表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
疎遠だった幼馴染と高校で再開したら俺のタイプに変貌した件  作者: エンザワ ナオキ
第2章 ゴールデンウイーク

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/61

ミニストーリー①:幼馴染と落とし穴(華恋視点)

いつもお読みいただきありがとうございます!

今回は、優作と華恋の小学生時代のストーリーです。

度々出てくる『落とし穴』の深堀になります。

 これは、私たちが小学生だった頃の出来事である。


 私は、近所の砂場に穴を掘っていた。


「エッホ、エッホ、エッホ……」


 プラスチックのスコップでは、下の土は硬すぎたから、もっと掘れるように、近所のおばあちゃんから鉄のスコップを借りてきた。


「華恋ちゃん……本当に、落とすの?」


 私の穴掘りを見守る女の子。

 この子の名前は、美那子みなこちゃん。


 おうちが近所で、幼稚園も一緒で、小学校もクラスも一緒だから、1番の仲良し。


「だって、優作が落とし穴に落ちてみたいって言ってたから、夢を叶えてあげないと」


 優作は、私のお家の隣に住んでいる。

 美那子ちゃんと同じく幼馴染だ。


「だからといって、この穴は深すぎないかな? 優作くんが怪我しないか不安だよ」


 落とし穴の深さは、既に私の腰あたりまで達している。


「大丈夫だよ! 優作は運動できるし……早くしないと塾から帰ってきちゃう、美那子ちゃんも手伝って」


「わ、私も?」


 私と美那子ちゃんは、2人で大急ぎで穴を掘った。

 そして穴を誤魔化すために、レジャーシートの上に土をかけた。


「よし、準備完了だね!」


 ここは、優作の塾の通り道にある公園。

 ここで帰りを待っていれば、必ず優作が通るはず。


 私と美那子ちゃんは、優作の帰りを待った。

 時間は既に夕方……。


「私、もう直ぐお家に帰らなきゃ」


 美那子ちゃんのお家は、ちょっと厳しい。

 帰りの時間が遅くなると怒られちゃうらしい。


 こんなにワクワクすること、美那子ちゃんにも見てほしい。


 そう願っていると……。


「あ、来たよ! 優作くん!」


「え?」


 私より先に、優作を見つけたのは美那子ちゃんだった。


「優作くーん!」


 さっきまで、落とし穴なんて危ないと話していた美那子ちゃんが、率先して優作を呼んでいる。


「ん? みなちゃん?」


「そぉー! こっち来てー?」


 優作は、美那子ちゃんの呼びかけに反応して、公園の中に入ってきた。


「あれ? 華恋かれんもいたんだ」


「うん、美那子ちゃんと遊んでいたの」



 優作は、ブランコの上に塾のかばんを置いた。


「ここ、砂場の方に来てよ!」


 私は、優作を罠の上に誘導するように、大きく手を振った。


「なんだよ、2人して砂場遊びか?」


 優作は全く疑う様子もなく、トコトコと私たちの方へ歩いてくる。


 ――あと3歩、2歩、1歩……。


 私は心の中でカウントダウンをした。

 美那子ちゃんも、ギュッと両手を握りしめて息を呑んでいる。


 して――。


「うわっ!?」


 ズボッという音と共に、優作の姿がスッと消えた。


「え? 何これ……いったぁ……」


 見事に、私の腰の深さまで掘った落とし穴に、優作がすっぽりとハマっていた。

 私たちの努力が報われた瞬間だった。


「大成功ー!!」


 私は思わず、両手を挙げて飛び跳ねた。

 美那子ちゃんも、ちょっとにっこりしている。


「ちょっと華恋、これお前がやったのかよ! 服、砂だらけになっちゃったじゃんか!」


 穴の中から、頭に砂を乗せた優作が声を荒げている。


「だって優作、落とし穴に落ちてみたいって言ってたじゃない! 夢が叶って嬉しいでしょ?」


「こんな手作りの砂場の穴じゃないって!」


 優作が私に向かって穴から右手を伸ばしてくる。

 私は「しょうがないなぁ」と言いながら、その手をギュッと握って引っ張り上げた。

 泥だらけになった優作の手は、私より少しだけ大きくて、温かかった。


「簡単に抜け出されちゃったー。もうちょっと、深く掘った方が良かったかな」


「せ、せっかく、2人で作ったのにね……」


 私と美那子ちゃんが不満げに唇を尖らせると、優作は目を丸くした。


「え? 美那子ちゃんも手伝ったの?」


「私も、手伝っちゃった……」


 優作は、美那子ちゃんも手伝ったことに驚いていた。

 いつも私の暴走を止める美那子ちゃんが、落とし穴を作るのを手伝うなんて思わなかったからだろうか。


「華恋……美那子ちゃんの弱みでも握ったのか?」


「そんなことしてないよ!」


 私がむすっと言い返すと、美那子ちゃんは「ふふっ」と口元を押さえて笑った。


「みなちゃんまで……ひどいな、もう」


 優作はパンパンと服の砂を払いながら、大きなため息をついた。


「とりあえず、俺ん家で砂落としていくか。華恋も泥だらけだぞ」


「あ、ホントだ」


 優作は文句を言いながらも、本気で怒って帰ってしまうことは絶対にない。

 そういう優しいところ、昔から全然変わらない。


 きっと周りに気を配れて、常に優しい優作に、私はずっと甘えていたのかもしれない。


 ――だからこそ、今の『完璧な美少女』になった私を見て、彼に「女の子」として見直してほしいと思っているのだ。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


もし「続きが気になる!」「面白い!」と思っていただけたら、下の【☆☆☆☆☆】から評価やブックマーク、感想などをいただけると、執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ