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疎遠だった幼馴染と高校で再開したら俺のタイプに変貌した件  作者: エンザワ ナオキ
第3章 学校生活編①

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第42話 優作と華恋の特訓?

いつもお読みいただきありがとうございます!

 今……俺は、味わったことのない独特の緊張感に包まれていた。

 暖かい体育館内には、反対側で行われているバスケのボールを突く音が響いていた。


「さぁ、緑ヶ丘くん? 遠慮しないで!」


「お、おう……」


 俺は、華恋かれんがあまりバレーボールが上手くないことを知っている。

 その姿は『スポワイ』で何度も見たからだ。

 それにも関わらず、目の前には、俺のトスを自信満々な顔をして待つ彼女がいた。


 ――この自信はどこからやってくるんだ。


 俺は、ボールを上げることに躊躇ちゅうちょした。


「焦らさないで早く! 何度も言うけど、遠慮はしないで!!」


 華恋の姿をクラスメイトがじっくりと見ていた。


 もし、下手にボールを華恋に渡してしまい、レシーブを失敗してしまったら「華恋のイメージが下がってしまうのでは?」と言う心配が脳を支配していた。


 ――なるべくレシーブをしやすいところに……。


 俺は、覚悟を決めた。


「行くよー! ……あっ!」


 俺が山なりに上げたボールは、少し華恋の体に近いところに飛んでいった。


 ――ちょっと近すぎた……華恋、上手く対応してくれ!


 ここの場所……『スポワイ』の時には、顔面レシーブしていたところだ……!

 それだけは避けてくれと、心の底から願った。


 すると……。


「はーい! ……それっ!」


 華恋は、咄嗟とっさに一歩下がり、素早い動作でレシーブ体勢に入った。


 そして、華恋が上げたボールは、高くはなかったが、まずまずのレシーブだった。

 上がったボールは、弧を描き、コート内に落ちた。


「おー! 白原さん上手い!」


「華恋さん! 上手!」


 華恋のレシーブを見たクラスメイトは、一瞬で彼女の周りに集まった。

 そして、みんなが華恋を讃えていた。


 先ほどまで俺に向けられていた期待と尊敬の眼差しは、一瞬にして華恋へと移った。


 三日天下ならぬ、三分天下だった。


「今のはたまたまだよ? 私、ほとんどバレーボールやったことないんだから……はい、緑ヶ丘くんにアドバイスもらいましょう?」


「そうだねー!」


 華恋の一言で、みんなの視線が再び俺に集まった。

 すっかり、彼女はクラスの中心に立っている。

 俺みたいな、クラスの端っこキャラとは、持っているものが全く違った。


 それなら、俺は縁の下の力持ちになろう……目立たなくて良いと、そう思った。


「それじゃあ、レシーブとかトスの練習しようか」


 正直な話、何を最初に教えるのが適切なのかはわからない。

 初心者のバレーは、とりあえずボールを上げて、相手コートに返すことを続ければ、なんとかなる気がした。


「じゃあ、トスの上げ方は私がお手本になるね」


あおい?」


「華恋ばかりに、負担はかけられないよ。ここは、私に任せて!」


 そう言うと、館山さんが俺の前に立った。

 おそらく彼女は、このままお手本を華恋が続けたら、失敗する……もしくは、俺の気が持たないことを見抜かれたのだろう。


「じゃあ、まずトスで大事なことは……」


 こうして、俺たち1組のバレーボール選択組の特訓は続くのだった。


 ◇


 特訓を続けていると……。


「優作? 私の顔面狙ったでしょ?」


 気がついたら、自然と隣に華恋が立っていた。

 彼女は、どこか不機嫌そうな顔を浮かべていた。


「え!? 狙ってない、狙ってない! ちょっと力んじゃっただけ!」


「本当かな?」


 華恋は上目遣いで、俺を睨んできた。

 本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


「まぁ、いいけど?」


「ちゃんと教えるから、それで許してくれ……」


「えぇ~? スポワイの時は、教えてくれなかったのにね!」


「そ、それは……西川に教わっていたからでしょ?」


 俺が少しだけむくれて言い返すと、華恋は図星を突かれたように焦ったのか、一瞬言葉を詰まらせた。


「あ、あれは……西川君の親切心だから……それに、私は……」


「まぁ、俺は西川よりは厳しい指導をするから、覚悟をしておいてね!」


 冗談交じりに言い返すと、華恋は「ハ、ハハァ……」と顔が少し引きつっていた。


 しかし、俺は華恋に厳しい指導など出来るわけがなかった。


「おーい、優作君? 華恋ちゃんへのイチャイチャマンツーマンはそこら辺までにして、私たちの試合見てよー」


 試合形式で練習をしている館山さんから、呼ばれていた。


「イチャイチャなんてしていないよ……ほ、ほら……優作? 葵に呼ばれているよ!」


「お、おう……」


 俺は、華恋に背中を押されて、館山さんのところへ向かうのだった。

 背中を押した彼女の顔は、真っ赤に染まっていた。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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