第28話 華恋とGW スポワイ⑤
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俺たちは、『バレーボール』をするために、コートへ向かっていた。
チームAが西川、華恋、天音さん。
チームBは館山さん、大和に俺という分け方。
特に、ホラーゲームで怖い思いをした西川は、館山さんを恨んでいるようだ。
「よーし、じゃあ10点マッチね!」
先に10点を取った方の勝ち。
勝った方が、次に遊ぶものを選べる権利を得る。
「じゃあ、最初のサーブはAチームに譲るよ」
館山さんがAチームへサーブ権を譲った。
「よし! じゃあ白原さんからお願い」
「え!? 私からでいいの?」
最初のサーブは、Aチームの華恋から。
彼女は、西川からボールを受け取った。
「じゃあ、みんな行くよー!」
「よし来い!」
華恋の声がけに、大和が元気に反応した。
華恋が放ったサーブは、綺麗な放物線を描いて、俺たちのコートへ……。
「バザン」
届きはせずに、ネットに当たった。
「華恋ー? ネットに当たってるよー?」
館山さんは、華恋に向かってニヤリと笑う。
「し、仕方ないでしょ? 難しいんだから」
確かに、体育でバレーボールの授業があると、初心者は、サーブが決まらないシーンをよく見る。
俺からすると、サーブは得意だったから不思議に見ていたのだが……。
すると、ちょっと落ち込む華恋に、西川が近づき、アドバイスを送った。
「ここはね……こうして……」
「ふむふむ……こんな感じ?」
「そう! それでいいよ!」
何か2人の姿が憎たらしい……。
アドバイスなら、俺の方が絶対に上手く送れるのに……。
2人の姿をジーッと見ていると……。
「あの2人、仲良さそうだね」
館山さんが俺の後ろに回り、耳元でボソッと呟いた。
「なっ……ま、まぁ西川は、バレー部だからね。アドバイスを送るのは当然だし、俺も同じ立場なら、そうしてるよ!」
俺は、いつもより口数が多くなり、早口になっていることに気づいた。
「このままだと、華恋取られちゃうねぇ」
「そんなの気にしないけど……!」
そう言いながら、ふと華恋たちの方を見ると、さっきよりも距離が近くなっていた。
そして、あろうことか華恋の肩や腕に自然と手を添えて、アドバイスを送っている。
俺は咄嗟に、「ほ、ほら!早くしないと時間なくなっちゃうから!」と間に割って入り、2人に声をかけて引き離した。
「あーそうだね! 白原さん、もう1回サーブ打ってみな」
西川は笑顔で、サーブを華恋に打たせようとする。
勝負はしているけど、実際の試合じゃないし、打ちたい人が打てばいいか。
「行くよー!」
華恋は元気に掛け声を言い、再びサーブを打った。
すると、さっきよりも高く、綺麗な放物線を描いた……。
「ナイスサーブです!」
そう言い、大和は平然とレシーブを返した。
西川のアドバイスは上手だったようだ。
「おっけぃー!」
レシーブで上がった球の落下点にスッと入り、俺がトスを上げた。
――久々だったけど、いい感触……懐かしい!
そして、ふわりと上がった球に館山さんが上手く合わせて、スパイクを打った。
「バスン!」
「館山さん、上手い!」
「えっへん! 私はスポーツはなんでも、広く浅く出来るんだよ!」
俺は、未経験者とは思えない館山さんのスパイクを思わず褒めた。
その言葉が嬉しかったのか、館山さんは胸に拳を当てて喜んでいる。
「本当に上手いですよ、館山さん! ジャンプのタイミングも完璧でしたし、バネがありますね! そして、優作先生も久々とは思えないほどのナイスセットです!」
大和は、俺と館山さんを的確に褒めてくれる。
彼とスポーツをしたら、ムードはすごく良くなりそうで、自身のパフォーマンス以上の実力を出せそうに思ってしまう。
「じゃあ、行きますよ!」
俺たちが褒め合っていると、相手コートから天音さんの声が聞こえた。
「天音さん?」
「私は小さい頃に、お母さんのママさんバレーを見ていました。そこで、私もバレーを少しやりました。見せてあげましょう!」
饒舌に話す天音さん。
今日一番驚いたことは、天音さんの性格とキャラだった。
こんなに喋ったり、冗談を言ったり、パンチングマシーンを無心でやったり……なんなら一番キャラが濃いかもしれない。
「そぉーれ!」
元気よく天音さんは、サーブを打った。
しかし……。
「コロコロ……」
天音さんが打ったサーブは、無情にもコート内をコロコロと転がった。
「あ、天音さん……」
「い、今のはたまたま失敗しただけですっ!」
「天音さん……ここはこうやると良いよ……」
西川は華恋の時と同じようにアドバイスを送る。
心なしか、天音さんの顔は赤くなっていた。
俺たちは、バレーボールを楽しんだ。
最初こそは、西川も館山さんもお互い煽り合ったりしていたが、気がついたらチームなんて関係なく、みんなでワイワイと楽しんだ。
俺も、久々にやるバレーがすごく楽しかった。
ひたむきにボールを追いかけ、打っていたあの頃を思い出すことが出来た。
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