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疎遠だった幼馴染と高校で再開したら俺のタイプに変貌した件  作者: エンザワ ナオキ
第3章 学校生活編①

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第64話 団結力

いつもお読みいただきありがとうございます!

 第1セットは、迫水先輩の策略にハマってしまい、取られてしまった。

 しかし、第2セットでは、こちらの作戦が上手くはまり、やり返すことが出来た。

 そして、迫水先輩をイライラさせたことによって、相手の雰囲気も悪く、完全にこちらのペースに持ってこれている。


 セットカウントは『1対1』。


 相手が立ち直る前に、さっさと試合を決めたい。


「ピーッ!」


 第3セットの笛が鳴り響いた。

 サーブは、ずっと宮くん狙いのサーブを打ってきた迫水先輩からで、彼はボールを高く上げた。


 ――まさか、ジャンプサーブを打つつもりか?


 迫水先輩は、サーブが上手かったな……。

 試合では、ピンチサーバーもしていたっけ。

 あの頃のジャンプサーブを打たれたら、誰も取れない……。


 いよいよ、なりふり構っていられないということか。

 俺と唐島くんで何とか上げるしかない……。


「唐島くん! 注意して!」


「お、おぅ!」


 迫水先輩は、高く上がったバレーボールに向かってジャンプして、思いっきりサーブを打ってきた。


 しかし……。


「ボトン!」


 どんなにサーブが上手かった人も、ブランクと膝の怪我には勝てなかったのか、迫水先輩のジャンプサーブは、観客席の方に大きく逸れていった。


 俺は、逸れたサーブを目で追っていたが、ここまで逸れる迫水先輩のサーブを見たのは初めてだ。


 ――迫水先輩……。


 今は嫌いになってしまったが、あの頃は頼りになる憧れの先輩だった。

 そんな先輩の面影はもう見えない。


 その後の俺たちは、必死にボールを繋いで繋いで、ミスもみんなでカバーをしていた。


 順調に点数を重ね『10対5』と大きくリードを奪っていた。


 明るさが天と地の差がある両チーム。

 そんな中、なりふり構っていられない迫水先輩は、ネット前に上がったボールに反応して、アタックを打ってきた。


「バァーン!」


 そのアタックを、俺は完璧なタイミングで跳び、見事にブロックした。


「ゆ、優作……! す、すごい……!」


 応援席から華恋の声と、黄色い声援が聞こえてくる。


「先輩……残念でしたね!」


「くっ……」


 久々の……ボールが手のひらに当たる感触。

 そして、目の前には眉間にシワを寄せて、俺を睨みながら、悔しがる迫水先輩の姿があった。


「こ、こいつ……」


 向こうの空気はさらに悪くなる。

 反面、俺たちの空気は最高潮に明るかった。


 その後も1組の勢いは止まらず、ついに『14対9』でマッチポイントを迎えた。

 そして、この大事な場面で、俺にサーブ権が回ってきた。


 エンドラインに立ち、ボールを手に取る。

 ネットの向こうでは、疲労と焦りで肩で息をする迫水先輩が、悔しそうにこちらを睨みつけていた。


 —―これで、最後だよ……。


 俺は大きく深呼吸をし、応援席の方を見ると、祈るように見つめる華恋の姿があった。

 目が合うと、彼女はコクリと小さく頷いた。

 そしてその瞬間、自然と肩の力が抜けていった。


 ――最後は、かっこいいところを見せてやるか……。


 試合前から、最後は華恋にジャンプサーブを見せてやる……と実は、前から決めていた。


「ピーッ!」


 笛の音が鳴り響く。

 俺は、天高くボールを放り投げ、助走をつけて床を蹴った。

 空中で弓のように体を反らせて、右腕を振り抜いた。


「いっけぇぇぇ!」


 振り抜いたボールは、迫水先輩の真正面へと一直線に飛んで行った。


「……!」


 決して本気で打つことは出来なかったが、俺の思いがこもったボールを、迫水先輩がレシーブ出来るわけもなく、ボールは大きく後方にはじかれ、そのまま体育館の床に勢いよく転がった。


「ピッ、ピィィーーー!」


 その瞬間、試合終了を告げる長い笛の音が、体育館内に鳴り響いた。


「や、やったー!」


「よっしゃ~!」


 コートの真ん中に、6人は集まり、歓喜の瞬間が生まれた。

 応援席にいる華恋たちも「おめでとう」と拍手で迎えてくれた。


 俺たちは、試合終了の挨拶を終え、応援席の方へ向かった。


「ナイスゲーム!」


 華恋のその一言が、今の疲れた俺の体に染みた。


「……ちゃんと、見ていてくれた?」


「うん! ブロックも、サーブもキレッキレだったね! ……約束通り、すっごくカッコよかったよ」


 華恋は少しだけ頬を染めながら、上目遣いで俺を見つめてきた。


 ――良かった……。


 俺が出来る最大限のパフォーマンスを、ちゃんと華恋が見ていてくれてよかった。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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