第16話 お隣の同級生
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学校が始まって1週間が経過した。
土日は、新生活の疲労からか、風邪を引いて寝込んでしまった。
週末は、久々にゆっくりゲームができると思ったのに……。
一方の学校生活はというと……。
「それで優作は、バレーをやめてから、歴史にハマって、日本史世界史に関しては、ずっと学年のトップ10に入ってたんだよ」
西川は、俺が歴史好きなことだけでなく、俺がどういう人間、趣味や好みの女性などを、大和に紹介している。
「だから、こないだの日本史の授業、ボケーっとしてたんだね!」
「そ、それは……わけがあって」
その時は、華恋を観察していただなんて、変態のようなことはとても言えない。
……というような会話を、ずっと繰り返していた。
俺は、大和ともすっかり仲良くなり、西川も交えて、一緒に昼ご飯を食べたり、他愛もない話を繰り返していた。
そして、大和にも人を惹きつける能力があるのか、話す人みんなと次々に仲良くなっていく。
俺にも、その能力を少し……ほんの少しだけ分けて欲しいと思った。
華恋とはどうなっているかというと……。
休み時間、俺が西川と大和と話していると、華恋の席から視線を「ジー」っと感じる。
この視線は、先週末からのことで、ずっと感じていた。
だが、俺は褒めた件もあり、話しかけづらい。
というか、俺から学校で話しかけるのは、ハードルが高い。
華恋も、褒められた件から、俺に話しかけにくいのかもしれない。
そんなこともあり、お互い話しかける機会を失っており、何かキッカケがないかと思っていた。
そのように思っていた時であった……。
「あのー緑ヶ丘くん?」
「え!?」
俺は、席が隣の女子に話しかけられた。
入学して1週間……。
その間に、一回も話しかけられたことはないため、突然の出来事でびっくりした。
そして、この〈館山 葵〉さんは、華恋とも仲良く、よく机を囲んで話している。
館山さんは、紺色の髪でロングヘア。
自己紹介や学校で話している姿を見る限り、少しギャルのような雰囲気を感じた。
「あんたって、華恋の幼馴染だよね?」
「そ、そうだけど……」
俺は自然と、華恋の席に視線を向けるが、姿は見えない。
それよりも、「あんた」と呼ばれたのは初めての経験だ。
「華恋ならお手洗いだよ?」
館山さんは身を乗り出した。
華恋の空席を探していた俺の視線は、自然と目の前の館山さんに向いていた。
俺は、館山さんの言葉に「へぇー」と掠れた声で相槌を打ち、軽くウンウンと頷いた。
「そ、それで館山さんは、俺に何か用?」
入学して1週間。
席は隣だったが、最初に軽く自己紹介をする程度で、全く話したことはない。
そのため、急に話しかけられたことに疑問を持っていた。
「何か用がないと話しかけちゃ駄目なのー?」
――え!?
た、確かに……クラスメイトに話しかける理由なんていらないか。
「いや、席隣でしょ? これから授業とかでも話すことあると思うし、華恋の幼馴染なんだから、どんな人か話してみたいなーって思ったんよ」
「う、うん……」
確かに、話す機会は授業とかでも多くなるか。
それよりも、華恋が俺に纏わる話を周りにしているなんて、全くありえないことだと思っていた。
「ねぇ、華恋ちゃんの昔話とか教えてー?」
館山さんは、華恋の昔話に興味があるのか、俺に期待の視線を送ってくる。
グイグイと来る彼女に、終始押され気味だ。
――華恋の昔話か……。
そんなの、たくさん思い出はあるが……。
何一つ、今の華恋の姿と一致しない思い出ばかりだ。
このことを話して、館山さんが華恋にそのエピソードを話してしまったらと想像すると……。
――口が裂けても、言えない。
「む、昔話か……」
「そう! 昔から、あんなに可愛かったのかなーって気になったんよ」
館山さんと話すきっかけは、「席隣だから」や「どんな人か話してみたい」と言っていたが、結局は華恋のことに興味があるだけだろう。
そんなことを考えていたら……。
「ちょっと葵? 優作と何を話しているの?」
俺の背後から、聞きなれた声が降ってきた。
振り返ると、そこにはお手洗いから帰ってきた華恋が立っていた。
「あぁ華恋! おかえりー。実はさぁ、緑ヶ丘くんとお近づきになろうかなと思って」
「あら、そうなのね……。優作は人見知りだから、あまりグイグイといかないであげてね」
華恋は、透き通った完璧な笑顔を浮かべている。
ただ、何か様子がおかしい……。
—―気のせいなのか、目が完全に笑ってはいない……。
昔、華恋の家に遊びに行き、お菓子を勝手に食べて怒られたときと同じ目をしていた。
「だって、華恋の友達だよ……? どんな人か気になるじゃん?」
館山さんがニヤニヤしながらそう言った。
そして、館山さんは俺の耳元に来て、こう囁いた……。
「華恋と緑ヶ丘くんがただの友達かを確認もしないとね……」
そう言われると、俺の頭の中は真っ白になった。
俺は、あからさまに動揺をしてしまい、目が泳いでしまった。
「きょ、距離が近いよ……! 葵、ちょっと何言ったの!?」
「何も言っていないよー! ねぇ?」
館山さんは、俺の方を見て、ニコっと笑みを向けた。
「……変なこと言ってないよね? 優作くん?」
顔を真っ赤にして、必死にお淑やかさを取り繕う華恋。
だが、館山さんはそのポンコツ具合を見逃さなかった。
「ふーん……なるほどねー」
館山さんは、俺と華恋を交互に見ながら、とても楽しそうにニヤニヤと笑っていた。
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