第37話 幼馴染×勉強会③
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勉強を始めて、3時間……。
俺たちは、疲れながらも勉強を進めていた。
ベッドの上を見ると……。
「すやぁ~すやぁ~」
華恋が勉強のしすぎと、俺に英語を教えていたためか、疲労がたまってしまったようで、すっかり寝入ってしまっていた。
「……んんっ」
しばらくして、ベッドから寝息とは違う、小さな寝返りの音が聞こえた。
「あ、ごめん……私、寝ちゃってた……?」
「おはよう。華恋先生のおかげで、英語の課題は終わったよ!」
「そ、そっか……それなら良かった……。美那子もおはよう……」
目をこすりながら身を起こす華恋。
その髪は少し跳ねていて、学校で見せる『みんなが憧れる女の子』の面影はどこにもない。
「うん、おはよう」
華恋はベッドから降りて、俺の机の隣へとやってきた。
動きはぎこちなく、如何にも寝起きという感じだ。
「美那子の数学はどうなったの……」
「華恋が、寝落ちしている間に、優作に教えてもらったよ」
「そ、そっか……」
俺は、華恋が寝ている間に、美那子に数学を教えた……と言っても、彼女は、数十分で解き方のコツを覚えてしまった。
その後は、美那子に勉強を教えてもらっていた。
「もう、優作は……」
「えっ?」
華恋は、俺の机の上を見るなり「はぁぁ」と、小さくため息をついた。
そして、俺が机の端に寄せたままにしていた消しゴムのカスや、お菓子の小さなゴミを指差した。
「昔から、こういう小さなゴミとか出しっぱなしにするんだから。こういう小さな気になる点も、ちゃんと自分で片付けないとダメでしょ?」
そう小言を言いながらも、華恋は怒っているわけではなく、慣れた手つきでゴミを手のひらに集め、ゴミ箱へと捨ててくれた。
小さいころから、あいつのガサツな部分も多く見てきたが、こういうところは、やけに面倒見がよい。
「あ、ごめん……ありがとう!」
「美那子の周りは、綺麗でしょ?」
「う、うん……」
――俺の周りにあったお菓子のゴミは、美那子が食べたものなんだけどな……。
俺は、言い訳をしようと思ったが、目の前の美那子は「うんうん」と小さく頷いている。
「私が気づかなかったら、ずっとこのままでしょ? ほんと、私がいないとダメなんだから」
俺は、まるで長年連れ添った夫婦のようなやり取りに、少し顔を熱くしながら華恋に言われるがままだ。
「そういえば、俺の家でご飯食べていくか?」
「え? どういうこと?」
「さっき姉ちゃんが部屋に来て、せっかくなら久々にご飯食べていきなさいって……昔はよく家で食べていたでしょ?」
小さいころ、俺たち3人は、緑ヶ丘家でみんなでご飯を食べていた。
「じゃあ、お母さんに言ってこないと……」
「大丈夫! さっき私が、華恋のお母さんに言ってきたから」
「そっか……」
美那子は、華恋が寝ている間に、白原家に「今日は、優作君の家でご飯を食べます」と連絡を入れてくれた。
「こうやって、皆でまたご飯を食べられるなんて、思わなかったね」
「うん、そうだね……」
華恋は、昔を懐かしむかのように、小さく微笑んだ。
俺も、この3人でご飯を食べられるなんて……何か企んでいそうではあるが、ちょっと、姉ちゃんには感謝しないといけないと思った。
「じゃあ、あと30分だけ、勉強頑張りましょうか」
美那子は、持っているペンを置かずに、ずっと勉強を進めていた。
俺と華恋は、もう勉強する体力は残っていない。
「もう疲れちゃったよ……ちょっとだけ、ゲームしようよ」
「え、テストは今週だよ? 遊んでいる暇はないよ?」
華恋は口を尖らせて、美那子の体を両手で揺らす。
美那子は、体を揺らしながらも、ペンは離さない。
「じゃあ、優作に決めてもらおうよ」
「お、俺……?」
正直、俺ももう勉強する体力は残っていない。
……もう5時間は勉強をしている。
「俺は……」
華恋が目を輝かせ、「ゲームしよう」の言葉をご飯を待つワンちゃんのように待っている。
美那子は「遊んでいる暇はないよ」と冷たい視線を送ってくる。
「べ、勉強しようか……」
「えぇ~!」
俺は、華恋の期待に応えられず、心を鬼にして勉強をすることを選んだ。
ゲームをしたかった華恋も諦めたのか、ぷくっと頬を膨らませながらも、渋々と最後の追い込みを始めた。
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