第36話 幼馴染×勉強会②
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華恋と美那子との勉強会から1週間。
ここ数日は、学校が終わると3人で勉強会を進めている。
最初は全く頭に入らず、焦っていた華恋だったが、テストが近づくにつれ、少しずつ理解が進んだ。
「美那子! ここは、こうだよね?」
「どれどれー? うん、正解だよ!」
勉強会で終始、表情が曇っていた華恋。
正解が少しずつ増える度、笑顔も増えてきた。
今日も、俺の家に集まって、机を三人で囲み、勉強会を進めている。
一方、俺はと言うと……。
「優作は、英語が苦手なんだね」
「うーん、全然頭に入ってこないんだよね」
美那子が、英語の勉強法やコツを教えてくれるが、中々頭に入らない。
「優作ー? 私が教えてあげようか?」
「だ、誰が……お前に教わるか!」
「意地張っちゃって……」
華恋が、俺に英語を教えようとしてくる。
彼女は、国語と英語は得意であり、実力は美那子に迫るくらいの、貴重な得点源。
「優作? ここ違うよ?」
「え! 違った?」
「ほら……ここの接続詞が……」
「待って……? ここも違う! 何してるの!」
気がついたら、俺の先生は華恋になっていた。
間違えても、その理由を一緒に探して、解いてくれる美那子とは違い、華恋の指導はかなり毒舌だ。
「さっきと全く同じ間違いだけど、やる気ある?」
「お、おい……そんな言い方すると、数学教えないぞ!」
「今は、英語の勉強中でしょ?」
後で、絶対にやり返してやるからな……。
「美那子……華恋の言い方なんとかしてよ……」
「えー!? だって、言っていることは正しいからねぇ」
美那子は、机の上にあるお菓子をパリパリと食べつつ、数学の問題を解いている。
俺はふとその問題を見た。
――ここ間違えているな……。
これは、美那子に言ってもいいのかな……。
……いや、ここは言うべきだ。
だって、これは勉強会だ。
例え、美那子が先生でも、間違えている問題をそのまま放置しておくわけにはいかない。
「こら優作! 余所見しない!」
「あ、ちょっと待ってね……美那子、ここの問題間違えているよ?」
「え!? 本当?」
俺は、美那子が解いている問題を指さして、指摘をした。
数式を見る限り、あるあるの間違え方だった。
俺は、この問題の解き方を美那子に教えた。
しかし、勉強を教えるなんてことは、今まで全くしたことがない。
俺の説明が下手だからなのか、なかなか理解の出来ない美那子……。
――言葉にするって、難しいな……。
「優作……私は後でいいから、華恋に英語教えてもらいなさい?」
「わ、分かった……」
美那子に見限られてしまった。
それよりも、俺の「分かった」という返事を聞いて、華恋がニヤッとした顔を浮かべた。
「やっぱり、私に教わりたいんだねぇ? 優作は正直じゃないね?」
「はぁ? それは、言葉の綾って言うか……」
「もっと正直になっていいんだよー?」
――華恋は、明らかに調子に乗っている。
隣に座る華恋が、俺の肩をポンポンと叩いた。
そして、華恋が書いている英語のノートを俺の机の前に置いた。
「いやいや……華恋のノートを見ても、わからないよ……」
「ううん? これは私なりに優作のためにまとめたノートだよ?」
「え、俺のためにまとめてくれたの?」
「うん! ノートをまとめる練習も兼ねてね……他の教科の勉強の休憩がてらまとめたものだから、そんなに詳しくは書いてはいないけどねっ」
改めてノートを確認すると、以前のカラフルなノートとは違い、色は3色ほどしか使われておらず、見やすさが改善されていた。
そのノートは「休憩がてらまとめた」と言う言葉を信じられないくらい、俺の苦手なポイントをピンポイントで押さえて、丁寧にわかりやすくまとめられていた。
「このノートは優作に渡しておくから、私たちが帰った後も、勉強してね」
「ありがとう……」
――華恋……優しい。
華恋自身も、他の教科の勉強で手いっぱいだと思うのに……。
これは、彼女のためにも英語で良い点を取らなければ。
「じゃあ、華恋先生がいるうちに、聞きたいことはあるかい?」
「え、じゃあ……ここの翻訳の仕方を……」
「私に任せなさい!」
華恋は自信満々に胸に拳を当てて、誇らしげに解説を始めた。
俺たちの勉強会は、空が茜色に染まり、星が瞬き始める夜になるまで続いた。
そして、気が付いたら……華恋は、俺のベッドの上で無防備な寝顔を晒して寝落ちをしていた。
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