第10話 謎のクラブが誕生 その2
いつもお読みいただきありがとうございます!
俺のベッドに座る美那子……。
俺には、ある疑惑がかけられていた。
『華恋ファンクラブ』
〈フォロワー5人 フォロー1人〉
それもそのはず、このアカウントのユーザー名は『M.Yuu-FunKaren』ととなっている。
『M』は、俺の苗字の緑ヶ丘。
『Yuu』は、俺の名前の優作。
これだけをみると、俺が作ったアカウントに見える。
美那子が疑う理由も納得できるが……。
「じゃあ、本当に優作が作ったわけじゃないのね?」
「あ、当たり前だろ? 第一、華恋がこの街に帰ってきたのを知ったのは、昨日なんだよ?」
「でも、作成日は昨日になってるよ?」
確かに、このアカウントの作成日は〈昨日の日付〉になっているが……。
「俺が『マイスタ』をインストールしたのは、入学の数日前だぞ? そんなアカウント作るかー!」
美那子は目を細めながら、『マイスタ』の画面と俺の顔を交互にジロッと睨んでくる。
「じゃあ、このアカウントは誰が作ったのよ?」
「そ、それは……わからないけど」
俺も美那子も全く心当たりがない。
念のため、俺もそのアカウントを調べ、投稿を確認した。
しかし、まだ華恋の写真はアップされておらず、「ファンクラブを作りました。みんなで盛り上げていきましょう」という、お気持ち表明しか投稿されていない。
美那子は、コホンッと咳払いをした。
「と、とにかく……このアカウントの作成者を私と優作で探しましょう」
「えっ? なんで俺も?」
美那子は、ベッドから立ち上がり、俺に向かって人差し指を突きつけた。
「当然でしょ? 写真を撮らないような健全なファンクラブだったら良いけど……もし、華恋のプライベートの写真とか撮られたら……どうなると思う?」
「……!」
た、確かに……。
もしプライベートの写真を撮られたりでもしたら、華恋の正体がバレてしまうかもしれない。
それに、ストーカーとかそういう事件にもなったら幼馴染として、許すことはできない……。
「華恋はね、変わろうと必死に頑張ってるの! だから応援したいの……」
「う、うーん……」
華恋は必死に頑張っている……。
立ち振る舞いや喋り方、苦手な勉強にも率先して取り組んでいる……まだ3日も経っていないが……。
「わ、わかったよ……幼馴染に危険が迫ってたら、大変だしね」
「ほ、本当に?」
美那子は、パッと花を咲かせたような笑顔を見せた。
そして、携帯の画面をそっと閉じた。
「だけど、次の投稿を待とう」
俺がそう言うと、「え?」と言いながら、美那子は首を傾げた。
「どういう方針でこのアカウントが運営されるかわからないし、一旦は静観しよう」
「わ、わかったわ」
どんな投稿をメインで行うか分からない。
まずは、健全な『ファンクラブ』であることを祈ることとした。
◇
俺と美那子は、作戦会議をして、今後の方針を固めていった。
「ピンポーン」
俺と美那子が、作戦会議を開いていた時、突然鳴った家のチャイム。
宅配とかであれば、急いで出る必要があるが、リビングには姉ちゃんがいるから大丈夫か。
チャイムに出る必要はない……。
そう考えていると……。
「優作ー! 華恋ちゃんだよー!」
階段下から、姉ちゃんの声が俺の部屋まで届いた。
――な、何故このタイミングで!?
チャイムを鳴らした者の正体は、華恋であった。
俺と美那子は、目が合った。
俺も動揺していたが、美那子もあたふたしていた。
「このことは、華恋には内緒にしておこうか……話すと気にしちゃうと思うし」
「そ、そうね」
俺の提案に、美那子は頷いた。
華恋を不安な気持ちにさせないように、『ファンクラブ』のことに関しては、一旦秘密にしておくこととした。
俺と美那子は、華恋を迎え入れるため、慌てて階段を降り、玄関に向かった。
「華恋……どうしたの?」
そこには、髪がややボサボサで、部屋着に着替えていた華恋が、既に玄関に立っていた。
――オフモードになるの、早すぎるだろ……。
「み、美那子もいたの?」
「う、うん……よくここにいるってわかったね」
「家に帰ったら、インターホンに不在が入ってたから確認したら、美那子と優作が写っていたから……何か用事かなって」
華恋は、美那子も家にいることに驚いていた。
そして、華恋は俺たちに向けて、冷たい視線を送った。
「そう、学校にいなかったから、家にいるかなーって……華恋と話したかったから、優作と一緒に家まで来たんだ!」
「一緒にね……2人は随分仲良いみたいだね……」
華恋は、玄関の壁に寄りかかり、小さなため息を吐いた。
彼女からは、ずっと疑いの目をかけられている。
「わ、私たち3人が同じ高校に進学したでしょ? 幼馴染として、また仲良く3人で遊びたいと思ったんだよ……! ねぇ、優作?」
「そ、そうだよ!」
華恋と話したかったのは、美那子だけではあるが、美那子の言葉に慌てて合わせることにした。
「そ、そっか……じゃあ、私も混ぜて!」
「も、もちろん! とりあえず俺の部屋に行こう」
そう言うと、華恋は靴を脱ぎ家に上がった。
靴は揃えようという気持ちは伝わったが、綺麗には並んでいない。
華恋が、2日連続で家に来ることになるとは……。
と、言っても久々の幼馴染3人集合。
どこか、懐かしさを感じる俺であった。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし「続きが気になる!」「面白い!」と思っていただけたら、下の【☆☆☆☆☆】から評価やブックマーク、感想などをいただけると、執筆の励みになります!




