第五十一話 中に入っていた物は
家にある小型電動カーに特殊鋼の外殻を持ったアキヒトの遺産?を積み、トウジはマリー・サトル総合工科学校に向かった。工作室と道具を借りて外殻をなんとか開けようと考えている。荷物が重いだけで、トウジの家からは車を使って行くような距離でもないので、学校にはすぐ着いた。
「さてと。始めるとするか」
工作室にアキヒトの遺産を運び込むと、トウジは早速、その外殻の解体に取り掛かっている。よく観察すると外殻には継ぎ目があるのだが、長い年月地中に埋まっていたのもあり、継ぎ目と継ぎ目は一体化しているようにピッチリと合わさっており、一筋縄では開きそうにない。
「うーん。まあまずはこれでいくか」
そう独り言をつぶやきながら、トウジは金槌とタガネを用意し、継ぎ目にあてがってくさびを打ち込み開くかどうか試すことにした。古風なやり方だが、案外一番手っ取り早く開くかもしれない。
トウジは工科学校で製作関連において、非常に優秀な成績を修めているのもあり、かなり器用だ。ポイントをしっかり定めて鎚でタガネを正確に打つと、手応えがあり継ぎ目に少し隙間が開いた。
「おっ! これでいけそうだな。最悪、熱で切らないといけないかなと思っていたけど……」
昔ながらの方法ですんなり開く手応えを感じ、トウジはリズミカルに外殻を回しながらタガネで継ぎ目を開けていっている。隙間が特殊鋼外殻の周り全体に行き渡った所で、外殻を布で養生した床に転がし、それを両手で力いっぱい引き離すと、パカっと開けることができた。
「やったぜ! 案外簡単だったな」
喜びながら開いた後の外殻内部に、何が入っているかをトウジは確認している。中には小さな木箱が一つ入っていた。それだけである。
何か想像もつかない凄いものが入っているのではと、勝手に考えていたため、トウジは拍子抜けした顔をしている。一応は小さな木箱の中も確認してみようと、それを開けてみた。
中にはアキヒトがいた三百年前の時代に使われていたマイクロメモリーが一つ入っている。
「これはきっと、ご先祖様が残してくれたメッセージが入っているのよ」
「そうだな。俺もそう思うよ。で、端末に読み込ませないといけないわけだが……」
アキヒトの遺産を特殊鋼外殻から取り出している内に、学校は昼休憩に入っていた。受け持ちの授業が一段落したリナに、トウジは遺産がマイクロメモリーだったことを知らせ、学校の端末にそれを読み込ませて一緒に見ようとしている。
ただ、それをするには少しばかり問題があった。大したことではないのだが。




