアに続いて二度目ということもあり、釈明の余地は無い。神に捧げる誇り高き戦いで、アマゾネアス家の女神を裸にしてしまった。


 ミーリアの両親とおぼしき観客が、肩を抱き合って涙を流していたり、剣を抜いて俺に向かおうとするのを、押し止められている者もいる。


「ケイブくん……ケイブくん……」


 ナホーティアは俺の名前を繰り返しながら、壁に額を何度も打ち付けている。リミュとリーフェは俺を見る目が死んでいる。


「流石です、お坊っちゃま。鎧を部分的に燃やしつつも、素肌の大部分を衆目に晒すとは。相当の技量と痴性が必要かと」


 キャロン、それは誉め言葉になってないぞ。


「ケイブよ、二回戦突破おめでとう。国王から直々のお言葉を頂いておる。『今回の方が、ワシ好みだ』だそうじゃ」


 シャンデルが国王の言葉を届けてくれた。国王とは一体……。


 俺は汚名返上どころか、更なる悪名を高めつつ準決勝へと駒を進めるのだった。


もしよろしければ!


・ブックマークへの追加

・画面下の「☆☆☆☆☆」から評価


をお願い出来ますととても励みになります♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしければこちらもぜひクリックを↓
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。