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疎遠だった幼馴染と高校で再開したら俺のタイプに変貌した件  作者: エンザワ ナオキ
第3章 学校生活編①

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第30話 西川の相談

いつもお読みいただきありがとうございます!

 5月の上旬。


 初めてのバイトを経験し、友達とも仲が深まり、華恋かれんとの関係にも少し変化が起こった……そんな怒涛どとうのゴールデンウィークも今日で最終日だ。


「もう昼か……」


 俺は部屋のベッドで横になりながら、漫画を読んでいた。

 何かと外出する機会が多く、部屋でのんびりして過ごした日は少なかったため、癒しの時間になっていた。


 ――やっぱり1人時間は落ち着くな……


 部屋には、静かに漫画のページをめくる音と、時々外から届く近くの公園からの子供達の声しか聞こえない平和な時間帯……。


「プルプルプル……」


 そんな平和に過ごしていたゴールデンウィーク最終日を崩したのは、一本の電話からだった。


 ――何の用だ……。


 一体誰だ……? この部屋でゴロゴロしながら漫画を読む……至高の時間を邪魔するものは。


 ――えぇー? 西川?


 何か嫌な予感しかしない。

 彼から電話がかかってくることは、珍しくはない。


 例えば「ゲームをしよう」や「明日の課題は何だっけ」や「テスト範囲教えて」など……。


 ゴールデンウィーク最終日の昼下がり……。


 ――きっと、課題の話かな?


 俺は、面倒だと思いながらも電話に出た。


「もしもし……ってあれ?」


 俺が電話に出る頃には、着信が切れていた。

 考えすぎて、出るのが間に合わなかったか……。


 ――ごめんな、西川……。


 そう思いながら、ベッドから立ち上がり、窓の外に顔を向けると……。


「やっぱりいたか! 優作!」


「……!」


 家の前には、部活終わりの西川がポツンと立っていた。

 

 ――なんで家の前にいるんだよ……。 


 俺は見なかったことにしてそっと窓から離れ、布団に置かれていた携帯を取り「ここは溜まり場じゃないぞ」とチャットを返した。


「プルプルプルプル」


 チャットを返すと、再び電話が鳴った。

 流石に出るしかないか……そう思い、俺は電話に出ることにした。


「はーい」


「お前! チャットで返さないで、直接返事しろー!」


 電話越しからも……窓越しからも、西川の声が聞こえた。


「はいはい……ご用件は何ですか?」


「ちょっと、お前に相談がある。家上がってもよいか?」


「えぇー? 部屋散らかってるよ」


「まぁ、俺は気にしないから」


 そう言うと「ピンポーン」と家のインターフォンが鳴った。


 俺は渋々、散らかっている漫画を本棚に戻し、脱ぎっぱなしのパジャマなどをベッドの上にまとめた。


「あらー西川くんじゃない! 久しぶりだね!」


「こんにちは、優作のお姉さん。ご無沙汰しております」


 玄関から、香澄かすみと西川の会話が聞こえてきた。

 中学生の頃からよく家に遊びに来ていたため、2人は顔見知りだ。


 2人の話し声が途切れると、階段を登る足音がドタドタと近づいてきた。


「ガチャ」


 ドアが開くと「やぁ優作!」と元気な声が部屋に響いた。


「はーい、いらっしゃーい」


 俺は、ベッドの上で横になりながら、再度漫画を読み始めた。


「テンション低っ!」


「それは、急に家に来るからねぇ」


「それは、悪かったって……」


 西川は、部屋の真ん中に置いてある机の前に座った。

 そして、その上に置いてあった煎餅を「食べていい?」と聞きながら、俺の返事を待たずに1枚手に取った。


 一体何の用なのか……。


「課題は終わってるの?」


「うん、課題は終わったー」


 課題ではないのか。


「何か面白いゲームでも見つけた?」


「いや、見つかってない」


 ゲーム関係でもないか。


「じゃあ、部活で行き詰まったとか?」


「ううん? 今のところは順調ー」


 部活関係でもないのか……。


 一体、何しにウチにやってきたのか。

 そう考えていると、西川が持っていた煎餅は、すでに食べ終わっていた。


「じゃあ、何しにきたんだ?」


「友達に会うのに、理由なんて要らないでしょ?」


 まぁ、確かにそうである。

 そうだとしてもアポは取って欲しかったが……。


「まぁ、でもひとつ相談があって、今日は来たんだ」


 西川は再び、煎餅に手を伸ばした。


「相談?」


 西川からの相談か……。

 さっき聞いたことでもないこととなると、一体何のことだろう。

 俺は漫画を閉じて、ベッドに座り直した。


「実はさぁ……」


「実は……?」


 少しの間、部屋の中を沈黙が支配した。


「ちょ、ちょっと……気になる人がいてさぁ」


 西川は、普段のうるささが嘘のように、気まずそうに視線を泳がせている。


「え!? 気になる人?」


 西川からの不意の『気になる人発言』……。


 ゴールデンウィークで、6人で遊んで間もないこのタイミング……。


 ――まさか、あの3人の誰かか?


 俺の中に、少しの緊張感が走るのだった。


 ――頼むから、まさか……華恋じゃないよな。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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