第40話 初めての学校行事
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テストがひと段落し、緊張感のある日々が過ぎて、平凡な日常が戻ってきた。
今日も、残りの授業はホームルームのみ……。
—―これが終われば、休日だ!
ここ最近は、テストに向けた勉強三昧……。
そのため、休日は久々にゲームをすると決めていた。
華金で浮かれているのは、俺だけではない。
教室内では、昼休みから「休みに何をするか」などの話で持ちきりだった。
「それでは、ホームルームを始めるよぉ~」
担任の桃井先生が、教室に入ってきた。
「3週間後に、球技祭があります」
—―球技祭?
そうだ……勉強に集中しすぎて、球技祭のことを忘れていた。
この学校は、珍しく球技祭を2日に分けて行う。
そのため、体育の授業や、ホームルームの授業も球技祭の練習に割り振られるらしい。
「この中から、1つの種目に出てもらうよ~」
黒板に書きだされた種目は、5つだった。
・ソフトボール
・フットサル
・バレーボール
・バスケットボール
・ハンドボール
この中で、1つのスポーツに出る必要があるのか。
俺は『バレーボール』しか目に入らなかった。
—―久々に、思いっきりバレーボールをしたいな……。
こないだの『スポワイ』から、ちょっとだけバレーボールをしたい意欲が上がっている。
—―静かに、皆でワイワイとバレーボール出来るかもな……。
俺は、周りからの過剰な期待など背負うことなく、ただ皆でワイワイとバレーボールを楽しめればよいな……。
そんな淡い期待を寄せていたのだが……。
「優作先生! もちろん、バレーボールですよね?」
「優作! バレーボールだよな?」
先生の話が終わり、クラス内で話し合いが始まった。
その瞬間、大和と西川が振り返り、真っ先に俺をバレーボールに勧誘した。
――2人からの期待の眼差し……。
「え、2人もバレーボールにするの?」
「まさか、俺たちは、球技祭でバレーボールを選んじゃダメなんだよ」
「そうなのか……」
この学校の球技祭のルールで、『所属している部活の球技には参加してはいけない』という決まりがあるらしい。
「……ん? ということは、俺もバレーボールしちゃ駄目なのか?」
「そんなことはないですよ。あくまで『高校で部活に所属しているか』ですから、中学までの所属経験は関係ないらしいです」
「そうか……それなら、俺はバレーボール出来るのか」
「優作先生! バレーボールする気満々ですね」
大和が俺の机に身を乗り出して、目を輝かせている。
「じゃあ、俺もバレーボールにするね」
「え?」
俺たちの会話に突然混ざってきたのは、宮君だった。
「俺は、全くバレーボールをしたことがないけど、優作くんの噂は常々大和から聞いている。だから、元全国の力を俺にも見せてくれ」
宮君が大きな声で話したため、クラスメイト皆がこちらを見ている。
その中には、目を丸くして驚いている華恋の姿もあった。
—―華恋にはまだ、過去のことなんて何も話したことなかったのに……。
「卯月……いいなぁ」
大和の心の声が漏れている。
「全国って……ばか、あんまり大きな声で言わないでくれ! 俺は、怪我もしているし、もう過去の話なんだから……」
俺は慌てて立ち上がり、宮君の口を塞ごうとするが、時すでに遅しだった。
「え!? 優作君って、そんなにすごい人だったの?」
隣で夏川さんと話していた館山さんが、俺たちの会話を聞き逃すはずもなく、気が付けば俺の過去はクラス全体の話題となっていた。
こうなると、俺にはどうすることも出来ない。
「それなら優作君は、バレーボールで決まりだね」
「な、夏川さん……」
夏川さんは、俺の状況を何も知らないような笑顔をこちらに向けた。
「そ、そうだね……」
この流れは止められずに、俺はクラス中の期待を受けながら、バレーボールで球技祭に出場することとなった。
華恋の、どこか心配そうな視線を背中に感じながら……。
「優作先生……すみません。卯月に教えるべきじゃなかったです」
「ま、まぁいつかバレたかもしれないしね……気にしないで……」
俺はこの日、宮君がちょっと苦手になったのだった。
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