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疎遠だった幼馴染と高校で再開したら俺のタイプに変貌した件  作者: エンザワ ナオキ


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第3話 クラスの美少女は、幼馴染

いつもお読みいただきありがとうございます!

「それでは、皆さん? 明日から、授業が始まるから、忘れ物しないようにね? それじゃあまたねー」


 桃井先生の挨拶は、なんだか軽い。

 そう思いながら、ホームルームを終え、初めての放課後となった。


 桃井先生は、教室から退出した。

 やっと初日の緊張感から解放され、俺は机の上に頭を伏せた。

 何か、別の疲労感も感じる……。


 すると、頭をツンツンと突かれる感触があった。


「何ー?」


 頭を伏せているので、こもった声で返事をした。


「優作? 白原さんに話に行かなくていいのか?」


「え!?」


 俺の頭を突いてきたのは、西川であった。

 それよりも、華恋かれんに話に行く……とは、一体。


「かれ……白原さんが、どうしたって?」


 俺が白原さんの方を向くと、彼女は既に机を囲みながら、クラスの女子数名と談笑していた。


「華恋さん、髪のつやがすごいねー、何かしているの?」


「いいえ? 特に何もしていないですよ?」


「絶対に何かしているでしょー」


「強いて言えば、お風呂上がりはすぐにドライヤーをかけるぐらいですかね」


 ……と、女子トークがここまで聞こえてきていた。

 華恋は、小学校の時から、〈すぐに友達が出来る〉という能力者である。


 ――すぐに友達が出来て、すごいよな……。


 と感心していると、西川が俺の顔の前で手を振って、注意を引いてきた。


「さっき、優作の方見て、ほっぺ膨らませてたぞ?」


「え?」


 華恋が俺の方を見ていた?

 改めて、白原さんを確認するが、全くそのそぶりは見当たらない。


「な、何でこっち見てたんだろう……」


「優作に何か話したかったんじゃないのか?」


「何か……かぁ……」


 朝、名前を覚えていなかったことを根に持っているのか、それともさっき話が途中だったからかな……。


「今は、他のクラスメイトと話しているんだし、後でいいか……」


「ん? 後で? まだ帰らないの?」


「うん、だから……家に帰ってから……」


「ん? 家帰ってから話せるのか?」


 あ、そうか……まだ、近所に住んでいることは、話していなかったな。

 というか、こういう時の西川は、やけに勘が鋭いな……。


「家に帰ってから、何を話したかったのかを考えようかなーって」


「あ、あぁ、そういうことか」


「よし、帰ろうか」


 俺は、西川の追及を何とか誤魔化し、手提げにパンパンに入っている教科書を持ち上げ、クラスを後にしようとした。


 俺と西川が、下駄箱で靴を履き替えようとしていると――。


「ちょっと待てーい!」


「……?」


 声のした方へ向くと、そこには華恋が追いかけてきていた。


「な、なんで……む、無視するんだよぉ……っ!」


 息の上がった華恋が、膝に手を突きながら、俺に問い詰めてきた。

 

「む、無視はしていないけど……クラスメイトと話していたし」


 華恋は俺の袖をグイグイと引っ張りながら、ムスッとした顔を近づけてくる。


「いやー! ずっと話してほしいオーラ出しまくってたよね!? ねぇ、聞いてるの?」


「そ、それは、ごめんだけど……」


 ――ん? 何かがおかしい。

 

 さっき、教室で話していた時は、上品さが伝わってきた。

 しかし、今の会話は、俺が知っている華恋そのものであった。


「華恋……今のその喋り方……」


「……!」


 俺が、喋り方について質問をすると、華恋はハッとした顔を見せた。

 一緒にいた西川も、目が点になっている。


 これは、高校生デビューというやつなのだろうか。


「ゴホンッ、私の名前、思い出してくれたかしら?」


「うん、お、思い出したよ……」


 いや、今更喋り方を戻しても、意味はないと思うのだが……。

 

「き、きっと思い出してくれたと思うので、これからよろしくお願いします。優作()()


 彼女は耳にかかった髪をスッと掻き上げ、満面の笑みを浮かべながら、再び教室に戻っていった。

 今の瞬間だけを見たら、俺はイチコロであっただろう……。


「ゆ、優作……今のって……」


「あ、あぁ……じ、実は……」


 俺は、ファミレスで昼ご飯を食べながら、西川に事情を説明することにした。

 まさか、初日から登下校ともに寄り道することになるとは。

 西川の顔を見ると、目を輝かせていたので、きっと楽しみにしていたのだろう。


 ◇


 俺と西川は、昼ご飯をファミレスで済ませた。

 あまり乗り気ではなかったが、いざご飯を食べると、胃袋と心は、満足感に満ちていた。


「まさか白原さんが、お前の幼馴染で、最近引っ越し先から戻ってきたなんてね……お前、前世でどれだけ徳を積んだんだよ……」


「まぁ、そういうことだ」


「いやー驚いたよー」


 西川は理解してくれたようだ。

 ただ、昔の華恋の姿は、秘密にしておいた。

 きっと、彼女もそれを望むだろう……。


「それで、お前は、あの白原さんが気になったりしないのか?」


「ゴホッ、な、何言ってるの?」


 俺は、西川の突然の踏み込んだストレートに、飲んでいたジュースを吹き出しそうになった。

 

「だって、ショートカットで清楚系……。更には、目はタレ目で、笑顔を絶やさない女性……お前のタイプだろ?」


「な、何故そこまで知っている……」


 的確に俺の好みを分析している。

 西川に、俺のタイプを言ったことはなかったのだが……。


「お前と一緒にゲームすると、アバターは大体ショートカットでタレ目の女の子にしてるだろ? ……完全に白原さんじゃねーか!」


「……」


 ぐうの音も出なかった。というか、こいつの観察眼が怖すぎる。

 西川は、やはり勘が鋭い……というか、人の行動をよく見ている。

 もしこいつが誰かと付き合ったら、彼女の髪型の変化や記念日を絶対に忘れない、完璧な彼氏になるであろう。

会話の節々に感じる、過去の華恋の記憶……。


最後まで読んでいただきありがとうございました!


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