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疎遠だった幼馴染と高校で再開したら俺のタイプに変貌した件  作者: エンザワ ナオキ
第3章 学校生活編①

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第42.5話 女子の意地(サリィ視点)

いつもお読みいただきありがとうございます!

「それ!」


「まかせて!」


 私たちは、球技祭に向けて、バレーボールの特訓をしています。


「いくよー、館山さん!」


「はーい、いつでもきやがれ! 優作くん!」


 特訓は、緑ヶ丘くんが率先してくれています。

 彼は、中学時代に全国大会にも出場したチームのスタメンだったらしいです。


 今はその面影は全く見えませんが、凄いですね……。


 高校生活が始まって、最初の大きなイベント。

 私は、生徒会入りを志す学級委員長として、1組に栄光と栄誉をもたらしたいと思い、全力で取り組んでいます。


 今はレシーブの練習をみんなでしています。


「私にもボールをください!」


 私も小学生の時には、バレーボールをしていました。

 その時は、あまりにもセンスがなくて、やめてしまいましたが……経験者として、みんなを引っ張っていきたいと思っています。


 あおいや白原さんたちには『スポワイ』にて、醜態しゅうたいを晒してしまったので、なんとか名誉挽回したい気持ちでいっぱいです。



「はいよー! 行くよ、天音さん!」


 緑ヶ丘くんが、私に上げやすいボールを打ってくれました。

 


「はーい!」


 私は元気な掛け声と同時に、ボールの落下地点に素早く移動しました。


「ドォーン」


「……!」


 私が上げたボールは、コート外へ転がっていきました……。

 かなり自信はあったのですが、なかなか上手くいかないものです。

 それよりも、ボールが当たった位置の腕が赤くなっています。


 この痛みが、なんだか懐かしい気持ちにさせてくれます。


「私もー! ……あっ!」


「まかせてー! ……いてっ!」


 他のクラスメイトも、トスを上げるのに苦戦をしている方が多いです。


 なんとか、私も引っ張っていけるように、早くコツを掴まなくては……。


「天音さん、もうちょっと力抜いて! リラックスだよ!」


「は、はい……!」


 その後も、力を抜いてリラックスを心がけていましたが、なかなか上手くいかず、気が付けば授業ももうすぐ終わるところまで来てしまいました。


 緑ヶ丘くんは「トスの練習をしよう」と仰っていましたが、その理由がなんとなく分かってきました。


 そんな彼にアドバイスを貰いたいけど、白原さんと親密そうに話しているので、邪魔するわけには行きません……。


 それにしても、白原さんはさっきからお顔が真っ赤です。

 体育館が少し暑いからでしょうか?

 ……それとも、緑ヶ丘くんの指導が熱血すぎるのでしょうか。


「……いえ、あれはきっと『青春』というやつですね。私にはわかります」


 一人で納得して深く頷いていると、不意に背中をポンと叩かれました。


「サリィ、何一人でうんうん頷いてるのー?」


「あ、葵……。緑ヶ丘くんにアドバイスを貰いたいんだけど、白原さんに指導しているみたいで、とても熱心だと感心しておりました」


「あ、あぁ~。サリィは分かっていないねぇ。あれはね、『バレーの熱気』じゃなくて『別の熱気』だよ?」


 そう言うと、葵はニヤニヤと笑いながら、二人の方を指差しました。

 私には、葵の言っている意味があまり分かっていません。


「別の熱気、ですか?」


「そ! 『恋の熱気』ってやつ! ほら、私たちもあのイチャイチャ空間に突撃しに行こっか! 今は授業中ですよーって……」


「えっ、ちょ……。葵! お邪魔をしては……!」


 私の制止も聞かずに、葵は私の腕を引いて、二人のもとへ歩みを進めます。

 『恋の熱気』などは、私にはわかりませんが、きっと土足で踏み込んでよい領域ではないことは、いくら私でもわかります。


 遠くから二人が会話している姿を見て、自然と私も顔が赤くなってしまいそうでした。


 ――これが、青春というものなのですね。


 私には縁がありませんが、いつかそんな熱気を感じる時は来るのでしょうか。


 私は、そんなことをバレーの特訓中に考えてしまう、少し悪い子なのでした。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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