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Eye of Glaia Online 〜ナイフ縛りが趣味の男は意図せず配信界をザワつかせる〜  作者: 天沢与一


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第7話:気づいたら友達が立派な配信者になってた

 言われた通り竜巻から走って逃げる。


 竜巻は俺と爽真それぞれを追尾しているようだ。


 攻撃パターンは主に4つって言ってたのに。いやよく考えたら“全部で”じゃなくて“主に”だな。例外あるって分かってて言わなかっただろ。



「これいつまで続くんだ!?」


「アイツ倒すまで!」



 つまり竜巻が追ってきている状態で倒さなきゃいけないってことだな。


 このまま削り切れるか?


 上から風の刃が降ってくる。転がるように避けて、バレットの炎を撃つ。


 避ける方向ミスったら爽真を追いかけている竜巻に突っ込んじゃうな。



「竜巻に当たったらどうなる?」


「ダメージを受けながら上に巻き上げられて最後は落とされる」



 そんなん受けたら絶対死ぬじゃん。


 爽真はまた攻撃してくれたものの、蝶はすぐに空高く飛ぶ。


 あとちょっと削るがめんどくさくなってきたな。



「ソーマ、これ動き止めたら最後までいけるか?」


「10秒あればいける!」


「おっけー」



 外側へ走って竜巻を蝶から離す。

 エリアギリギリのところでバレットの炎を撃ち込み、すぐにダッシュで蝶の元へ向かう。


 そして、ジャンプをしながらロッドを上から振りかぶり、蝶を地面に叩きつけた。


 蝶が纏う風から継続ダメージを受ける。


 若干痛い気もするがダメージ量は大きくないから耐えられるだろう。


 更に追い討ちでミストを使って上がろうとした蝶を押し戻し、羽を踏みつける。



「おぉ!」



 驚いてる場合かよ。


 ダメージは受け続けてるし竜巻はこっち向かってるんだが。



「ソーマ!早く!」


「あ、わりぃ!“チャージブレイク!”からの……」



 爽真は上から下に剣を振りかぶったあと、今度は剣を横にして構える。


 このままじゃ俺に当たりそうだな。

 足をどかして後ろに下がる。



「“一閃両断(いっせんりょうだん)!!”」



 蝶は横に綺麗に切断された。


 俺のすぐ近くまで来ていた竜巻もふわっと消える。



『ボス:風纏うパラランモルファが討伐されました。

 クリアタイムは8分12秒です。』



 爽真がHPを半分以上削ったとはいえ、レベル足りなくても意外と倒せるもんなんだな。


 職業レベルがぽんぽんと上がり、一気に8レベルになった。


 ドロップした鱗粉を拾いながら、爽真に文句を言う。



「あの竜巻のことなんで事前に言わなかったんだよ」


「わりぃわりぃ。竜巻は低確率ででるんだよ。俺は今まで一回も確率引いたことなかったから、別に言わなくてもいいかなって」


「全く。次から言えよ」


「次があるって考えていいんだ」


「言葉の綾だって」



 まだ1日目だ。続けるかどうかなんてわからない。今の所問題なくやれているが、投げ銭コメントで暴言でもきたらすぐに辞める自信がある。


 レベルが低くて解放されていない機能もあるっぽいし、もう少しやってみないと。



「おっ、涙々さん赤字回避ないすー!」



 なんかウィンクしながら決めポーズをしだした。


 まじで急にどうした?



「……赤字回避って?」


「投げ銭のお礼!投げてくれたお陰でゲームソフト代回収できて赤字が回避できたよ、ありがとなって意味が込められてる」


「意味込めすぎだろ。てかもう回収したんじゃなかったのか?」


「細かいことはいいんだよ。オリジナルの挨拶みたいなもんだから。俺のところはみんな一緒にないすーってコメントしてくれる」


「へぇ」


「興味なさそー。ノスリも挨拶作ったら?」


「コメント欄閉鎖してるから必要性を感じない」


「みんながいつになったら解放すんの?だって」


「さっきも言ったけど、解放する気ない」


「残念!気が向いたら解放しろよ。きっとみんな喜ぶと思う」


「みんなって誰だよ」


「みんなはみんなだよ。なー」



 爽真は自然と配信の向こう側へ同意を求めた。


 さっきの挨拶といい、今のこれといい、随分と配信慣れしているようだ。


 少なくともこのゲームを始める前はただのゲーム実況動画好きで配信なんかしてなかった筈なのだが、いったいなんでこうスムーズに配信をやれるのだろうか。才能かな。



「で、どうだ?EGOは楽しいか?」


「まぁまぁ」


「悪くなさそうで良かったよ。ノスリはクランに興味ないか?」


「クラン?」



 そういえばさっき解放された機能の一つにクランがあった気がするな。


 町に戻りながら話すと言うので、俺たちはボスエリアを出た。


 歩きながら爽真からクランの説明を聞く。


 クランとは最小6人から結成でき、最大30人まで所属できるプレイヤー同士の集団のことだ。


 拠点設定ができ、拠点にはギルドとは別の倉庫が貰えたり、報酬が良いクラン専用のクエストが毎日あったり、施設に資金を突っ込むことで生産職が拠点で活動できるようになったりするらしい。



「それ戦闘職が入る意味ある?」


「クランクエストの報酬が魔物を倒した時の経験値を多くしてくれるバフアイテムなんだよ。これ使えば早くレベルアップできるって訳」


「別にレベ上げは急がなくてもいいな」


「他にもメリットあるんだぞ。クランに有名配信者がいたら人気にあやかれるし、コラボ配信できたりする。あとは生産職がいたら装備作って貰えるとか、先輩から攻略情報教えてもらったりとか?」


「ふーん……やっぱ興味ないわ」


「くっそ……俺の営業力が足りない」


「知らない人と組むのはちょっと」


「まぁそう言うと思ってたわ。俺のクランは特にノルマとか無いから、過ごしやすいと思うぜ。みんな優しいし。もしクランに興味でてきたなら絶対俺に声かけろよ」


「はーい」



 まだ町に辿り着くには距離があったので、他にも色々アドバイスをもらう。


 最初はメインストーリーをさっさと進めた方が良いとか、チュートリアルで買わされた指輪は装備しとけとか、商業ギルドで観察スキルを習った方が良いとか、課金されたらお礼だけは絶対忘れるなとか、視聴者への感謝の気持ちを忘れるなとか。


 俺より先輩からのアドバイスなんだから、従っておいた方が良いだろう。


 そうしているうちに町に戻ってきた。

 途中で倒していたキャタッピのドロップアイテムを貰い、爽真とはここで別れる。


 去り際、またボス一緒に倒そうぜと言われた。


 次があるかわからないので曖昧な返事をして、俺はギルドに行った。


 ……待って。よくよく考えたら今のボス狩りってコラボ配信だよな?俺コラボの件了承してないのに。いや別にあれくらいなら良いんだけど、何だか騙されたような気がしてちょっと釈然としない。


 次は何か誘われたら断ってやろうかな。


 いやでも今回はキャタッピの糸をタダで譲ってもらったしな。


 そもそもこのゲーム買ったのもあいつだから、許してやろう。


 ギルドでは[キャタッピの糸採取]のクエストを受け、その場で納品する。グレートベアの肉の納品もまだだったのでそれも納品した。


 メインストーリーを進めろと言われたけど、進めるには職業レベルを5にしないといけないんだよな。あ、いや、さっきのボスで一気にレベル上がってたんだった。


 じゃあもう進められるか。


 ええと、場所は……カミラの家?

配信パラメーター(10段階評価):真の勇者ソーマ版


【個性】8

【トーク力】7

【人脈】6

【行動力】7

【ゲーム技術】6

【継続力】8


ゲーム技術はEGOでは平均的な方。

ただし、勇者ロールプレイで派手なことをやる時があり、ノリが良く、コメントの返答も早いのでEGOでは100位以内に入るほど配信は人気を集めている。

普段はよくクランの仲間とコラボ配信をしている。

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