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疎遠だった幼馴染と高校で再開したら俺のタイプに変貌した件  作者: エンザワ ナオキ


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第2話 あの美少女はクラスメイト?

いつもお読みいただきありがとうございます!

同じ制服の彼女はどこへ……。

 俺は高校に着き、1年1組に入った。

 既に20人弱のクラスメイトが来ていた。


 独特の空気が流れるクラス内。

 一部の人たちは、顔見知りや中学時代からの友達がいたようで、小声で談笑をしている。


 ちなみに、西川とは……。


「やぁ、ここのトイレ! めっちゃ綺麗だよ? 流石改築したばかりの高校だねー」


 ……同じクラスであった。


 この静かで独特なクラスの雰囲気に合わない、ちょっと大きい声が響いた。


「ちょっと、声がでかいよ……」


「あ、ごめんごめんー」


 独特な雰囲気を感じ取った西川は、反省するかのように声の音量を下げた。


 俺は冷や汗をかいたが、ちゃんと理解はしてくれる。

 思ったことをすぐに話してしまうので、たまに空気を読めない時はあるが、悪いやつではない。


 西川は素直に謝罪をして、俺の前の席に座った。


「あれ? 西川……ここの席なの?」


 俺は、自然と顔が引きつったのが分かった。


「うん……って失礼な顔するな!」


「ごめん、思わず表情に出てしまった」


 普通、こういうのって名前順じゃないのか……。

 

 ――待てよ?


 西川とは、確か誕生日が近いことを思い出した。

 時々、誕生日順で席を決める学校もあると聞いたことがあるな……。


 俺が心の中で納得し、西川と話していると……。


「おはようございます」


「……!」


 この声とこのトーン……さっき聞いたぞ?


 ――ま、まさかね?


 その声が聞こえた教室の入り口の方を向くと……。


「はっ……!」


 さっき見た、ドストライクの女の子!

 ま、まさか同じクラスなのか?


 心臓の音が早くなったのが自分でも分かった。


 こ、これが……鯉?

 俺の頭の中に、ポチャンと鯉が跳ねる音が聞こえた。


「いや、そっちの鯉ではないよ!」


 俺は思わず、虚空に向かって激しくツッコミを入れてしまった。


「どうした? 優作?」


 西川が不思議そうにこちらを見ている。

 どうやら心の中のボケに対するツッコミを、実際に大きな声で叫んでしまっていたらしい。


「……ん?」


 クラス中の視線が、俺へと集まってくる。

 俺は顔を真っ赤にして、誤魔化すことしかできなかった。


 ――何をやっているんだ……俺は。


 自分のやったことを後悔していると……。


「ん?」


 俺は、前に座っている西川の方を向いた。

 すると、彼の視線は俺の少し左上に向けられていた。


 そして、この柑橘かんきつ系の香り……。

 俺が恐る恐るその視線の先に目を向けると……。


「……!」


 今朝のコンビニで出会い、先ほど元気良くクラスに挨拶をしていた、紛れもなくあの女の子が立っていた。


「こ、こんにちは……」


 俺は掠れる声で、挨拶をするしかなかった。


「おはよう……久しぶりだね。優作くん」


「うん、久々……って」


 ――ん? 何かがおかしい。


 久々っていうほど、時間は経っていないし、正しくは「同じクラスだったんだね」とか「さっきのコンビニの人だよね?」とかが、自然な気がする。


 それに、あの時自己紹介したか?

 なぜ、俺の名前が優作だと知っている?


 そんなことを頭の中で、自問自答していると……。


「やっぱり、覚えていないかー」


「は、ははは……」


 ――いや? 覚えていないわけがない。


 こんなにタイプな女の子が、友達や知り合いだったら一生忘れるわけがない。

 今までの交友記録を引っ張り出すべく、頭の中のCPUをフル回転させた。


 しかし、何もデータはない。


「し、失礼を承知で聞くけど……お、お名前は……」


 俺は、思い出すことができなかったので、目をぎゅっとつぶり、女の子に名前を聞いた。

 

「うーんとね」


「キーンコーンカーンコーン」


 女の子から名前を聞く前に、学校のチャイムが鳴ってしまった。


「あらら……じゃあ、またね」


 そう言うと、女の子は自分の席に戻っていった。

 

 ◇


 入学式も無事に終え、クラスに戻ってきた。

 移動中も、あの女の子に名前を聞くことができていなかった。


 入学式の最中も、ホームルーム中も、ずっと俺は名前を思い出そうとしていた。


「それでは、簡単に皆さんに自己紹介をしてもらいまーす」


 担任の〈桃井ももい先生〉からは、緩い感じが伝わってくる。

 そして、美人な先生なので、きっと学校の生徒からの人気も高そうだ。


「まずは……浅井くん! お願いします」


 自己紹介は、滞りなく進んでいった。


 そして、あの女の子の自己紹介のターンになった。

 俺にとっては、答え合わせの時間である。


「皆さん、初めまして! 〈白原しろはら 華恋かれん〉って言います……」


 ――か、華恋? ってあの華恋?


 あの、小学生の時にサッカーの授業で男子に混ざってフォワードをしていて、誰よりも得点を取っていた……あの華恋?


 俺の中の華恋という人物像が一瞬にして崩壊した。


「京都から、この春に引っ越してきました。これから、よろしくお願いします」


 パチパチパチと拍手の音に包まれるクラス内。


 そして、華恋は俺の方を向いて、自分だけが気付いているというようにニコッと笑みを浮かべた。


「かわ……っ!」


 俺が慌ててパッと視線を逸らすと、華恋は少しだけ不満そうに、ぷくっと頬を膨らませた。

 いかんいかん……このままだと、惹かれていってしまう。


 そんな俺の気持ちをよそに。


「なぁ~あの子……凄く、可愛くないか?」


「うん! 雰囲気もオーラも、キラキラして見えるよー」


「やばい、絶対彼氏いるだろ……」


 クラス内で、華恋のあいさつに盛り上がる声が、俺の耳に自然と伝わってきた。

 確かに、今の見た目だけを見ると、昔の姿がまるで想像できない。


「なぁ~優作……」


「ん? どうした?」


 前に座っている西川が、後ろを向いた。

 表情でわかるほど、明らかに俺に疑問の念を向けていた。


「あの子……知り合いなのか?」


「えっ? ま、まぁ~知り合い……っちゃあ、知り合いなんだけど……」


 西川は、驚きのあまり目を見開いた。


「なんで、あんな可愛い子と知り合いって、教えてくれなかったんだよー」


 教えられるわけがない。

 そもそも、引っ越しをしていて、帰ってきたのが分かったのは今朝のことだ。

 なによりも、あれだけ見た目が変わっていたのだから……。

可愛い彼女は、まさかの〈ガサツ〉な幼馴染……華恋であった?


会話の節々に感じる、過去の華恋の記憶……。


最後まで読んでいただきありがとうございました!


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