第11話 幼馴染集合! その1
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3人は、俺の部屋に集まった。
1人だと広く感じる部屋も、女の子が2人も入るとやけに狭く感じる。
「じゃあ、うちにはお菓子たくさんあるから、食べたい物あったら、お姉ちゃんに言ってね」
「ありがとうございます」
しばらく、他愛もない話をしていると、お姉ちゃんがお菓子やら飲み物やらを持ってきてくれた。
今まで、そんなに気を使う姿を見たことはない。
それもそのはず、俺は部屋に友達を呼ぶことなんて、滅多にないからだろう。
俺はベッドに腰をかけ、2人は床に置いてある机を囲み、お菓子をモグモグと食べていた。
「それで、2人きりでなんの話をしてたの?」
「……!」
華恋は、せんべいをかじりながら、確信を突くような質問をした。
さっきまでの和やかな空気はどこへやら、その質問を聞いた瞬間、部屋の温度が数度落ちた気がした。
幼馴染の直感というやつか、それとも女の勘というやつか。
「が、学校で友達出来たー? とか?」
美那子は、チョコレートを食べながら、慌てて質問の答えを返した。
「そうそう! 美那子がもう1人友達出来たって……いやー俺なんて、まだ出来てないのに……って話!」
俺も便乗して、その言い訳に合わせた返事をしたわけだが……。
「あれ? さっき2人出来たって言ってなかったっけ?」
――あ、墓穴を掘った……。
ついつい、口が滑ってしまった。
少し恥ずかしくて、顔が熱くなっていることが分かった。
「優作、クラスでは、西川くんとしか話してる姿見たことないもんね……。もしかして、私が見てないところでこっそり友達作ってたの?」
ニヤリとイタズラっぽく笑う華恋。
華恋には、最初からすべてバレていたか……。
同じクラスメイトの前で、『2人友達が出来た』と嘘をついたとしてもバレてしまうのは当然だ。
いっそ今、口が滑ってバレてしまった方が、後になって嘘がバレるより恥ずかしさは半減した気がする。
「優作、あなた変わってないわね」
そう言いながら、美那子は机の上のクッキーを手に取った。
俺は彼女から呆れたような、でもどこか同情の目を向けられた。
「優作は、優作だね……授業中も、私のことずっと見てたし」
「は、はぁ? 何言ってるんだ? 華恋!」
「だって、先生に呼ばれても気づかないくらいの熱視線だったじゃん!」
や、やはり華恋も、その捉え方をしているか……。
目が合ったから、そう思われても仕方がない。
「優作? 華恋の変身に見惚れちゃったのかしら?」
「ち、違うし……。美那子? 揶揄うのはやめてくれ!」
美那子が、ニヤけ顔で俺の方を見てくる。
「私のこと、見惚れちゃったの?」
華恋も便乗して、俺のことを揶揄ってくる。
小悪魔のように微笑むその顔は、ちょっとの上目遣いで俺のことを見つめてくる。
整った顔立ちと、潤んだ瞳……。
学校で男子たちが騒いでいる『誰もが憧れる美少女』の破壊力を、至近距離で直接浴びせられている気分だ。
――こいつ、無意識でその顔をしているのか?
だとしたら、あまりにもタチが悪い。
髪がボサボサで整っていなくても、その余りある可愛さに、俺はまたしても惚れそうになっていた。
「そ、そんなことはない! ありえない!」
だが、俺が見惚れたのは、紛れもない事実である。
どこか、嘘をついている罪悪感を覚えた。
俺は立ち上がり、外を見た。
辺りはすっかり暗くなってきた。
「あら、もうこんな時間……」
「美那子ー! もう帰っちゃうのー?」
華恋は、美那子の元へ抱きついた。
その姿は、小学生の時も見たことがある。
美那子が家に帰ろうとした時、華恋は決まって、彼女を引き留めていた。
そして美那子は、華恋に甘く「あとちょっとだけだよ?」と言いつつ門限を破り、何度か怒られていた。
「私、弟の夜ご飯作らないと……」
「えぇー弟なんて、放っておこうよー!」
「そ、そういうわけにはいかないから……」
華恋に振り回されている美那子と目が合った。
これは紛れもない〈SOS〉の訴え。
「俺の家も、そろそろ両親帰ってくるから」
両親を口実に、「もうお開きの時間だよ」と遠回しに伝えるが……。
「いや、優作はもう帰っていいよ?」
――いや、ここ俺の家だから?
そんなことはお構いなしに、華恋はコロンと美那子の膝に頭を乗せた。
そして、猫のようにすりすりと頬を擦り寄せている。
いわゆる膝枕というやつだ。
「ちょっと、華恋……まだ、お風呂入っていないから……」
「私は気にしないから……」
「あなたが気にしなくても、私が気にするんだけど……」
学校での隙のない完璧な立ち振る舞いはどこに行ったのか。
今、目の前にいるのは、美那子に甘々な昔の華恋のままであった。
学校で見せる隙のない完璧なお淑やかさはどこへやら、気が抜けるとどうしても昔のがさつで甘えん坊な部分が出てしまうらしい。
でも不思議と、その姿を見ていると、俺までなんだかホッとしてしまうのだった。
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