第11話
連日のブックマーク登録、誠にありがとうございます!
この話から、第2章が始まります。
早朝に、湯浴みをする碧眼の美女が一人。風呂桶に湯を汲み、背中にかけ流す。
湯は白磁のような肌を滑り落ち、締まった背中と豊かな胸に分かれて流れた。
頬にかかった金髪をかき上げると、真白いうなじがほの赤く染まっている。男性が見たら、一目で恋に落ちるような美しさだ。
ーーお坊っちゃまは千年に一度の天才。その才能を狙って、有象無象の輩が来るだろう。その時は、この私が。
普段の愛嬌ある笑顔からは想像もつかない程、厳しい眼差しを見せた。
ーーーーーー
ナホーティアの魔法儀からしばらく経ち、学園への入学日が近づいていた。
学園は、キングウェル王国の王都近くにある。学園の敷地だけでも東京都ほどの面積を持つ。
キングウェル王国中の貴族の子弟が集まり、魔法とスキルを鍛練するのだ。
貴族は外国の兵や魔物から領民を守る義務があるとされているので、この学園で戦闘についても学ぶのである。
また貴族の子弟同士の交流の場としても機能している。学園で培った絆は歳を経ても続く場合が多い。立身出世を狙う家にとっては、人間関係の構築に欠かせない舞台でもあった。
俺達四人は、入学への準備を整えていた。そして、俺は今日も日課の清掃に励んでいる。
「お坊っちゃま! 私も王都にお供することになりました~! ケルン様のお許しも、ばっちり頂いてます♪」
おっと、王都に行くのは四人ではなくなってしまった。なんと、キャロンもついていくという。
「そっか。でも、キャロンがいると助かるよ。家事とか、魔法の練習にも付き合ってくれるし。よろしくな」
「はい! その他にも、あんなことやこんなことのお世話もさせて頂きますよ~。リミュ様やリーフェ様と違って、私の身体は見放題でございます!!」
どーんと胸を張って言い放った。
「いやいや、そう積極的に来られると、逆にな……」
女性に大胆に来られると、男は逆に引いてしまうものだ。
リミュやリーフェのようにちょっと引かれると、逆にこちらは興味を持ってしまう。この繊細かつロマン溢れる男心を理解して欲しいものだ。
キャロンはニコニコしながら期待に胸を弾ませて帰っていった。例え気落ちしてても、歩くだけで弾むような胸をしているのだが。
という下らない妄想をしながら掃除を再開する。
俺は執事としてリハイヘヴン家に仕えている。ちなみに、リミュとリーフェは俺と違って上客扱いだ。これもひとえに、テングレス様の俺に対する評価が低いせいである。
しかし、リハイヘヴン家の召使の間では、俺は大層評判が良い。
例えば、俺が雑巾がけをすると、普通の人が行うよりたくさんのホコリがとれる。雑巾に静電気を纏わせているためだ。
さらに、貴族の食事は毒味を丹念に行うのと、基本的に大皿で大量の料理を一度に出す為、食べる頃には冷めきっている。
そこで、俺が電磁波の一種であるマイクロ波を出して、食べる直前に料理を温め直しているのだ。
ちなみに、このアイデアは整理整頓スキルにより思考が最適化された為に考えついたものだ。魔法の出力の微調整も、整理整頓スキルがやってくれている。
ーーいつかテングレス様に、整理整頓スキルの素晴らしさをわからせて見せる!
そう考え、さらに清掃に励む俺であった。
ーーーーーー
ナホーティアは、あれから感情的には落ち着いたようだった。天使のような振る舞いは相変わらずで、狂化の影響など微塵も受けていないように見える。
しかし、以前に比べて一人でじっと考えにふける時間と、祈りを捧げる時間が増えたように思う。リミュ、リーフェ、俺は、代わる代わるナホーティアのフォローに努めていた。
今日、俺達四人は入学への準備で忙しくしている。
ナホーティアは、入学へ向けて聖女のスキルを練習中だ。キャロンの徹底的な指導により、どんどん上達している。聖女のスキルが伸びれば伸びる程、狂化や呪術士の影響は少なくなるだろう。
リミュはお気に入りの武具を大量に王都へ持っていくようだ。魔法効果付きの剣や、二刀流の剣など。かなりの武器マニアらしい。あと、この間討ち取ったオークジェネラルの生首も剥製にして持って行くと言っていた。ちょっと理解出来ない。
リーフェは、持っていく服装をどれにしようか迷っている。今日だけで、俺に何回も服装チェックを頼みに来ていた。
「ケイブ。また私の服を見てもらえないだろうか」
「おいおい、今日だけで十回目位だよ……まだ決まらないのか?」
「う、うむ。どの服も捨てがたくてな。手間を取らせて申し訳ないのだが……この服も、可愛いと思わないか?」
ちょっと照れながら、ミニスカートのプリーツを広げて見せてくる。確かに可愛い。
形の良い胸に細いくびれ、すらっとした長い脚を持つリーフェに、ミニスカートが似合わないはずがない。
「う、うん。それも可愛いと思うよ」
「さっきからそればっかりだな。可愛いと言えば良いと思ってはいないか?リーフェは分析するーー」
「そ、そんなことねえよ!ぜんぶ可愛いって。」
「そ、そうか、それなら良いのだが……そうだ、この間皆で話した、ケイブが私達の身体をじろじろ見てくるという話だが……」
「ああ、オークジェネラルのミミガーを食べた時の話だな。だから、俺は別にじろじろ見てなんて……」
「別に私は、嫌というわけではないからな。男性なら仕方ないだろうし。とはいえ、あまりに見られるのも困ってしまうが……」
眼鏡を上げ、もじもじしながら話してくるのがたまらなく愛らしかった。ナホーティアに捧げている操がぐらつきそうだ。
「お、おう……じゃあ遠慮なく」
「調子にのるな!」
リーフェは俺にデコピンをかまして、後ろ手に走って行った。
通路の行き当たりで振り返り、ちょっとはにかんで、角を曲がって去っていく。
何だ、このラブコメは……
こうして、俺達五人の王都行きへの準備は、着々と整っていった。
もしよろしければ!
・ブックマークへの追加
・画面下の「☆☆☆☆☆」から評価
をお願い出来ますととても励みになります♪




