第4話:初めての転職先は意外と豊富
[藍汽:<♢10>記録更新おめ]
[わさび豆腐:<♢100>30秒ギリすごすぎぃ!]
[ぶしゃぶしゃ:<♢10>どうやったら30秒切れんの]
[ななしぃ:<♢10>ナイフも使えて魔法もできるとか]
[セカはじ:<♢100>すみません見逃したんでもう一回やってください]
うわ、またコメントが次々と。
戦い終わってから注目の通知来たのになんで?
……あ、配信画面にランキング映ったからか。課金をわざわざしてまでコメントするなんて物好きが多いな。俺としては助かるけど。
「30秒切ったのは気合いで、こう……なんとかしました」
[藍汽:<♢10>なんとななるわけなくて草]
[セカはじ:<♢10>気合いで行けるならみんな30秒切ってるよ]
「説明が難しくて……もう1位取れたから良いかなって思ったんですけど、投げ銭でリクエストあったんで、もう一回戦ってきますね」
あんまりコメントの指示に従うとかはしたくないが、向こうは俺に金を払ってるのだ。どうせ1分以内に終わるし、もう一回戦うくらいなら全然やる。
ということで、またブレイズアップを唱えることから始めた。
解説した方がいいのかな?でももう一回やってとは言われたけど、解説してとは言われていない。
うーん……ま、しなくていいか。解説しながらだと倒すのに時間かかっちゃうし。
ボスエリアに入って、さっきやった手順と同じやり方で倒した。記録は26秒。ちょっと遅くなっちゃったな。
[セカはじ:<♢100>ありがとうございました。すごかったです]
[かげまる:<♢1000>バグだろ]
[ぶしゃぶしゃ:<♢10>ロッドで殴るでいけるんだ]
[藍汽:<♢10>気合いでなんとかなってて草]
「投げ銭ありがとうございます。あの、後は町に行くだけなのでなんの面白味もないです。散ってください」
よし、前回と違って事前に宣告できた。俺も成長するんだよ。
これでもう閲覧数は減った筈だ。
町への道を歩く。
[藍汽:<♢10>他のゲームやりこんでたん?]
えっ……まだ人いんの??
散れって言ったのに。
「えっと、オフラインのゲームでよく遊んでます」
俺の返事に対してなんの反応も無く、ちょっとだけ気まずい気持ちになる。
返答内容が終わっていた自覚はあるし、通常コメントを切っている俺も悪いが、課金してまで聞いたのなら、最後まで責任持って欲しい。
これだから配信は嫌なんだよ。コメントする側が何言っても良くて、コメント内容に無責任でいる感じが。
課金がされない設定にすれば、投げ銭ができなくなる訳だから、投げ銭コメも出来なくなる。しかしそうすると、俺の目的である小遣い稼ぎが当然できなくなる。
難しい問題だな。
もう投げられている分だけ回収して撤退するか?
でもなぁ……最初のボス倒しただけで結構投げ銭貰えちゃったんだよなぁ……今後もボスに挑んでいれば簡単に稼げる可能性が全然ある。
なんて悩みながら歩いていると町が見えてきた。
さっきまで居た村よりは広そうだが、周りが木の柵で囲われていて、そこまで広くはなさそうだ。
近づくと門番らしき人に話しかけられた。
「救世主様ですね。アンナさんから話は聞いています。ようこそアルファールへ」
木製の門を開けてくれたので、素直に中に入る。すると、ロードが入った。
『アルファールに到着しました。新マップが開放されます。
チュートリアルをクリアしました。
オンラインサーバーに自動移行します。
チャット機能、パーティ機能、フレンド機能、クラン機能、取引所、有料ショップ、交流掲示板、お気に入り機能が開放されました。
詳しくはヘルプページをご確認ください。』
アナウンスが入る。
町には頭上に名前が書かれたプレイヤーと思しき人達が居た。ついにここから本番か……
とりあえず爽真にフレンド申請送っとくか。名前は確か真の勇者ソーマだっけ。なんであいつこんな恥ずかしい名前にしたんだ。しかも本名含まれてるし。
俺には考えられない名前の付け方だが、まぁ覚えやすそうだしいいのか?
申請は無事にできたので、そのうち承認されるだろう。さっき電話した時、午後からログインするって言ってたからな。
それまでは……メインストーリーを進めようかな。
HPバーの下には相変わらず文字が書いてあって、今は《メイン:転職しよう》に変わっている。
でも転職ってどこで出来るんだろう。
クエスト詳細に書かれてるかな。書かれてたわ。教会で祈ることで転職ができるらしい。
教会って配信機能の開放以外にも役割あったんだ。
マップを開いて教会の場所を確認する。真っ直ぐに行けば辿り着けそう。
踏み固められた土の道を歩く。
周囲には木造2階建の家が並び、読めない文字の看板があったり、洗濯物が干されていたりした。結構作り込みがされているようだ。
パッと見じゃNPCたちが井戸端会議しているのか、プレイヤー同士で雑談しているのかわからない。違いは名前の横に人型のアイコンがあるかないか。ある方がプレイヤーだ。
周りを見ながら歩いているとすぐに教会にたどり着けた。始まりの村のと違って建物が大きい。中の女神像も立派だった。
近づくとやはり《祈りますか?》と聞かれたので両手を組み祈る。
『ノスリよ。ここまで多くの経験をしましたね。貴方は次の段階にいけます。進みたい未来を選ぶのです』
目を開けると目の前には選択肢が現れていた。
《転職先候補》
[初心者魔法使い⭐︎]
一般的な転職先。使える属性が増える。
[初心者炎使い⭐︎]
一般的な転職先。炎魔法に特化する。
[初心者付与術師⭐︎⭐︎]
支援魔法が得意な者の転職先。豊富な支援魔法が使えるようになる。
[初心者魔弾使い⭐︎⭐︎]
遠距離戦が得意な者の転職先。遠距離魔法に特化する。
[初心者魔法戦士⭐︎⭐︎⭐︎]
接近戦が得意な者の転職先。魔法と剣術が使えるようになる。
シンプルに⭐︎が多い方がレアみたいな話かな。
うーん……遠距離攻撃したいし初心者魔弾使いにしよう。
選択肢を押すと、たらったーという軽快な音が鳴った。
ステータスを見ると職業が初心者魔弾使いに変わり、職業レベルは1になっている。
転職したらレベルが引き継がれないタイプのゲームなんだな。
スキルは新しく“バレット-炎-”というものを覚えた。炎の弾を撃てるらしい。ファイアーボールと何が違うんだろうな。
スキルスロットは3個から10個まで増えていた。
元々登録していた3つのスキルはそのままに、今覚えたバレットも登録する。
早速試してみたい。
適当にギルドのクエストを受けるか。
場所は……教会を出て左に進んだ突き当たりね。わかりやすくて良い。
配信者パラメーター
配信者に必要な能力が
【個性】キャラクター性があるか
【トーク力】何も起こってない時でもリスナーを楽しませられるか
【人脈】相性の良いコラボ相手がいるか、企画に誘ってくれる人はいるか
【行動力】イベントや流行りに飛びつけるか
【ゲーム技術】ゲームが上手いか、あるいは面白いほど圧倒的に下手か
【継続力】長期間定期的に配信ができるか
とした時に、現在のノスリは10段階評価で
【個性】4
【トーク力】1
【人脈】2
【行動力】2
【ゲーム技術】9
【継続力】3
要はゲームスキルが上手いだけで見るに堪えない配信をしている。
そのうちきっとたぶんマシになります。




