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Eye of Glaia Online 〜ナイフ縛りが趣味の男は意図せず配信界をザワつかせる〜  作者: 天沢与一


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第5話:ずいぶんと可愛らしいサーバー名

 さっそくギルドに向かうと明らかに周囲より大きい建物が見えてきた。


 ドアを開けたら数人から視線を浴びたがスルーをする。


 真っ直ぐクエストボードへ向かうと、今の俺が受けられるクエストが表示された。




 [キャタッピの糸採取]

 南の草原にいるキャタッピから糸を20個採取する。

 報酬:500G


 [ホッパーバグ退治]

 西の草原にいるホッパーバグを30匹退治する。

 報酬:800G


 [グレートベアの肉採取]

 北の森にいるグレートベアから肉を3個採取する。

 報酬:1000G




 3つだけか。凶暴化した方の肉なら持ってるけど、これ納品出来ないかな。


 受付にいるお姉さんに聞いてみるか。



「すみません」


「はい!何かご用でしょうか?」


「グレートベアの肉採取というクエストなんですけど、凶暴化したグレートベアの肉を納品してもクリア扱いになりますか?」


「あー……なるにはなるんですけど、凶暴化したグレートベアの肉の買取価格は400Gとなっております。クエスト報酬よりそのまま売却した方が高いのでおすすめはしません」



 なるほど。ならやめとこう。


 普通に狩りにいくか。


 クエストを受注し、北の森……さっき通ってきた門の方へ向かう。


 方角的に間違ってないんだけど、始まりの村では南の森って呼ばれていて、アルファールからは北の森って呼ばれてんの分かりにくいな。


 ちゃんと森に名前つけてあげればよかったのに。


 気づけばHPバーの下の案内文は《サブ:グレートベアを3体倒そう》に変わっていた。


 どうやら自動的に進めているクエストを表示してくれるようだ。


 さっそく森に入る。なんだかさっきまでと若干雰囲気が違う気がするな。

 そもそも、さっきまでは道から逸れて進むことはできなかったが、今は普通に入れる。


 オフラインエリアとオンラインエリアの違いか?


 オンラインになった今でも始まりの村へ帰れそうだけど、今の所必要がないので大人しく熊を探す。すると、1匹目は割とすぐに見つかった。凶暴化したグレートベアと一緒で耳と手足の先だけ赤い。ただ、目はなんとなくマイルドな感じになっている。あとは若干こっちの方が身長がちっちゃいかな。



「“バレット-炎(えん)”」



 おぉ。ファイヤーボールと形はそこまで変わらないけど、速度が全然違う。


 あー、でも俺の存在がバレて、熊がこっちに向かって来ちゃった。やっぱり弱点の顔面を正面から捉えないとダメだな。


 今のバレットのリキャストタイムは5秒。


 まだ撃てないので代わりにファイヤーボールを使う。


 無事に顔に当てられて怯ませられた。



「“バレット-炎(えん)”」



 リキャストタイムが開けてすぐにスキルを発動させる。

 残りのHPは半分ほど。


 ロッドで殴りにいってもいいけど、バレットの最長距離を測りたいな。


 ファイヤーボールを撃ちつつ大幅に後退し、改めてバレットを撃ってみる。


 森の中だから木が邪魔だ。なんとか隙間を縫うように撃ったが熊に届く前に炎が消えてしまった。25mくらいかな。


 遠距離魔法に特化するという説明だった筈だが、ファイヤーボールから思っていたより距離が伸びていない。熟練度を上げたらまた変わるのだろうか。


 でも、とりあえず知りたいことは知れた。


 ファイヤーボールを撃って、あえて近づいてロッドで殴り、最後にバレットを撃って熊を倒した。


 ドロップアイテムである肉を拾う。


 これで後2個。


 その後1匹はすぐ見つけられたし簡単に倒せたのだが、残りの1匹はなかなか見つけられず、ようやく見つけたと思ったら他のプレイヤーが戦っていたりして、ラスト1匹を倒すまでに相当時間がかかった。


 森を彷徨って、30分くらいだろうか。


 倒したら肉の他にグレートベアの牙というレアっぽそうなアイテムがドロップしたからいいけどさ。


 町の方向へ歩きながら、さっき開放されたチャット機能を見る。


 20分前に爽真からメッセージが届いていた。


 チュートリアルクリアを祝う言葉と、どこのサーバーにいるか聞く内容だった。


 どこのサーバー……?


 チャットで見方を聞くとすぐに返信が来た。設定画面で見れて、尚且つここから変更できるらしい。


 設定からサーバーの項目を見る。ウサギ、キツネ、ネズミ、イルカと様々な動物の名前がずらりと並んでいた。それとは別にプレミアムサーバーというものが1〜5まである。


 サーバー名が動物の名前とはずいぶんと可愛らしい。

 プレミアムサーバーはなんか月額の課金プランに入っている人のみアクセスできる仕様だった。


 俺が今居るのはヒヨコサーバーだったのでそれを爽真に伝えたら、そっち行く!と返信が来た。


 まだ町に辿りついてないんだけど……ま、いいか。あいつもすぐ来れるわけじゃないっしょ。


 帰り道にもう1匹グレートベアに遭遇したのでサクッと倒して進む。これくらいさっきもすぐ見つけたかったな。


 あ、チャットきた。



[真の勇者ソーマ:どこにいる?]

[ノスリ:南の森]

[真の勇者ソーマ:アルファールに居ないのかよ]

[ノスリ:熊倒してた]

[真の勇者ソーマ:ギルドクエスト?]

[ノスリ:それ]

[真の勇者ソーマ:町で待ってろよ]

[ノスリ:暇だったからしゃーない]

[真の勇者ソーマ:ならしゃーないかぁ]

[真の勇者ソーマ:あと何分で町に来れる?]

[ノスリ:たぶん5分]

[真の勇者ソーマ:おけ]




 走るより歩く方が好きだから歩いてたけど、仕方ないから走って帰ってやるか。


 このゲーム、特に体力値とか設定されてないから、無限に走り続けられるんだよね。


 全力疾走して町に戻る。


 門番の人にはなんか驚かれたけど、気づかないふりしてそのまま門に入る。


 そのすぐのところに爽真はいた。


 髪は赤で、来ている鎧も赤いから大変目立つ。



「おっす!」


「お前目立つなぁ」


「配信映えするだろ?」


「あー」



 配信をちゃんとするなら個性は大切か。


 この町にユニークな格好をしたプレイヤーがあんまり居なかったのは、まだ序盤だからだろうか。



「それよりも!注目入りしてたな!」


「したな」


「おいおい、もっと喜べよ。なかなか無いことなんだぞ?」


「そう言われてもな」



 数時間の間に2回も注目の通知来たから、そんなにレアだとは思えないというか……



「ん?あぁ、こいつはノスリ。俺のリア友」



 爽真は急に宙に向かって話し始めた。

 何してんだこいつ、と思ったが、そういえばこいつの周りにはグライアの目がないことに気づく。

 他プレイヤーのは見えない仕様なのか。


 てことはそこら辺にカメラがあるんだな?



「ノスリ、俺のリスナーに自己紹介してくれ」


「どうも、ノスリです。ソーマにソフト貰ったのでこのゲーム始めました」



 爽真が見てる方向に視線を合わせたが、これでいいのか?



「かったいな。別に配信で敬語なんて使わなくていいんだぞ」



 ダメだったらしい。



「なんでボスとナイフで戦ってたか教えてくださいだってさ。そんなことしてたのかよ」


「ソーマが見たの2回目の方だけか。1回目の注目入りした時、俺それ回答してる」


「は?2回注目入りしてたんかよ。この短時間で?」


「そうだけど」


「やっぱりお前このゲーム向いてるよ」


「そうかな」



 配信させられている以上、俺はあんまり向いてると思わないなぁ。


 この後俺の配信では初めての質問だからもう一回答えてと言われたので、ナイフで倒せそうだったからと同じ答えを言う。


 するとなんで倒せそうと思ったのかと聞かれたので、前やってたゲームのボスと動きが似ていたからと答える。


 他にも何回あのボスに挑んだのかとか、なんで盗賊を選ばなかったのかとか、どうしてコメント欄を解放していないのかとか、色々とたくさん爽真を通じて質問された。


 これ、爽真の配信っていうよりは俺への質問コーナーになっちゃってるけどいいのかな。ダメだったらコメント読まないか。



「今日の目的?なんか勝手に話題になってた配信者と一緒にボス戦するんだよ。2番のやつと」


「そんな話題になってる?」


「ボスの、しかも1番最初のグレートベアのランキング更新は中々無いから。掲示板は今大盛り上がりだよ」



 何それ怖。掲示板は俺のトラウマだから一生見ないでおこう。



「じゃ、さっそく行くぞ!」


「俺今転職したばっかなんだけどいける?」


「ギリ適正レベルだし、ノスリならへーき!それに、危なくなったら俺がなんとかするから」



 それ、俺のピンチを颯爽と助けてカッコつけたいだけなんじゃ、と思ったが口には出さなかった。

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