第31.5話 私たちの恋バナ(華恋視点)
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ゴールデンウィークも残り2日の昼下がり。
私は、葵とサリィちゃんと3人でファミレスでおしゃべりをしていた。
店内は、昼下がりだからなのか、お客さんは少なく静かであった。
「ゴールデンウィーク中にさぁー、中学時代の友達と会って……」
「あの月9で売れた女優さんと、あの脇山さんが結婚したって……」
このゴールデンウィークに何があったか、芸能人の噂話やニュースなど……他愛もない話を1時間ほどしていた。
私は、早々に話すネタが尽きてしまって、ほとんど葵やサリィちゃんの話を聞くだけになっていた。
そんな時、葵が空気を一変する質問をした。
「みんなはさぁ、好きな人とかいないのー?」
私は、飲んでいた紅茶を吹き出しそうになった。
「な、何? 急にどうしたの?」
葵の一言に、これ以上ないぐらいの動揺をしてしまった。
「サリィ……あなたはいないのー?」
「私ですか。そうですね……」
サリィちゃんは、ゆっくりとホットラテを一口飲み、口を開いた。
「私が好きなのは、涼太くんですかね」
「りょ、涼太くん?」
クラスにそんな名前の人いたっけ……。
私は、頭の中に入っているクラス名簿を隅から隅まで見た。
「涼太くんね……って、さっき結婚したって言っていた俳優の人ね! へぇー好きだったんだ! 知らなかった!」
俳優さんだったのか。
道理でクラス名簿に引っかからないはずだ。
「私が読んでいる小説の主演だったんですよ。演技と役がドンピシャで、推しだったんですが……」
サリィちゃんは、大きなため息をついた。
「ですが、推しの幸せを祈るのが、真のファンですよね。わかってます……わかってます……」
そう言うと、再び大きなため息をついた。
「それは、辛かったね……」
葵は、静かにサリィちゃんの背中をポンと叩いて、「うんうん」と呟きながら小さく頷いていた。
私は、俳優とか全く興味がないから、その気持ちはわからないが、きっと辛いことなのだろう。
「華恋は、好きな人はいるの?」
「え!? 私?」
急なフリに、再び動揺してしまった。
すると、葵は私の方をジト目で見つめて続けた。
「そー! やっぱり……」
「それ以上は言わないで!」
私は脊髄反射で、葵が続けて言おうとしていたことを制止した。
「えぇー? いいじゃん! ここには私たちしかいないんだし?」
「そういう問題じゃないんだよ……」
「じゃあ、誰か好きな人はいるってことなんだね?」
「え……う、うん……。気になる人ね?」
「そっかぁー」
葵はニヤニヤとストローでジュースを飲んでいる。
私が誰が好きなのか……恐らく葵には、バレているだろう。
「そ、そんな……葵は好きな人いるの?」
「えー? 私かぁ……」
――今度は私の反撃のターンだ。
葵が赤面をする番だ。
「私も好きな人というか……気になる人はいるよー?」
「葵もいるの?」
「え、あの葵が好きな人……?」
私が「好きな人がいる」という葵の言葉に反応したのを見て、天音さんも「まさか?」と言いたげな顔を見せた。
「サリィ? 私だって、好きな人の1人や2人いるよ?」
――2人いるのは問題な気もするが……。
私は、葵の好きな人が気になって仕方がない。
「でも、私と同じで芸能人ですよね?」
「芸能人ではないかな?」
芸能人ではない……つまり、学校の人?
「学校の人ですか?」
「うーん、そう!」
サリィちゃんの質問攻め。
私が聞くと、動揺してしまいそうだから、この質問攻めは非常に助かる。
「じゃあ、クラスメイト?」
「そこまでかなー?」
葵は、サリィちゃんの質問を返さなくなった。
私は、葵がこのまま、好きな人を言うものだと思っていたので「え!?」と反応した。
「華恋が好きな人を言わないなら、私もここまでかな?」
「えー? 白原さん、言っちゃってください」
まだ、言いたくない……というか……。
「私は、私の力でその人を振り向かせたいから……2人が知ったら、変に気を使ってその人のこと意識しちゃうでしょ?」
私は、好きな人のことは、私だけの力で振り向かせたい……そういう思いが強かった。
「ま、まぁ……私は知ったら、ちょっかい出しちゃうかも」
そうだよね……仲良くなって、日は浅いけど葵の性格は何となく理解できている。
「白原さんカッコいいです……誰かはわかりませんが、私も応援しますね」
「ありがとう!」
私は何とか、好きな人を言わずに済んだ。
しかし、葵の好きな人が気になる……。
まさか……優作じゃないよね……!?
私の心の中に、一抹の不安が積もったのであった。
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