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疎遠だった幼馴染と高校で再開したら俺のタイプに変貌した件  作者: エンザワ ナオキ
第3章 学校生活編①

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第63話 優作の作戦

いつもお読みいただきありがとうございます!

 第2セットは、こちらのサーブから始まる。

 劣勢の重い空気を跳ね返すために、重要なサーブとなる。


 俺は、2年2組に勝つための『ある作戦』を決行するべく、最初のサーブを担うこととなった。


「ピーッ!」


 俺は、ボールを高く上げ、そんなに力を入れずに、サーブを打った。

 バレーに不慣れな相手の間に、ふわりと落ちるように狙って。


「俺が……」


「いや、俺がとる……あっ!」


 相手は、ボールを譲り合った。

 いわゆる『お見合い』というやつだ。


「ナイス!」


「さすが!」


 宮くんと唐島くんもガッツポーズを見せた。

 俺は、チームメイトと笑顔でハイタッチを交わした。


「ピーッ!」


 俺は、笛の音を聞き、再びボールを高く上げ、同じようなサーブを打った。

 今度は、ちょっと右に逸れてしまい、相手の正面にボールが行ってしまったが……。


「あっ!」


 ボールは、明後日の方向に飛んでいった。


「サービスエースだ! かっけぇ!」


「これで、連続得点だよ! 優作!」


 顔色が曇っていた宮くんに少しずつ笑顔が見え始め、唐島くんもホッとした顔を見せている。


「ピーッ!」


 俺は、再び不慣れな相手に対し、お見合いを狙うようなサーブを打ったが……。


「まかせろ!」


 迫水先輩は、味方から無理やりボールを取り上げ、レシーブを成功させた。

 そして、恐らく経験者の相手が、トスを上げたものの……。


「あっ!」


 連携が上手くいかずに、ボールはそのまま相手側のコートにポトリと落ちた。

 これで、3連続得点だ。


 そう、俺が思いついた作戦とは……。


 『迫水先輩のプレッシャーを相手に与える作戦』……だ!


 第1セットを見て思った。

 相手は、不慣れなメンバーがミスをすると、迫水先輩の機嫌が悪くなり、連携が取れなくなっていた。

 そのため、俺たちがミスを誘うことで、迫水先輩に自らのチームへプレッシャーを与えさせ、雰囲気を悪くするという作戦だ。


 この作戦から、流れは少しずつこちらに傾き始めた。

 当然だが、相手クラスも全員がバレーの経験者というわけではない。

 迫水先輩のプレッシャーからか、不慣れなメンバーにミスが目立ち始めた。


「何やっているんだ! 俺に繋げろって言っているだろ!」


「ご、ごめん……」


 迫水先輩は、どんどんイライラしていき、相手チームの雰囲気は最悪になった。

 他にも、経験者がいるようだが、完全に迫水先輩のワンマンチームになっている。


「こっちは、確実に繋いでいくぞ!」


「おー!」


 雰囲気最悪でギスギスし始めた相手チームとは対照的に、俺たちは声を掛け合い、必死にボールを拾い続けた。

 たとえミスをしたとしても、「ドンマイ」や「切り替えていこう」と励ましの声が溢れている。


『14対7』


 その団結力が実を結び、第2セットもあと1点というところまで来ていた。


 そして、この重要なサーブを打つのは、宮くんだった。


「いけー! 宮くん!」


「決めちゃってください!」


 応援席からも、華恋かれん天音あまねさんたちの黄色い歓声が聞こえる。

 華恋とバッチリ目が合うと、彼女は俺に向けて小さくガッツポーズを作ってくれた。


「ピーッ!」


 宮くんは緊張しているようだが、さっきよりはリラックスしている。

 そして、宮くんはアンダーサーブを打った。


 ――よし! なんとかコートに入りそうだ。


 というか、偶然にも不慣れなメンバーが集まる場所にボールが落ちそうだ。


「ボトン……」


 静かな音を立てて、お互いに声を掛け合うこともなく、ボールは無情にも相手コートの真ん中に落ちた。


「ピーッ!」


 審判の笛の音が体育館に響き渡り、スコアボードに『15点目』が刻まれた。


「うぉぉぉ! サービスエースだ!」


 宮くんは、両手を高く上げてバンザイをしていた。

 その喜び方は、まるで優勝したかのようで、今日の鬱憤を晴らしているみたいだった。


「宮くん! ナイスサーブ!」


「やったね、宮くん!」


 俺と唐島くんが駆け寄り、宮くんと勢いよくハイタッチを交わす。


「ふふん、見たか? 優作の作戦通りの絶妙なサーブを!」


 いや、偶然だとは思うが、宮くんはドヤ顔を続けていた。

 だが、この土壇場でしっかりとコートにサーブを入れ切ったことを褒めるしかなかった。


「なんで大事なところで、お見合いなんかしてんだよ!!」


 ネットの向こう側では、迫水先輩の激しい怒号が響き渡っていた。

 味方を責め立てる迫水先輩と、申し訳なさそうに縮こまるメンバーたち。

 相手チームの空気は、完全に冷え切っていた。


「みんなー! ナイスプレー!」


 応援席の最前列からは、華恋が身を乗り出して嬉しそうに手を振っている。

 隣では館山さんが拍手を送り、天音さんも大きく頷いていた。


 怒り狂う迫水先輩率いる2年2組に対し、俺たちは一致団結した絆で挑む。

 次のセットを取れば、俺たちの勝ちだ……!


 華恋にカッコいいところを見せるためにも、俺たちは絶対に勝つ!

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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