第13話
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「しりとりの、り!りんごっ」
「ゴマ……」
「魔界」
「イルカっ」
「かみなり……」
「離別」
馬車に揺られて三日半。俺達はリハイヘヴン領から、学園のある王都へ向かっている。
王都では借上げの邸宅に、俺達五人で住む予定だ。一般生徒は寮が用意されているのだが、リハイヘヴン家のような上級貴族は一戸建てが丸々借りられるのである。
道中やることも無いのでナホーティアの提案により、しりとりを延々と続けている。昼頃から日が暮れるまで続けているので、ナホーティア以外はうんざりしている。
ちなみにキャロンは御者。リミュは長剣を鞘に入れて抱き枕代わりに眠っている。そういうわけで、ナホーティア、リーフェ、俺の三人でしりとりをしているわけだ。
名詞なら何でもOKになってるので、まさに無限しりとりと化している。
「スイカっ」
「かさぶた……」
「退屈」
「ツタっ」
「たにし……」
「潮時」
退屈に潮時。どうやらリーフェは遠回しに「もう止めよう」と言いたいみたいだが、悲しいことにナホーティアには通じていない。
膠着状態に陥ったところで、キャロンが声をかけてきた。
「日が暮れましたので、この辺りで夜営にしましょう!」
「そ、そうだな。しりとりはここで中断しよう」
「えー、盛り上がってたのになっ」
馬車から降りて夜営の準備を始める。簡単な夕食をとって、早めの眠りについた。日の出と共に出来る限り馬車を進めるためだ。
深夜になり、俺もぐっすりと眠っていた。
『警告。雷界内の侵入者を確認しました。魔物が三十二体。生体の魔粒子分布状況によりリザードマンと判断。撃退を推奨します』
整理整頓スキルが警告する。俺は眠る前に予め結界を張っておいた。
夜営の場所を取り囲むように、三メートル置きに短剣を刺す。
それぞれを微弱な電流で繋いでおき、その電流を遮った者がいた場合は解るようにしておいたのだ。名付けて「雷界」という。
ーーこれだけ多いのは不自然だな。
疑念が湧くが時間が無い。ナホーティアに迫られる前に殲滅してやる。
リザードマンは剣と盾を扱う人型のトカゲだ。知能が高く、好戦的な魔物である。
リザードマンの群れが見えた。向こうも俺の存在を確認したらしく、剣を振り上げて複数で突進してくる。
「雷装!!」
俺の身体を電流が走る。リザードマンの剣が身体に触れた瞬間、剣に電流を流し、俺の身体と同じ磁界を設定する。
つまり、俺の身体とリザードマンの剣をN極にすることにより、電磁石の力で反発し、剣が身体に当たらなくなるのだ。
俺の身体に当たった瞬間、剣は遠くへ弾き飛ばされる。
矢で俺を狙ってくる個体もいるようだが、結果は同じだ。鏃が金属なので、矢も俺の身体に当たった瞬間に反射される。
スキルと魔法の鍛練の結果、俺は金属の剣や矢、槍等の攻撃を無効化出来るようになった。
「雷閃!!」
あとは血祭りである。相手は攻撃の手段が無い。雷の剣でリザードマンを蹂躙する。全てを倒すのに、十分とはかからなかった。
リザードマンは中級冒険者でようやく倒すことが出来るとされている。本来であれば、学園の一年生では太刀打ち出来ないだろう。
ーーそれにしても、不自然な襲撃だったな。まあ、考えても解らないから、もう一度雷界を作って寝るか。
何かあったとしても、雷界や整理整頓スキルが教えてくれる。
ーーナホーティアに怪我が無くてよかった。
ナホーティアがすやすや寝息を立てているのを確認して、安心して眠りについた。
ーーーーーー
「何者だ、あいつは!」
「わかりません。あのような者がリハイヘヴン家に仕えていたという情報はありませんでしたが……」
「リザードマンが全滅とは、只者ではないな。一度撤退し、報告を上げるぞ」
闇夜に紛れて怪しい二人組が話す。リザードマンを仕向けたのはこの二人のようだ。
「ウォーターストライク」
走り去る二人に、特大の水の龍が迫る。その直径は五メートル程。二人は気づく間もなく、潰れて息絶えた。
ーー恐らく、リハイヘヴン家を貶めようとした上級貴族の手の者だな。王都では気を緩めることは出来なそうだ。
月明かりの中、氷の様に青く冷たい瞳で、二人の遺骸を見据える女。
金髪のポニーテールを翻し、ケイブ達が眠る夜営地へと戻って行った。
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