最終話 時を繋ぐ永遠の架け橋
壊滅的な破壊の爪痕は、何百年も経った今の世界においても非常に深く、最初、リリアとその周辺地域の復旧は困難を極めた。それでもアテナタウンの皆が総力を挙げて協力し、地道で辛い作業を続けていく内、徐々に元通りとは言えないが、直していける道筋が付き始める。
核戦争から長い年月がその地域では経っている。しかしながら、核汚染が甚大な土地が所々に点在しており、その部分の除染は当初不可能と思われた。今のアテナタウンに放射能汚染を除去する科学力はない。だが、トウジはガブリエルの言葉を思い出し、シンシアーの格納庫を探した結果、ロストテクノロジーで作られた、放射能汚染除去装置を発見した。それはその土地において、汚染物質を装置内部へ選択的に集積し、放射能半減期を無限回数短縮する処理を行い、無害化するというシステムを持つものである。旧時代の先人が残した遺産が、リリスへの贖罪として使われたのだ。水爆とそのシステムは二律背反に存在するというのも、皮肉と言えるかもしれない。
「あなた達の誠意は分かりました。人を許しましょう。ですが、アテナ、イシュタル。あなた達や、他のマザーコンピュータは、私を許してくれるのでしょうか?」
「許しましょう。手を取り合わないと進んでいけないでしょう?」
人間たちの誠意に打たれたリリスの眼差しが正気に戻り、彼女は微かに優しい微笑みを浮かべたようであった。
五百年後。
「おーい! こっちだよー!」
「きゃはは! まってよー!」
大きく発展したアテナタウンは、アテネと改称された。その草花が香る広場の一隅で、子どもたちが鬼ごっこをして遊んでいる。
「元気じゃのう。誰かさんを思い出すわい」
かくしゃくとしたセトは、喫茶店でコーヒーを楽しみながら、子どもたちの遊びを懐かしそうに見守っていた。
明日の世界は今日より少しだけ良くなっているだろう。時代をつなぐ架け橋は永遠である。
おわり




