第7話 幼馴染は勉強出来る子、出来ない子?
いつもお読みいただきありがとうございます!
高校生活2日目。
気付けば午後の授業も始まっていた。
昼食後でお腹も一杯。
加えて今日は今年1番の暖かさということもあり、強烈な睡魔が俺を襲ってくる。
こんな時に限って、科目は座学メインの日本史であった。
俺は日本史が好きなので興味がないわけではないのだが、寝るつもりはなくても無意識にまぶたが重くなってくる。
――そういえば、華恋はどうしているかな……。
このコンディション……華恋は、絶対に眠気には勝てない。
小学生の時も、授業中に寝ていた記憶しかない。
ふと華恋の方を見てみると……。
「……!」
――しっかりとノートに内容を書いている?
右手にはシャーペンを持ち、左手は教科書を押さえている。
昔の華恋には、想像のつかない姿であった。
彼女は、本気で変わろうとしているのか……この姿がいつまで続くかは定かではないが……。
もし本当に続いたとしたら……。
――?
不意に、華恋がこちらを向き、目が合うと不思議そうにコテッと首を傾げた。
何故、俺が見ていることに気づいたのだろうか。
その可愛らしい仕草に思考を奪われそうになっていると、耳に俺の名前を呼ぶ声が入ってきた。
「緑ヶ丘くん!」
「……は、はい!」
「ここの問題の答え、分かるかな?」
「あ、えっと……」
日本史の先生は、腕を組みながらこちらを見ていた。
俺は、先生に声をかけられていたことに気づいていなかった。
は、恥ずかしい……。
授業初日から、全く話を聞いていない不真面目な生徒と思われたかもしれない。
それどころか、華恋を見つめていたことが本人にバレたことが少し恥ずかしかった。
◇
「キーンコーンカーンコーン」
「気をつけ、礼! ありがとうございました」
2日目の学校が終わった。
これから、放課後になるわけだが……。
クラスメイトが、ゾロゾロとクラスを出て行く。
本格的な授業が始まって1日目。
俺は、慣れない環境に疲弊していた。
俺は身支度を整えていると、前に座っている西川がこちらに振り向いてきた。
「優作? お前にしては、ボケーっとしてたなぁ。白原さんのことでも考えていたのか?」
「え!? そんなわけないでしょ?」
「いや、そんな言い方したら、疑っちゃうけど……」
西川は、俺の心を読んでいるかのように、ニヤリと笑いながら、冗談混じりでイジってくる。
「いや、勉強してる姿が全く想像できなくて……」
俺は、華恋が勉強が嫌いなことを知っている。
「え、白原さん勉強出来るイメージしかないけど」
まずい、また余計な情報を西川に漏らしてしまった、と思ったが……。
西川の言いたいこともわかる。
確かに、この学校はそこそこ頭が良くないと、入学は出来ない。
俺が、華恋がこの学校にいて驚いたのも、彼女が俺と同じぐらいの学力になるまで努力したことに驚いた部分もある。
「え? でも、白原さんの勝手なイメージだけどさぁ」
「は、はぁ……華恋のイメージ?」
「まず、勉強は成績上位、運動もそつなくこなせて、料理も美味しい。だけど、意外な一面があって、家では、ゲームやアニメとかが好き。……そうだなぁ、麻雀とかやってたら、ギャップ萌えしちゃうねー」
「……」
――ま、麻雀だと……!? こいつ、監視カメラでも仕掛けているのか!?
そう言いながら、西川は笑っていた。
俺より、華恋を知っているかもしれない。
勉強と料理が得意なこと以外は、当たっているぞ。
それよりも、この会話を華恋に聞かれていたら、俺が情報を漏らしたと勘違いされるかもしれない。
そう思い、俺はクラスに華恋がいないか、周囲を確認した。
パッと見、もう下校しているようだ。
安心して、椅子にもたれかかる。
「どう? 俺の白原さんのイメージ? 意外と良い線いってないかな?」
「あぁ、何個かは当たっているかもしれないな」
「やっぱりそうだよなー!」
西川がウンウンと頷いた。
後で、華恋にも「西川には気をつけた方がいいぞ」と忠告しておいた方がいいかもしれない……。
「じゃあ、帰ろうか」
「あぁ、俺は、バレー部の見学行ってくるよ」
「バレー部?」
そうか、もう部活の見学とか始まっているのか。
とは言っても、もう俺は部活に入るつもりは無いのだが。
「そっか、じゃあ俺は先に帰るな」
「まって優作!」
「?」
西川は、帰ろうとする俺の手を取った。
「お、お前は部活に入らないのか?」
「う、うん……」
「そ、そっか……呼び止めてごめんね! じゃあまた明日!」
西川は体育館へ向かっていった。
そういえば、あいつは中学生の時、バドミントン部だった気がするが、高校では違う部活に入るのか。
まぁ西川のセンスなら、身長も高いし、バレーでも活躍出来そうだ。
これも、別の意味で高校デビューなのかもしれない。
俺も何か部活に入ったほうが良いのかな……。
華恋が高校デビューしたように、俺も部活に入って何かを変えるべきなのか……。
もし入るなら、何の部活に入部するかと考えた。
――な、何も思いつかない……。
今の俺には、もう何かに全力で打ち込むことなんてできないのだ。
遠くの体育館から聞こえてくるシューズの音がやけに大きく聞こえる。
俺が部活に入ろうと思った気持ちは、一瞬にして消え去った。
優作が、体育館に思いをはせる理由……。
それには、深いわけがあり……。
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