第41話 バレーボール特訓!
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球技祭まで、2週間。
俺と宮くん、調理実習で少し仲良くなった唐島くんは『バレーボール』。
西川と大和は、『ソフトボール』を選択した。
体育の時間は、球技祭の練習で盛り上がっていた。
今日は、男子と女子で合同で球技祭の練習。
バレーボールやバスケ組は体育館に移動し、サッカーやソフトボール組は、野外へ移動した。
「優作ー? レシーブってどうやってやるの?」
宮くんが、俺にアドバイスを求める。
俺は身振り手振りで、コツを教えていく。
その指導を聞く輪の中には、宮くんの他に、華恋や館山さん、天音さんの姿もあった。
どうやら、この3人もバレーボールを選択したようだ。
俺は、アドバイスをした宮くんにレシーブが出来るように、ふんわりとボールを投げた。
「まかせろー!」
宮くんは、ボールの落下地点に入り、レシーブ体勢に入る。
「あ……!」
宮くんがレシーブした球は、コート外の方向に飛んでいった。
彼は、腕を痛そうにしている。
「み、宮くん! ボールを怖がらないで!」
「優作……ボール強いよ!」
力を抜いたつもりだったが、ちょっと速かったか……。
「宮君、ごめん!」
その後も宮くんの特訓は続いた。
しかし、レシーブをするのはなかなか難しく、腕も痛くなってきたからか、少しずつ雑になってきた。
「よし、今日の特訓は終了!」
「え、おっけぃ……」
宮くんは床に落ちているバレーボールを一つ拾い上げた。
その腕は素人特有のレシーブで少し赤くなっている。
「優作! みんなに手本を見せてよ!」
「手本? いいけど……」
身振り手振りで指導はしたけど、実際にバレーボールに触るのは、『スポワイ』以来だ。
――ここでレシーブあげられなかったら、先生として不甲斐ないな……。
そんなことを思いつつ、宮くんの打つスパイクに備えた。
「いくよー! 優作!」
「来い来い!」
宮くんが不器用な助走から、思い切りボールを打ち込むと、ボールは想像以上のスピードを出しながら、俺の正面へと向かってきた。
俺は一瞬で落下地点を予測し、姿勢を低くして両腕を差し出す。
「パァン!」
体育館に心地よい破裂音が響き渡り、ボールは綺麗な放物線を描いて、セッターがいるべき定位置へと吸い込まれるようにふわりと上がった。
「おおおっ! すげぇ!」
「マジかよ、一歩も動かずにドンピシャじゃん!」
宮くんや周りの男子たちから、どよめきと歓声が上がる。
ブランクがあるとはいえ、体に染みついた感覚は消えていなかったらしい。
俺は、上手くレシーブ出来たことに、安堵した。
「ま、まぁこんな感じかな?」
俺は、少し照れ臭くなったが、それよりも宮君のスパイクが力強かったことに驚いた。
「宮君……スパイク、めっちゃ力強いね!」
「いやぁ~力だけは有り余っているからね!」
俺の誉め言葉に、少しずつ声が大きくなっていく宮君。
「それなら、スパイクの練習をしてみる?」
「え、いいの?」
「うん、レシーブのことは、あとで考えよう!」
今度は、宮君のスパイクの練習に付き合うこととなった。
「俺にも教えて!」
そこには、唐島くんの姿があった。
彼も実は、バレーボール経験者で、中学ではリベロをやっていたらしい。
リベロは、ボールを拾う守備のエキスパートだ。
「いいよ! 皆で特訓だ!」
そう言うと「おー!」とみんなが返事を返してくれ、男子に一体感が生まれた。
そして、女子達も……。
「私たちにも、アドバイスが欲しいな」
「お願い! 優作君!」
「ラリーどころか、ボールが全く上がらなくて……」
クラスの女子や、館山さんからもアドバイスを求められる声……。
「えっ、あ、うん。いいよ、順番に教えるから……」
次々と集まってくる女子たちに囲まれ、俺は柄にもなくドギマギしてしまっていた。
女子に囲まれて頼りにされるなんて……。
これまでの俺の人生では、あまりないシチュエーションだ。
「ちょっと、みんな! 優作……じゃなくて、緑ヶ丘くんが困ってるじゃない!」
その時、人垣を割って入ってきたのは華恋だった。
学校モードの彼女は、笑顔を見せてはいるが、その目は微かに釣り上がり、どこか不機嫌そうだった。
――まだ、学校では、『緑ヶ丘』って呼ぶつもりなんだな……。
もう構わずに、優作って呼んでいた気がしたが……。
「白原さん! だって、緑ヶ丘くんのレシーブ凄かったから……」
「そうそう、せっかくなら上手い人に教わりたいし」
「だ、だからって一気に押し寄せたら練習にならないでしょ? まずは私がお手本として教わるから、みんなは少し下がって!」
華恋はそう言い、俺の真正面にどこか強引に陣取った。
その姿は、まるで先住猫として可愛がられた猫が、新しく飼われることとなった猫がよしよしとされ、ヤキモチを焼いて威嚇をする姿に見えた。
「じゃあ、緑ヶ丘くん! よろしくね!」
「お、おう……」
上目遣いでじっと見つめてくる華恋。
周囲の目を気にしつつも、俺との距離を詰めてくるその態度に、俺はボールよりも重いプレッシャーを感じることになった。
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