第61話 2日目開始!
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俺たちは、遂に球技祭2日目を迎えた。
今日が終われば、勝者が決まる大事な日だ。
たかが学校の球技祭と思う方もいるかもしれないが、想像以上の熱がある。
今日のスケジュールも、詰め詰めとなっている。
まず最初に行われるのは、10時からグラウンドでソフトボールだ。
「今日こそ、カッコよく決めてやるぞ!」
「自分も勝てるように頑張りたいです!」
教室に入ると、部活の朝練を終えた西川と大和、そしてソフトボールに参加する男子生徒数名で輪が出来ていた。
――ソフトボール組も気合十分だな。
その光景を見ると、こっちも嫌でも気合が入ってくる。
俺が、西川たちを眺めていると、隣の席に座っていた館山さんが、話しかけてきた。
「優作くん。私は、ソフトボールの応援に行くから、負けないように頑張ってね」
「あ、そうなの?」
「うん……。どうしても西川くんが『俺たちを応援してほしい』と話を聞かないからね」
「そうか……」
どうやら、館山さんは、女子バレーボールの時間の関係上、最初の方しか応援が出来ないようだが、ソフトボールを応援しに行くようだ。
西川、上手く館山さんを誘うことが出来たんだな。
昨日に引き続き、俺は男子バレーボールと時間が被ってしまい西川の試合を見ることは出来ないが、吉報を待ちたい。
宮くんも唐島くんも、そして他のクラスメイトも元気一杯だ。
「遅いよ、優作! せっかくバレーボール借りたんだから、ちょっとトスの練習したかったのに……」
「いやいや、教室の中で、練習をするな!」
俺は、数日前に「家でも練習をしたい」と言っていた宮くんに、実家でホコリを被っていたバレーボールを貸してあげた。
そのボールを使って教室で練習しようとする宮くんに、唐島くんが呆れ顔で同調する。
「本当だよ……危ないって、言っているのに、ずっとボール触っているんだよ」
「宮くん? 唐島くんを困らせちゃだめだよ?」
「あ、あぁ……わりぃ……」
宮くんの自由さに、唐島くんも困っているようだ。
俺の注意に、戸惑いながらも小さく頷いた宮くん。
まるで、兄弟喧嘩を止めているお父さんのような気持ちだ。
しかし、宮くんは向上心が強く、スパッと断るのは申し訳ないので、俺からちょっとだけ練習に付き合うこととした。
「ホームルーム終わったら、ちょっと校庭に出て、トスの練習でもするか?」
「あ、あぁ……お願いしたい」
この男が、高校で部活をやっていないことが勿体ないと感じる。
「優作、おはよう!」
「あぁ、おはよう」
俺が宮くんと球技祭前、最後の練習の約束をしていると、今朝、俺と一緒に登校した華恋が、既に着替え終えたジャージ姿で様子を伺いながら話しかけてきた。
華恋たちが登場する女子バレーボールは、ソフトボールと男子バレーボールの出番が終わった後だ。
「いよいよ今日だね! お互いに暴れてやろうね!」
「そ、そうだね……。暴れよう!」
1日目は、あまり活躍できなかった華恋。
今日は俺たちの試合が終わった後だから、最初から恐らく見られるはずだ。
どうか、《活躍》をする姿を見せてくれ……ミスばかりして、別の意味で可愛く暴れないことを祈りたい。
「あとさ……」
「うん?」
「優勝まで、あとちょっとだね……」
「えぇ? あ、あぁ~そうだな」
華恋は少し上目遣いで、もじもじとしながら俺の顔を覗き込んできた。
――その言葉の意味……。
それは間違いなく、『優勝したらなんでも一つお願いを聞く』というあの約束のことだろう。
「何をお願いするか考えたの?」
「ま、まぁね。一応は……」
「そ、そっか……それなら良かった」
華恋は安堵したような、でもほんの少しだけ残念そうな、複雑な表情を浮かべて視線を逸らした。
俺は華恋に何をお願いするかを全く考えていなかった。
――もし、優勝したら、俺は華恋に何をお願いすればいいんだ……。
空いている時間に、ちょっと考えなくては……。
――いや、勝ってもいないのに、勝った後のことを考えるなんて、嫌な予感しかしない。
俺の頭の中では、自問自答の時間が続いた。
しかし、今はともかく、お互い勝って笑顔で球技祭を終えることが先決だ。
迫水先輩のクラスに勝って、最高の気分で華恋たちを応援したい。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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