第17話
新たに評価を頂きました。
ありがとうございます。
「こちらこそ、よろしくねっ! フェリーネさん」
ナホーティアは笑顔で歩み寄り、手を差し出した。しかしフェリーネは一瞥もくれずに歩き出す。フェリーネの寄子達がクスクスとこちらを見て笑っている。
「腹立つわね、あいつら」
「リミュ、乗せられてはダメだ。七列卿の次期当主が揃うこのクラスは実質正式な外交の舞台。軽率な行動は控えてくれ」
そして何故か、フェリーネは俺に向かって話しかけてきた。
「あなたが有名な整理整頓スキルの持ち主さんね? こんな役立たずを連れてるなんて、リハイヘヴン家も落ちたものね。このクラスのお掃除係でもやって下さるのかしらぁ?」
「表に出ろや、ゴルァァァァ!」
「ケイブ! 軽率な行動は控えろ!」
リミュとリーフェに抑えられ、ようやく気を落ち着ける。お前の存在自体を整理整頓してやろうか。
フェリーネはふん、と鼻を鳴らして席に帰っていった。それにしても流石は七列卿。他家の寄子のスキルもしっかりと調べているのだろう。
ルーラルヴォーラ家はリハイヘヴン家と家格が同じこともあり、ライバルと言える一族である。その為、わざわざナホーティアを牽制しにきたのかもしれない。
そうこうしているうちにAクラスの担任が入ってきた。何と、校長であるシャンデル・L・クリスタールである。
「皆揃ったようじゃのう。ここは学園ゆえ、七列卿の次期当主相手に失礼な言葉使いをすることは許してもらいたい」
「私達が卒業した後、覚えておくことねえ」
フェリーネが突っかかる。教師に対しても尊大だ。
「そもそも、先生に私達七列卿を教える技量はあるのかねえ?」
ガムを噛みながら生意気な口を聞いたのは、ミュエルハウゼン家の次期当主、ヴォーケンである。長髪のヤンキーっぽい男だ。
「ほっほっほっ。元気が良くて何よりじゃ。まあ、そのうちわかるじゃろう」
七列卿の次期当主は才能と個性溢れる者が揃っている。彼らをまとめるだけの技量が担任には求められるだろう。シャンデルが選ばれるのも頷ける。
「こらこら! 先生が困っておられるではないか! 七列卿たるもの、如何なる時も品位を保つべきだ! ボルガドフ君のように、静かに聞いたらどうなんだ」
何やら熱く語り始めたのは、レグシスレイト家のフォードンである。髪を短く刈り上げており、まさに軍人といった風貌だ。回りの寄子達も、背筋を伸ばして微動だにせず椅子に座っている。全員が大柄な男性でありとてもむさ苦しい。
彼が言及したボルガドフ君というのはリーヴェンレイル家の次期当主だ。極めて体躯が大きく、顔中に傷がある強面の男だ。腕組みをしてじっとシャンデルを見つめている。寄子はいないようだ。
噂には聞いていたが七列卿はやはり曲者揃いのようだ。この猛者達から、俺はナホーティアを護らねばならない。特に、ルーラルヴォーラ家のフェリーネには要注意である。
「あら、お兄さんちょっといいかしら?」
胸元がガバッと開いたシャツを着ている次期当主に声を掛けられた。ドナーヴゼーレ家のアーリシャである。顔を近づけて、俺の眼をじっと見てくる。
「これはこれは面白いわね。ふーん。なるほど……化物ね、あなた」
何が何だかわからない俺は、とりあえずアーリシャの谷間をガン見していた。
「リハイヘヴン家なんかより、ドナーヴゼーレ家に仕えたらどう? いつでも待ってるわね」
そう言い残し、寄子達と去っていく。モデルのような後ろ姿にしばらく見とれていた。
「リーフェは分析する。ケイブ・クオーツカス、下半身の血流量増加を確認。適正行動『軽蔑の目を向ける』を行使する」
その言葉につられて、リミュも軽蔑の眼差しを俺に向けてきた。
「しょせん男はそんなもんね。胸しか眼中に無いのよ」
そんなことはない、お尻にだって興味はあるさ!と反論したかったが、口には出すのは控えた。
「ケイブくんは、おっぱいが好きなの?」
「いやいや、そんなことは……ないって!」
純粋なナホーティアに変なことを吹き込むのは止めてもらいたい。俺は執事なのだから、そのような目でナホーティアを見ることは無いのだ……多分。
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