第七十八話 誠意と無謀は違う!
セトはトウジの顔をじーっと見ている。いつまでもいつまでも見続けている。そして20分くらい経っただろうか、何やらこの老翁には納得したところがあったのか、少し表情を緩め、アキヒトから受け継いだブレスレットを付けたトウジの右腕をしっかりと握り、
「いいじゃろう。超能力の使い方を教えてやろう。わしは超能力を使えんのじゃが、年の功で教えることはできる」
彼の心の隅々まで見渡したような目で見ながら、望んでいる訓練をつけることをセトは承諾した。
以前も述べたが、トウジの先祖にはバイオノイドのサラがいる。その系譜が続いているので、彼にも特殊な力が備わっている可能性がある。しかし、代が重なっているので血の薄まりはどうしようもない。超能力を発現させ、それを自分のものにするには時間がかなりかかった。それでも、トウジの性質である諦めない頑張りで、ブレスレットを通し、自在にエネルギーシールドを右手に作り出せるまで、力をものにしている。これでアテナが提示した、第一の課題はクリアできた。
充分な武装を開発する。第二の課題も簡単なものではない。だが、このことに関してはアテナを始め、皆に助力を頼める。今現在、アテナタウンが有している科学力を結集し、危険な旅に必要な重火器を作り出し、揃えることは何とかできた。第二の課題もクリアできたが、時間が流れ、季節も移り変わり、既に半年以上が経っている。
聞かない子のトウジも、よく理解していた通り、第三の課題のクリアが一番難航した。アテナタウンの住民誰しもが、「リリスの処へ向かう必要があるのか? 危険過ぎる!」そのような意見を持ち、総意でもある。トウジの主張は、住民の説得を始めた頃、無謀にしか捉えられていない。それでも根気よく、根本の解決には非常に危険でも旅に出て、リリスと話し合うしかないことを何度もみんなに伝えた結果、少しずつトウジの誠意に同意する者が現れ始めた。そうして町の総意を変えていくまで、10ヶ月を要した。
「今回は許しませんよ。他のことは許しても、これだけは許しません。トウジ。何であなたが帰ってこれるか分からないような旅をしなくちゃならないの!?」
「お前の誠意と気持ちは分かるよ。だがな、俺もそんな旅に向かわせることは許せない。アテナの言う通りにしなさい」
(こんな顔をした父さんと母さんは初めて見るな……)
わざわざ自身の命を投げ出すような旅に行かせてくれと、バカな息子が最後の願いとして頼んでくるのである。エマとカツトシは、怒りを通り越して必死の形相で愚息のトウジを思い止まらせている最中だ。




