陽の巻 次の日
目覚めると同時に、蒼ざめた。
まずい。
まずいまずいまずいまずい。
おそるおそる隣を見る。
白い肩をむき出しにした萌が、俺の横ですやすやと寝息を立てている。
俺は……俺は………――やってしまった!!!
既に日が昇ってるらしく、外は明るかった。
え? え? え? え?
どうしようどうしようどうしよう。
どうしたらいいんだ。
頼む頼む誰でもいいから誰かこれは悪い夢だと言ってくれ。
俺が半身を起こすと、萌が小さな声を立てた。
廊下から、遠慮がちに声をかけられる。
「――お目覚めでございますか?」
蔦だ。
俺は飛び起きた。
このまま発狂してしまいそうだ。
「いっ――一益……っ!」
切羽詰まって低く呼ぶと、即座に、隣の部屋から返答があった。
「はっ、ここにおります」
俺は大至急、自分の夜着を拾い上げ、適当に羽織ると、隣の部屋へ駆けこんだ。
一益は、既に俺の着物を用意していた。
放心状態の俺は、糸の切れた人形のように、ただそこに突っ立っている。
一益は、無言で俺に着物を着せていく。
「――なあ、一益……」
「なんでしょうか」
「俺は――……」
その後が続かない。
俺は押し黙った。
「――さあ、終わったぜ」
俺の着物を着せ終わった一益が俺の背中を叩いた。
俺は今日初めて、まっすぐに一益を見た。
「……胡蝶に……。
なんて言ったらいいんだ……――」
もう、泣きたい。
一益はちらりと俺を見て、すぐに目を逸らした。
低くつぶやく。
「――胡蝶様ならずっと、書斎でお前を待っている」
………。
………!
――……なんだって……!?




