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疎遠だった幼馴染と高校で再開したら俺のタイプに変貌した件  作者: エンザワ ナオキ
第3章 学校生活編①

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第48話 裁判(華恋VS優作)

いつもお読みいただきありがとうございます!

 俺は、窮地きゅうちに立たされていた。


「優作くん……早く、この質問に答えてください……」


「黙秘を続けるということは、答えられないということになりますよ」


 館山さんの質問に答えることのできない俺に対して、天音あまねさんは追い打ちを掛けてくる。


 何故か、俺が「華恋の変化に気づいていることは嘘か本当か」の議題で、裁判が開かれている。


 ……しかも、天音さんもノリノリで裁判長を務め、華恋の弁護士は、館山さんが引き受けていた。

 そして、当事者(?)の華恋も俺がしっかり答えられるか、期待と恥ずかしさが入り混じったような、少し潤んだ目を向けていた。

 

「優作、答えないと不利になるぞ」


 西川は、俺の弁護士の立ち位置にいた。


 館山さんの質問……それは……。


「最近、白原さんは、髪型についているヘアピンが変わっているんですよ?」


「当然、優作くんなら、分かるよね?」


 そう、髪についているヘアピンの変化に対する質問だった。


 俺は、答えは知っている……。

 いつもは、オレンジ色のヘアピンを着けていた。

 しかし、ここ数日前から、赤のヘアピンに変わり、昨日だけ小さく熊柄の白いヘアピンだった。


 俺が出すベストアンサーとしては『数日前から、赤のヘアピンに変わり、昨日だけ熊柄の白いヘアピン』と答えることだ。


 しかし、ここまで詳細に答えてしまったら、流石に気持ち悪い……。

 そのため、俺が考えた作戦は……。


「華恋は、普段は赤のヘアピンを着けていたよね」


 ……小出し作戦だ。

 

 三人が俺の回答に満足するまで、少しずつ答えを出す。

 この作戦のメリットは、答えを全て言わなくて良いことだ。

 そうすれば、俺が変態になることは、防ぐことが出来る。


 それに、昨日だけヘアピンの柄や色が違ったことなど、館山さんや天音さんは気づいていないだろう……。


 ……そんな楽観的な考え方に至ったのだが、それが後に仇となることを、今の俺は知らない。


「……!」


 俺の回答に、華恋は「おぉ~」と感心していた。

 そして、館山さんと天音さんは表情に変化はなかった。


「やるな……優作」


 西川も、俺の回答に感心している。


「俺は、分からなかった」


 西川は、三人には聞こえない小さな声で、俺に耳打ちをした。


「流石ですね。ちゃんと白原さんのことをよく見てらっしゃる」


 天音さんは、さっきの表情とは一変し、俺の答えに「うんうん」と頷き、一番納得していた。

 こうして、一人が納得してくれれば、皆流される……。

 俺の作戦は成功した……そう思っていた。


「異議あり!」


「はっ!」


 本日二度目の、館山さんの「異議あり」を頂きました。


「優作くん……『赤いヘアピン』を覚えていたことは、評価しよう。しかし、このヘアピンは、入学式の時からずっとつけているヘアピンなんだよ」


「そ、そうだね」


「だから、私は、優作くんが『赤いヘアピン』を答えられるのは必然だと思う。それなので、新しい質問をします」


「あ、新しい質問……?」


「昨日のヘアピンの色と柄を教えてください……小さな変化に気づくなら、わかりますよね?」


「……!」


 ま、まさか、昨日のみヘアピンが変わっていることに、館山さんは気づいていたのか。

 そうだ……女子は、些細な変化に敏感。

 例え一日のみでも、クラスの中心の華恋の変化を見逃すわけがなかった。


「ゆ、優作……答えられないの? 昨日、一緒にキャッチボールもしたよね?」


「そ、それは……」


 もちろん覚えている……キャッチボールをする前に、髪をヘアピンでまとめて気合を入れていたことも分かっている。


「どうなんだ、優作。昨日キャッチボールをしていたってことは、華恋の顔は何度も見ていたってことになるよな? つまり、何度も見る機会はあったってことだ」


 西川、お前は、俺の弁護士じゃなかったのか?


「もう、素直に答えられないと認めたらどうですか?」


 天音さんが、俺に指を差し、とどめを刺そうとしてくる。

 裁判長は、中立な立場でないといけない気がするが、完全に俺を敵視している。

 この裁判、どうやら俺に味方はいなかったようだ。


 もう仕方がない。

 こうなったら、やけだ。


「裁判長、この質問に答えることが出来たら、私たちの勝訴ということで問題ないでしょうか」


「もちろんですよ。白原さん、あおいさん、異存はありませんね?」


「はい、ありません」


 天音さんの問いに、華恋と葵は、息を合わせて返事をした。


 俺は、覚悟を決めて『熊柄の白いヘアピン』だったことを答えることにした。


「華恋のヘアピン。一昨日までは、赤のヘアピンでした。……しかし、昨日は熊柄の白いヘアピンに変わっていました。このヘアピンは、彼女の父親が、小学生の時に遊園地で買ってくれたもの。そして、父親の誕生日の時に、決まってつけるもの……これが、答えだ!」


 俺は、裁判もののドラマやゲームなどを思い出し、この裁判に終止符を打つため、身振り手振りを添えて、全力で答えた。


 正直、ここまで言うつもりは、無かったのだが、ついつい饒舌になってしまった。


「ど、どうなんですか。白原さん」


「……!」


 天音さんは、華恋に俺の答えが合っているかを聞いている。

 華恋は、少し沈黙を保っていた……が、その顔はみるみるうちに真っ赤に染まっていった。


「せ、正解です」


 華恋は、か細い声で、天音さんに答えを返した。


「な、なんだ……本当に、覚えていたんだ……しかも、そこまで詳細に……」


 館山さんが手を叩いて、大笑いをしている。

 俺が、ここまで真剣に答えたことが、ツボに入ったようだ。


 冷静になると、ここまでこと細かく答えたことが、次第に恥ずかしくなってきた。


「俺の裁判は終わりだね……。次は『西川が誰の髪型が気になったか』の議題で開廷」


「おぉ~それ、面白そうだね!」


「お、お前……! 皆記憶無くなっていたのに!」


 こうして、「優作が華恋の変化に気づいていることは嘘か本当か」」という議題は、俺の勝訴……。

 その後に、西川の裁判が始まるのだった。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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