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俺はVRMMOで男と結婚する事になりました。  作者: カイロ


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俺の家に進太郎が来ました。

「トリックオアトリート!」


 朝、来客を知らせるチャイムが鳴り、凛花がドアを開けるとそこには何らかのコスプレをした進太郎が両手を掲げてそう言っていた。


「……は?」


 意味が分からず、自然と凛花の口から言葉が漏れた。

 いいやハロウィンであるのは分かるが、今日ではない。今日は土曜日で、ハロウィンはあと数日先のはずだ。


「今のはお菓子をくれないとイタズラするぞって意味だ」

「いやそれも分かってるから」


 言葉が理解できなかったのでももちろんない。凛花がわからないのはどうしてハロウィン当日でもないのにコスプレして凛花の家に遊びに来ているのかだ。

 来るなら来るで事前に連絡ぐらいしてほしかったが、まあサプライズという事で納得はできる。


「ていうか、それはなんのコスプレなんだ?」

「ああこれか? これはミッョャムヅテ星人のコスプレだ」

「ミ……どうやって発音するんだそれ!?」


 凛花は聞いた事もないが何かのコスプレをした進太郎は虹色に光るメタリックカラーの触手を自慢げに振り回している。


「ちなみに自作だ」

「手が込んでるのはわかったけど……シン一人でコスプレしててむなしくなったりしないのか」


 もうすぐハロウィンとはいえ、まだ数日前だ。おそらくこの町で今コスプレしているのは進太郎くらいなものだろう。……いや、例外な店が一つあった気がするが、凛花はそれを今は忘れる。


「いや、この後月光門先輩も来るぞ」

「え!? もしかして先輩もなんかコスプレしてるのか!?」

「おう。ジャックザリッパーだそうだ」

「…………どんなか想像できないんだけど」


 ロンドンに現れた殺人鬼、というのはなんとなく知っているが、凛花はこれといってその容姿に関するイメージをまったくもっていない。

 切り裂きジャックとも言うだけあって刃物を持っているのはわかるが、だとすると月光門が無事に桜野家までたどり着けるかが気がかりである。


「ま、いつまでも立ち話ってのもなんだし、とりあえず入れよ」


 ハロウィンにはまだ少し早いが、いつまでも玄関で話すには肌寒くなってきた季節だ。何はともあれ凛花は進太郎を家に通す。

 リビングまで行くと麗がおり、進太郎の姿を見るなり嬉しそうに近寄ってくる。


「あら進太郎くんいらっしゃい。どうしたのその恰好?」

「気が早いけどもうすぐハロウィンという事で、ミッョャムヅテ星人のコスプレです」

「あらそうなの~。私も若い頃はやったわねぇミッョャムヅテ星人」

「えっ……聞いた事ないんだけど何なの昔流行ってたのそれ!?」


 麗は進太郎の鎖骨あたりから生やされた触手を掴んでクルクル回している。

 訳知り顔で母は話すが、凛花はまるで知らない。もしかして昔にやっていたアニメか何かのキャラなのだろうか。

 と、しばらく考えて凛花はああ、と気が付く。多分母も何なのかは知らないが知ったかぶっているだけに違いない。危うくまた麗のペースに乗せられるところだった。

 そうとわかれば凛花の混乱も収まる。やれやれこれだから母さんの冗談は困ると言いたげに肩をすくめてみせる余裕さえ出てくる。

 そんな所に、来客を知らせるチャイムが鳴った。


「お、先輩も来たかな」

「あら月光門さんも来るの? それならお菓子をもっと用意しておかないとね~」

「俺が出てくるよ」


 意気揚々と凛花は月光門を出迎えに行く。母の冗談に惑わされずに済み、今の凛花は全能感すら覚えている。

 多少の事では驚かないし、むしろ月光門をビックリさせるつもりでさえいた。

 玄関のドアを勢いよく開け、思い切り声を張って出迎える。


「いらっしゃい! せんぱ……」


 なぜか、そこには夏条涼がいた。


「トリックオアトリート」

「……」

「お菓子をくれてもイタズラはしますわ」

「どうしろってんだ……」


 涼は虹色に輝くメタリックカラーの触手を揺らしながら凛花に微笑んだ。

 やっぱり、本当にどこかで流行っているのだろうか。

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