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第12話

昨日もブックマークを新たに頂きました。誠にありがとうございます。

 いよいよ、明日は学園に向けて出発する日になった。


 ナホーティアがどうしても時間が欲しいというので、今日はリミュ、リーフェ、キャロン、ナホーティアと共にリハイヘヴン領の山中に来ている。


「聖女のスキルをある程度使えるようになったから、みんなにお披露目したいと思ったんだよ!」


 ナホーティアが祈りを込めると、天使の羽が生え、白金色のオーラが放射状に広がった。範囲は半径五メートル程。このオーラに触れると攻撃力、防御力が上がり、全ての状態異常が回復する。


「こんなことも出来るよっ! ヒール」


 ナホーティアがかざした手から白金色の波動が出る。対象者の体力を回復し、ケガ等も治ってしまうらしい。


 聖女のスキルとは、味方のステータスを上げ、状態異常や体力を回復する働きのようだ。


「これはすごいな! 戦闘時には貴重な戦力になるな」


「えへへへっ、すごいでしょ♪」


 ピョンピョン飛びはねながら、天真爛漫に喜んでいる。


「さすがはナホーティア様です。この四人が組めば素晴らしいパーティーになりますね。そこで、今日は陣形を組んで実戦しましょう!」


 キャロンの提案により、俺達はまがりなりにも陣形を組んだ。


 前衛はリミュ。その後ろにリーフェと俺が立ち、最後衛をナホーティアが務める形だ。


 ナホーティアの聖女のスキルによって攻撃力と防御力を上げ、リーフェと俺が魔法によって敵を撹乱したところをリミュが突撃をかける戦法である。


 魔物が出そうな場所まで行くと、ちょうど雄のゴブリンの群れに出くわした。ゴブリンは畑を荒らし女子供を拐うので、討伐対象になっている魔物である。


「ナホーティア様! まずは聖女のスキルで皆様の攻撃力、防御力を上げて下さい」


「うん! わかった」


 と、言い終わらないうちにリミュがゴブリンの群れに突撃していく。


「先手必勝っ!!」


 作戦も何もあったものではない。


「む! 抜け駆けは許さん。リーフェは分析する。攻撃対象のゴブリン達の魔粒子分布を確認。分析者の名に於いて、適正魔法ウォーターストライクを行使する!」




「「「「「クエエエエエエッ!」」」」」




 リーフェの掌から、何羽もの水の白鳥がはためいていく。


 リーフェの分析スキルによって放たれた魔法は、相手の弱点をロックオンする。俺にとってはトラウマもののスキルだ。


 果たして、分析の結果は……




「「「「「おふっ」」」」」




 分析の結果、ゴブリン達の弱点である股間に白鳥達はもれなく突撃していった。やはりこうなったか。


 ゴブリン達が股間を抑えて涙目で転げ回る様は、阿鼻叫喚の地獄絵図だ。


ーーかわいそうに……


 以前同じ攻撃を食らっている俺は、ゴブリン達に対して心から同情してしまった。俺がヒールを覚えていれば躊躇わずゴブリン達に使っただろう。


 当のリーフェはというと、技が決まったせいかクールにドヤ顔をしている。



「いやいや、全く決まってないからな! 相変わらずのネタスキルじゃないか。分析は股間攻撃用のスキルなのか??」



「疾きこと、風のごとし」



 こいつはもうダメだ。



 リミュは悶えて動けないゴブリン達に容赦無くトドメを刺している。何これひどい。


 あっけなくゴブリン達は全滅。


 ふと見ると、ナホーティアが半泣きで膝を突いている。


「ごめんね、ごめんねぇ……わたし、みんなの役に、立てなかったっ……」


 リミュとリーフェが、ナホーティアの肩に手を置いて慰める。


「気にしないの! お互いに足りないところをフォローするのが仲間よ?」


「うむ。その涙が、明日のナホーティアを強くするだろう」


 どの口が言うんだ、お前らは。


「皆様、なかなか筋が良いですね! 強いて言うとすれば、リーフェ様。ゴブリン達の股間は、一撃で徹底的に砕かないといけません。まだまだ攻撃力が足りませんね」


 キャロンも、何かポイントがずれている気がするが。



「そうか……なるほど!」



 リーフェ、本当にお前はもういい。



ーーーーーー



 リハイヘヴン邸へと戻り、俺は執事としてナホーティアの部屋を清掃していた。


「わたしたち、もっともっと強くなれるかなあ?」


「そうだなあ、もっと連携が必要だな」


 俺はさっきの大惨事を思い浮かべる。


「えへへ、でも、楽しかったね!」


「まあ、そうだな」


 ナホーティアは部屋の中でルンルンとスキップをしている。しかし、ふっと歩みを止めた。


「わたしは、いつまでも皆と一緒にいれるかなあ」


「いれるさ! 俺がナホーティアの側にいるから絶対に大丈夫だ」


 ナホーティアは俺の側に来て、ぎゅっと俺の手を握った。


「信じてるよ、ケイブくん」


 ナホーティアを護ること。それが今世の俺の使命だ。例え、ナホーティアが狂化の呪いに身を焼かれたとしても。


 どうか、願わくばそんな日が来ることなく、皆と過ごすこの楽しい時間が、いつまでも続きますように。


ーー学園で何があろうとも、俺はナホーティアを必ず護ってみせる。


 この日を境に、俺は一層魔法とスキルの修練に励むようになったのだった。

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