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疎遠だった幼馴染と高校で再開したら俺のタイプに変貌した件  作者: エンザワ ナオキ
第3章 学校生活編①

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第54話 華恋の意地

いつもお読みいただきありがとうございます!

 第2セットは、完全に勢い付いた1組が、優勢に試合を進めていく。

 焦った相手は、レシーブミスなどを連発し、どんどん点差が開いていく。


 気が付けば『10対2』と大量のリードとなっていた。


「あ……」


「気にしないで! 華恋!」


「白原さん! ドンマイです!」


 俺の視線の先には、クラスメイトと周囲からの期待に応えられない華恋の姿があった。


 きっと、彼女は内心焦っているだろう。


 点差をキープしつつ、試合は終盤戦に進む。


 そして、相手からのサーブが、華恋の目の前に飛んできた。


「華恋! 私が取るよ!」


「私に任せて! ……あっ!」


「ボトッ……」


 館山さんと華恋の大きな掛け声が聞こえてきた。

 しかし、その掛け声も虚しく、レシーブをサポートしようとした館山さんと華恋の間にボールがボトリと落ちた。


「ごめん……華恋間に合っていたね」


「き、気にしないで……。蒼ありがとう!」


 館山さんのドンマイと言う励ましに、華恋は再び引きつった笑顔を見せる。

 すぐに一緒に出場しているバレーボールのクラスメイトたちが、華恋の周りに集まり、「ドンマイ」や「切り替えていこう!」などの掛け声が小さいながら聞こえてくる。


 その後、相手チームの反撃を食らい『14対12』まで追い上げられていく。

 こちらは、マッチポイントまで来ているが、中々決めきれずにいた。


 今も、相手のレシーブが上手く、しっかりとスパイクまで決めてきた。

 山なりのボールではあるが、再び華恋と天音さん、館山さんの間に落ちそうな球が、飛んできた。


 —―まずい、またお見合いになってしまう……!


 俺の脳は、さっきのお見合いの光景を鮮明に覚えていた。


「わ、私が……」


 さっきまで、大きな声で「私に任せて」と掛け声を上げていたが、自信を無くしたのか、声が出なくなっていた。


「華恋、お願い!」


「白原さん! お願いします!」


 すると、館山さんと天音さんは、華恋にとってほしいと声を掛けた。

 その2人の掛け声に、自信を無くしていた華恋は、咄嗟とっさの反応を示し、落ちそうなボールに飛び込んだ。


「届けぇぇ!」


 華恋は、流石の運動神経を見せた。

 一度は、ボールを取りに行くかを迷った華恋だったが、2人の掛け声を聞いて、反射的に体が動いたのだろう。


「ナイス! 華恋!」


 俺は、無意識に「ナイスレシーブ!」と大きな声で華恋を褒めたたえた。

 すると、彼女は一瞬だけこちらをチラッと見て、すぐにボールの行方を目で追っていた。


 華恋がスーパーレシーブをしたボールは、偶然にもネット際にいる夏川さんに繋がった。

 そして、館山さんはそのボールにうまく合わせて、相手がいないコートにボールがポトリと落ちるスパイクを決めた。

 

「ピィィー!」


 そして、試合終了を告げる笛が鳴った。

 1組の女子バレー組の初戦は、見事な勝利で終わった。


「やったー!」


「勝ったー!」


 バレーに出ていたメンバーが、コート内で歓喜の輪を作る。

 俺も、練習に付き合っていた身として、初戦を勝ってくれたことに安堵あんどしていた。


 何よりも、華恋が最後にしっかりとレシーブをしてくれたこと。

 そして、華恋の運動神経と反射神経の良さに、改めて驚かされた。


 その歓喜の輪を見ていると、華恋が俺の方を見て、ニコッと満面の笑みを見せた。


「見て? 白原さんがこっちに笑顔を向けたよ?」


「いやいや、今のは、俺に笑ってくれたんだよ!」


 俺の隣にいた、華恋を応援しに来ていた生徒が、そう話していたが……。


 —―今のは、俺への笑顔なんだよな……。


 そう、内心優越感に浸りながら勝ち誇っていた。


 挨拶を終え、華恋たちが1組のクラスメイトが集まっていた場所へ戻ってきた。

 そして、真っ先に華恋が、俺のもとへ駆け寄ってきた。


「優作! 見てた!?」


 興奮冷めやらぬ様子の華恋は、その額にうっすらと汗をにじませ、いつもより少しだけ息を上げていた。

 

「あぁ、見ていたよ。最後のレシーブ、ナイスだったな!」


「えへへ……葵とサリィちゃんの掛け声のお陰だけどね」


 華恋は、終始ホッとした表情を見せた。


「さて、次は男子の番だね」


館山さんが、俺と宮くん、唐島くんの3人を見てニヤリと笑う。


「もちろん、勝ってくれるわよね?」


「あぁ、女子たちがいい流れを作ってくれたからね。この調子に乗って、勝ってくるよ」


 自信満々に、宮くんが館山さんに返答した。


「優作くん、実力を見せつけちゃってください」


 天音さんからも、激励を貰った。


「うん、ありがとう! 天音さんみたいに華麗に決めてくるよ」


 そう返すと、天音さんは目を瞑り、ウンウンと頷いた。


「……優作」


 不意に、華恋が俺のジャージの袖をぎゅっと掴んだ。


「怪我、無理しないでね。でも……カッコいいところ、見せてよね?」


 上目遣いでそう言われ、俺の心臓は大きく跳ねた。

 朝の『お願い』の念押しもあったことだし、ここは幼馴染として、ダサい姿は見せられない……。

俺はコクリと頷き、コートへと向かった。


最後まで読んでいただきありがとうございました!


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