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疎遠だった幼馴染と高校で再開したら俺のタイプに変貌した件  作者: エンザワ ナオキ
第3章 学校生活編①

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第58話 ババ抜き大会 中編

いつもお読みいただきありがとうございます!

「優作は、分からないかな? それだと、ただのくじ引きじゃん!」


 俺が、華恋かれん()()()()()()を否決された後、教室に大和が来た。


「西川くん! 早く部活に行きますよ!」


 教室のドアから、ひょっこりと顔を出す大和。

 そして、集まっている俺たちに「何しているんですか?」と不思議そうに歩いてきた。


「大和くん! 今、みんなでババ抜きしていたんだよ」


「ババ抜き……ですか?」


「そう! 良かったら、大和くんもちょっとだけやって行かない?」


「いいですよ?」


 館山さんの提案に、大和は快くOKの返事をした。


「えぇ……でも、大和くん、先輩に怒られたりしないの?」


「そうですね……先輩の目が怖いですが、ミーティングまで20分ほどありますし、1〜2回だけならやります」


「そ、そうなんだね……」


 華恋は、ババ抜きで連敗続きで、もう止める雰囲気を醸し出していた。

 そのため、彼女は全然乗り気じゃない。


「わ、私は見ていようかな?」


「せっかくですし、華恋さんもやりましょうよ」


「う、うぅ……」


 華恋のババ抜きの弱さを全く知らない大和は、純粋な気持ちで、参加を勧める。

 素直な気持ちで言われてしまい、華恋も断りきれない。


 そして、大和は机の真ん中に置いてある、ババ抜き後の散らかっているトランプを一つにまとめて、華恋の分も含めて、配り始めた。


「じゃあ、自分はここに座りますね」


「あ、あぁ……」


「うん! どうぞー」


 そして彼は、館山さんと西川の間に座った。

 その瞬間、西川は「おいまじか……そこは俺が座っていたかったのに……」と言いたげなリアクションを大和に向けた。


 まぁ悪気がないことはわかる。

 手際よく、6人分のトランプを配る大和。


「やる気満々だねぇ」


「はい! ババ抜き、久々にやります」


「あんまりしないかぁ」


 何気ない館山さんと大和の会話。

 そして、喋りながらも素早くトランプを配り終えた。


「さて、始めましょうか!」


 ババ抜き参加メンバーは、自分の目の前に無造作に置いてあるトランプをまとめて、ババ抜きの準備を進めた。


 各自が、揃っているトランプを机の真ん中に捨てていく中……。


「あぁ!」


「ん、どうした? 大和?」


「な、なんでもありませんよ?」


 大和が急に声を上げた。

 西川の問いに、明らかに動揺を隠していない大和。


 まさか、大和は、ババを持つと、声を出してしまうタイプか?


 そうだとすると、華恋とも争えるぐらいの最弱王筆頭候補になるが……。


「誰にババが行っているかねぇ」


 館山さんが、誰がババを持っているか様子を伺う。

 正直、ババを持っている時に、彼女に顔色を見られたくない。

 全て、見透かされる気がする……。


「私じゃないよ?」


「俺でもないぞ?」


 華恋と俺は、ババを持っていないことをみんなに伝えた。

 誰もが「持っていないこと」を訴える中、馬鹿正直な人間が、この中にいた。


「自分が持っていますよ?」


 その声を上げたのは、大和だった。

 しかし、これはババ抜きだ。

 心理戦に持ち込んできている可能性もある。


「大和ー? 本当に持っているの?」


「はい、持っていますよ?」


 ――なんだこの真っ直ぐな目は……。


 とても嘘ついているように見えない。


 その後、ババは大和の場所から動くことなく、後半戦まで試合は進む。


「上がりました!」


「はい、上がりー!」


「私も上がり!」


 最初に上がったのは、天音あまねさん。

 その次に、俺が上がり、館山さんもそれに続いた。


 残り2枚からなかなか上がれない、華恋と西川。

 ババを持っていて、一番焦らないといけない大和は、残り2枚。


「なかなか、上がれませんね……」


 大和は、自分の手札を引かれるタイミングでも、素直な性格からか「あ……」と、ババじゃない方に触れられた際に、思わず声が漏れてしまう。


 そんな均衡もついに破れるタイミングが来た。


「やりぃ! エースが揃った!」


 西川がついに残りのトランプを揃えることに成功する。

 俺はその瞬間、華恋が動揺していないか表情を確認したが……。


 その顔は、やけに冷静だった。

 確かに、焦る必要はない。

 大和は、ババ以外のトランプを引かれそうになると「あ……」と声を漏らす。


 この声を聞き逃さなければ、華恋が()()に勝利を掴む時が来る。


 華恋は、大和が差し出した2枚のトランプに手を掛けた。


「こっちかなぁ?」


「……」


 右のトランプを触った時、声は漏れなかった。

 つまり、この場にいる全員が、こっちがババということだ。


「こっちかなぁ?」


「あ……」


 左で声が漏れた。


「こっちだ!」


 華恋は「読み切った」と言わんばかりに、ドヤ顔で左のトランプを引き、机に叩きつけた。


(JOKER)


「……え?」


 机に叩きつけたトランプには、何と『JOKER』と書かれていた。

 その場にいる全員の頭の中が「?」マークで覆い尽くされた。


「浅はかでしたね! 白原さん!」


「ま、まさか……」


「今頃気付いても遅いですよ。自分は、この瞬間のために、ババ以外のカードを触った時に、声を出すという伏線を張っていたんです」


「な、なんだと?」


「そして、勝負所でいつもと反対のケースで声を漏らしました。それによって、白原さんは、ババを引かされたんです」


 大和は、恐ろしいほどに策士だった。

 そして、一気に大ピンチに追い詰められる華恋……。

 その表情は、いつもより曇っていた。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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