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疎遠だった幼馴染と高校で再開したら俺のタイプに変貌した件  作者: エンザワ ナオキ
第3章 学校生活編①

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第44話 「公園で遊ぼうよ」なんて久々に聞く響き

いつもお読みいただきありがとうございます!

 体育の授業が終わり、次の歴史の授業が始まった。

 俺は慌てて、教室に戻った。


「ごめんなさい! ちょっとお腹の調子が悪くて……」


 俺は、歴史の先生を誤魔化し、席に着いた。


「大丈夫か? 無理はするなよ?」


「はい! ご心配おかけします」


 咄嗟とはいえ、先生に嘘をついてしまった。


 しかし、今の俺には、その罪悪感に気づく余地が無かった。


 それよりも、迫水先輩から伝えられた衝撃の事実……。


「あれは、事故だった……」


 そう割り切って、バレーボールへの未練も無理やりなくしていた。

 しかし、あれが仕組まれたものだと分かった今、そんなことを話されると、簡単に切り替えられるわけがない。


 ――俺のバレー人生は、あの先輩に破壊されたのか


 その日の授業は、全く集中ができなかった。


 ◇


「キーンコーンカーンコーン」


 授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。

 放課後になり、クラスメイトたちが帰り支度や部活の準備を進めていく中、俺はただ机にぐったりと体を乗せたまま、動けずにいた。


「……ゆ、優作?」


 ふと、柑橘系の香りとともに、頭上から声が降ってきた。

 顔を上げると、華恋かれんが心配そうに眉を下げて、俺の顔を覗き込んでいた。


「体育館で、先輩……と話していたでしょ? それから、なにか様子がおかしいから、何か言われたの?」


「えっ? だ、大丈夫だよ! 中学校のバレー部の先輩と久々に会って、昔話をしていただけだよ? し、心配しないで!」


 俺は必死に作り笑いを浮かべた。

 しかし、華恋は納得しない様子で、更に距離を詰めてこようとした。


「優作……」


「……?」


「ううん? 何でもない……。何か、心配ごとがあるなら、私に相談してね」


「あ、ありがとう……」


 華恋は、いつもより控えめな穏やかな笑顔をこちらに向けた。

 

 ――俺の作り笑いとは、段違いのスマイルだ。


 そんな笑顔を見て、俺の心を覆っていた雲みたいなものが、少しだけ晴れた気がした。


「おーい、優作!」


「優作先生ー!」


 後ろから突然、大きな声と共に西川と大和が俺の席にやってきた。


「今日、顧問が急遽不在になってさ。バレー部休みになったから、これから公園でソフトボールしないか?」


「お父さんが野球好きで、グローブとボールもありますよ」


 大和が目を輝かせている。

 正直、今の俺にそんな気力はない。


 俺が、断ろうかと口を開きかけた瞬間……。


「私もやる!」


「えっ!? か、華恋?」


 華恋が、ビシッと手を挙げて宣言した。

 『みんなが憧れる女の子』である彼女が、放課後に男子とソフトボールなど、普段の彼女なら絶対に避けるはずだ。


 最近の華恋は、俺の前では素が出すぎている気がする。

 料理の時も、失態をさらしたからか、もう『みんなが憧れる女の子』は目指していないのか……真意は不明だ。


「優作はソフトボールしないの?」


「えっ……俺も?」


「当たり前でしょ? 昔、美那子と優作と香澄お姉ちゃんとよく公園でキャッチボールしてたじゃん!」


「それは、そうなんだけどさぁ」


「ほら、下向いていないで、優作も行くよ! 葵はどうする?」


 華恋は、俺の机の隣に座って携帯を見ている館山さんに声を掛けた。


「私はパスかなぁ~、これから、バイトの面接があるんだよ」


 館山さんは、これからバイトの面接があるらしい。

 その言葉を聞き、華恋以上に西川がガッカリと肩を落としている。


「そ、そっか……ってバイトするの?」


「そう! 駅前の本屋さん! 私、一度本屋さんで働いてみたかったんだよねぇ」


 館山さんは、本屋さんでバイトを始めるらしい。

 会話を聞く限り、天音あまねさんと以前に行った本屋さんっぽい。


「館山さんが、本屋のバイトを選ぶなんて……なんか意外だな」


「えっ? 西川君? それって、私に本が似合わないって言っているの?」


「そ、そういうわけじゃないけど……喫茶店とかスーパーの方が、人気でそう……いや、似合いそうだなって」


「人気でそう……ってどういう意味?」


「……! いや、なんでもない?」


 西川の失言(?)を館山さんが見逃さなかった。

 まるで、相手のミスを見逃さないプロスポーツ選手のようだ。


「私がバイトの面接受かったら、ぜひ遊びに来てね?」


「いやいや……喫茶店感覚で、本屋さんに遊びに行けないでしょ」


「そ、それもそっか……」


 二人の会話が弾んでいる。

 俺と華恋、大和は置いてけぼりだった。


「じゃあ、俺も久々にソフトボールするか」


「え? 優作も来てくれるの? じゃあみんなで公園に行こうか!」


 俺は久々に『みんなで公園に行こうか』という言葉を聞いた。

 この言葉は、まるで小学生が友達を誘って遊ぶときみたいだ。


 俺は、華恋を1人で置いていくわけにはいかず、結局4人で公園へ向かうこととなった。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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