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疎遠だった幼馴染と高校で再開したら俺のタイプに変貌した件  作者: エンザワ ナオキ
第3章 学校生活編①

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第51話 華恋の動揺

いつもお読みいただきありがとうございます!

 俺は、姉ちゃんから逃げるように、家を後にし、華恋の家へ向かった。

 華恋の部屋のカーテンは開いているが、人影はない。


「ピンポーン」


 俺は、白原家のインターホンを押した。


「はーい!」


「優作です」


 華恋の母さんの声がインターホン越しに聞こえた。


「あら、おはよう。華恋? 優作くんだよ?」


「じゃあ行ってく……ブチッ」


 インターホン越しに聞こえる華恋と華恋の母さんの会話は、途中で途切れた。


 ――相変わらず、賑やかな家族だな


 いや、賑やかさだと、こちらの家族も負けていないか。


「ガチャッ」


「ごめん、おまたせ!」


 玄関が開き、華恋が慌てた様子で飛び出してきた。


 俺は、華恋に「おはよう」とあいさつを交わし、学校に向かうため並んで歩き始めた。

 

 そして、華恋の雰囲気はいつもとだいぶ違った。

 その髪型は、いつものヘアピンは着けておらず、今日はヘアバンドで前髪を上げていた。


「華恋……どうしたんだ? その前髪……」


 俺は、以前の裁判から、華恋の些細な変化に気づくことを伝えるのに、抵抗がなくなっていた。


「えっ? これは、スポーツするのに邪魔になるんじゃないかなって……よく気づいてくれたね?」


「いやいや、イメチェン……ってぐらい、髪型変わっているよ?」


 今日は、些細な変化ではなく、大きな変化だ。

 流石にヘアピンからヘアバンドに変わっていたら、鈍感なラブコメの主人公でも気づくだろう。


「変じゃないよね……」


 華恋は、髪を触りながら、どこか不安げに上目遣いで質問をしてきた。


「うん、変じゃないよ? いつもと違う雰囲気で良いと思うよ?」


「そ、そっか……」


 そう言うと、華恋は照れ隠しのように視線をすぐに外した。

 俺も、ちょっと恥ずかしかったので、釣られるように視線を逸らした。


「と、ところで……何かあった?」


「な、何かって……何が?」


「いやいや……華恋が、朝一で一緒に学校行こうって言うのが、珍しいなと思って」


「そ、それはね……」


 華恋は、逸らしていた視線を再び俺の方へ向けた。

 そして、歩くペースを少し落とし、俺の顔を窺うように見上げてくる。


「こないだ……私が優作に『球技祭で優勝したらなんでも一つお願いを聞く』って話したことを覚えている?」


「えっ? まぁ、もちろん覚えているけど」


 急にまじめなトーンになった華恋は、気にしていた前髪を触るのをやめた。

 まさか「あの約束をなかったことにする」とでも言うつもりだろうか。


「あのさ、なんでもって言うのはね?」


 華恋は突然立ち止まり、顔を真っ赤にして両手をパタパタと振った。

 まるで、空を飛ぶ直前の鳥のようだ。


「『なんでも』って言うのは、変な意味はないからね? あくまでも常識の範囲内でというか……健全なものでお願いね?」


「変な意味って……」


 俺が戸惑いながら聞き返すと、華恋はさらに顔が真っ赤になっていく。

 両手のパタパタも更に高速になっている。


 ――もうすぐ、空を飛べるぞ?


「だ、だから! 私がえっちなことまで聞いてくれるって……優作が勘違いしていたら、嫌だなって思ったから、朝に忠告しておこうと思ったの!」


 忠告って……。

 俺が、そんなお願いを華恋にすると思ったのか?


「お前、自分が何を言っているか分かっているのか?」


「わ、分かっているわよ! だけど、勘違いされたままだったら、優作も可哀そうだなと思って……」


 華恋はまた視線を逸らし、そっぽを向いた。

 しかし、顔が真っ赤なことは、後ろ姿を見ても分かる。


 俺は、全くそんなことを考えていなかったが、朝からこんなに動揺した華恋を見るとは思っていなかった。


 ――いや、ほんの少しだけ期待していた気持ちを見透かされたようで、妙に焦る。


 こんな姿を見てしまったら、余計に意識してしまうではないか。


「……わかったから。健全なお願いに()()()()()から、とりあえず顔を上げようぜ。遅刻するよ」


()()()()()()() そ、そうだね……急ごう」


 歩みを止めていた華恋は、ゆっくりと歩き始めた。

 さっきまで並んで歩いていた俺たちだったが、華恋は恥ずかしさからか、少し後ろをトボトボとついてくる。


 ――まるで、散歩が嫌いなワンちゃんのようだ。


 さっきまでのお洒落で大人びた雰囲気はどこへやら。

 朝一からこのやり取りのせいで、俺の心臓は既に限界を迎えそうだった。


 このままだと、学校に行っても気まずくなってしまう……。

 とりあえず、これだけは華恋に伝えておこうと思い、俺は小さく深呼吸をしてから華恋がいる方向に振り向いた。


「華恋……球技祭、頑張ろうな?」


 そう伝えると、華恋はコクリと小さく頷いた。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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