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〜斯波 義銀〜
何時間もかけて準備した割には、会見はほんの数十秒で終わった。
大勢の兵士と家来たちを引き連れて会場へ行き、お互い、ひと言も発することなく、本当にただ相手を「見た」だけだ。
――何だったんだ、いったい……。
緊張していただけに、拍子抜けした。全身に、妙な疲労感だけが残る。
だけど、この会見は、織口和颯にとっては重要な意味を持つという。
まあ、今までさんざん世話になったのも事実だし、仕方ないか、とも思う。
三河での会見を終え、身を寄せている那古野の寺にたどりついた時には、もうすっかり遅くなり、くたびれ果てていた。
義銀は輿から降りる。
地面に膝をついた織口和颯が、頭を下げた。
「斯波義銀様におかれましては、長旅お疲れ様でございました。
それではわたくしは、ここで失礼いたします」
「いや、織口和颯殿、しばし待たれよ」
牛一が声を上げた。
義銀と牛一の目が合う。
牛一が頷いた。
義銀は意を決して話し始める。
のどがカラカラだ。でも。
すでに何度も、牛一と練習してきた通りにやればいい。
「相談したいことが――あるのだが……」




