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疎遠だった幼馴染と高校で再開したら俺のタイプに変貌した件  作者: エンザワ ナオキ
第3章 学校生活編①

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第45話 キャッチボール

いつもお読みいただきありがとうございます!

 学校の近くの公園に到着すると、大和が持ってきたグローブとボールを4人で分けた。


 意外なことに、大和は学校から徒歩数分の所に住んでいた。

 俺と華恋かれん、西川と大和のペアに分かれて、まずは軽くキャッチボールを始めることになった。


 華恋は、白いクマのヘアピンで、髪をキュッとまとめる。


「優作、いくよー! それ!」


「おっとっと……」


 華恋が力いっぱい投げたボールは、明後日の方向へと飛んでいき、俺の後ろにあった公園のネットに直撃した。


「アハハッ! お姉ちゃん、ノーコン!」


「何っ? あの子! 優作注意してよ」


「子供は正直なんだから」


 公園で遊んでいる小学生の男の子に煽られる華恋。

 その子に「注意してよ」と頬を膨らませる彼女は、どこか愛らしい。


「優作も、ノーコンって思っているんでしょ?」


「そ、そりゃあ、1球目にネット直撃の大暴投を投げられたらなぁ」


「今のは、たまたま失敗しただけよ」


 とはいえ、コントロールは、お世辞にもいいとは言えないが、肩はかなり強い。

 流石の運動神経といったところか。


「いくよー! 華恋!」


「はいっ! と、捕れた……!」


 俺が、力を緩めて投げると、華恋が構えているミットに正確に投げることが出来た。


「優作! 捕れたよ! ねぇ」


「ナイスキャッチだよー」


 俺のコントロールが良かったから、捕れたのだ。

 華恋はそんなことはお構いなしに、グローブに入った球を、遠くから得意げに見せつけてくる。


「もう1球いくよ!」


「はーい!」


「えいっ!」


 華恋の投げたボールは、再び公園のネットを直撃した。


「ちょっと華恋、投げるところはここだよ」


「もぉー! 優作がちゃんと私が投げたところに動いて取ってよ!」


「理不尽すぎるだろ……」


 華恋が投げるたびに、俺は後ろのネットまで取りに行った。

 これでは、キャッチボールではなく、球拾いだ。


 学校では『みんなが憧れる女の子』を取り繕っている彼女が、こうして無邪気にボールを投げてはしゃいでいる。

 その姿を見ていると、迫水先輩から告げられた残酷な真実で覆われていた心の淀みが、少しだけ晴れていくような気がした。


「パァン!」


 ふと、西川と大和の方を見ると、リズム良くミットにボールが収まる音が聞こえてくる。

 2人とも、暴投することなく、しっかりとキャッチボールが出来ている。


「そういえば、優作って、小学校の時にソフトボールしてたって言ってたな……」


「おーよく覚えていたね」


 西川が、ボールを大和に投げながら言った。

 前に『スポワイ』でバッティングセンターで遊んだ時に、言ってたっけ……。

 

 ――よく覚えているな……。


 相変わらず、記憶力が高い西川。


「それならさぁ、ピッチャーのやり方教えてよ!」


「ぴ、ピッチャーかぁ」


 ソフトボールをやっていたとはいえ、ピッチャーは未経験だ。

 投げ方など、あまりわからない。


「そういえば、姉ちゃんはピッチャーをやっていた気がするけど……」


「えっ? 優作のお姉さんが!?」


 西川に姉ちゃんの話をした途端、西川の声が裏返った。

 そして西川は、俺に手招きをする。


 そういえば、西川は姉ちゃんのこと好きだったんだっけ……。


「今日は休みだった気がするけど……」


「だ、駄目だ! 今の俺には、他に気になる人が……」


 2人にしか聞こえないトーンで、話していたはず……だったのだが。 


「気になる人って誰?」


「え!?」


 気が付いたら、背後に華恋がピョコっと立っていた。

 そしてその顔は、不敵な笑みを浮かべていた。


「西川くん、好きな人いるの?」


「えっ!? そ、それは……」


 あからさまに動揺する西川に、詰め寄る華恋。

 女子は恋バナが大好きだ。


「同じ学校? 部活仲間? それとも……クラスメイト?」


 華恋のマシンガンのようなトーク……。

 その勢いに、西川はどんどんと押されていく。


「ク、クラスメイトかなぁ~」


「そうなんだ!」


「い、いや違う! 今のはなかったことにして?」


 そして、西川は華恋の押しに次第に負けてしまい、ついに華恋にヒントを与えてしまった。


「誰だろう……」


 華恋は、真剣に考え始める。

 このままだと、西川の好きな人は間違いなく、バレてしまう……。


 そう思った俺は、慌てて華恋にある提案を促す。


「華恋? キャッチボールの続きをするよ?」


「え? 今はそれどころじゃないんだけど」


 俺は、中断していたキャッチボールを華恋に提案するが、聞く耳を持たない。

 これは、西川の好きな人を聞き出すまで、引かないつもりだ。


「ほ、ほら……ボールの投げ方、教えてあげるから? ねっ?」


「えぇ~、気になるのに……優作は、西川くんの好きな人を知っているの?」


「ほぇ? なんで、俺に聞くんだよ」


 ターゲットが、西川から俺に変わった。


「いやぁ~二人仲良しだからさ」


「知っていたとしても、俺は絶対に口を割らないぞ?」


「ちぇ……」


 好きな人を聞き出せないからか、華恋はちょっと不機嫌になったのだった。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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