第五十話 そっけないアテナと両親との団欒
ご先祖様が自分たち子孫に残してくれた宝を無事掘り起こせた後、トウジとリナは通信管制塔内で一晩眠り、翌朝、お墓にもう一度挨拶してハチギ山を下りた。特殊鋼の外殻がある宝は、そこまでの大きさはなかったので、リュックに入れて背負うことができ、比較的楽にアテナタウンまで持ち帰る事ができている。
下山後、コントロールタワーに向かい、アテナに無事戻り宝も掘り当てた事を得意そうにトウジは報告した。アテナは彼らの帰還を喜び安心していたが、宝を持ち帰った事については案外そっけない。
「持ち帰った宝がなんであるかは、私からは何も言いません。あなた達で調べて下さい」
「ええー!? なんか冷たくないかい? まあいいや……俺たちでなんとかするよ」
褒められるくらいにトウジは考えていたのだが、アテナから宝についてこんなことを言われてしまった。何となく面白くないが、調査を続ければご先祖様が残した宝の謎がもう少しで分かるはずである。コントロールタワーを出た後、その日は二日に渡る登山の疲労を取るため、トウジもリナも両親が待つそれぞれの家に帰り、温かい家庭料理をしっかり食べてよく眠った。
一日くつろぎ疲れが取れた。目を覚ましたトウジはまだ冴えてこない頭で、ボーっとしながら窓に差し込む朝明かりを見ている。野鳥が外で賑やかに鳴くのが聞こえてくる。彼にとってはいつも通りの朝だ。
10分くらいぼんやりしていたがトウジはようやく動く気になり、着替えて家の一階に降りた。彼の母が作るスープの香りが降りている途中から漂い、食欲旺盛なトウジの寝ぼけている感覚を刺激している。
「おう、起きたか」
「おはよう、トウジ」
「うん、おはよう」
母と父に朝の挨拶を軽くして、トウジは食事を取るためテーブルの席に着いた。彼の父の名はカツトシと言い、アテナタウンの機械整備工をしている。母の名はエマと言う。両親とも優しく、トウジがふらふらと遊んでいても大目に見ていて、あまりそのことに関してキツく言うことはなかった。
「今日は学校にご先祖様の宝を持っていくらしいな」
「うん、家にある父さんの道具だけじゃ、あの外殻を開けるのは無理だからね」
「何が入ってるのかしらね。そうそう……トウジ、お弁当を作っておいたわよ」
エマはキッチンに置いていた手作り弁当をトウジに渡す。料理上手な母の愛情がこもった弁当だ。
「うん。ありがとう。朝飯を食べたら早速行ってくるよ」
「まあ好奇心を持ってあれこれやるのもいいが、たまには俺の仕事も手伝うんだぞ」
「わかってるよ」
うるさくないとはいえ子を心配する気持ちにより、チクリと両親から言われることもあるトウジだった。




