表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の妻は忍(しのび)ですか?  ―― そして、次に殺される男は俺ですかっ!?  作者: ひの
21、北に岩倉・東に今川

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
275/333

5時間後・正眼寺の藪

「みんな、帰るぞ。撤収だ!

 作業はここまで! 全員、荷物をまとめろ!!」

 

 大声で叫んでも、皆の動きは鈍い。


「まだまだ日はありますよ」

「ダメだ。もう撤収だと言っているだろう」

「もうちょっと、ほんのもうちょっとだけ。ね、いいでしょう? 和颯様!」

「この前、岩倉に放火されて、家が焼けたんです。家を直す資材が必要なんですって」

「織口家の力が弱まっているから、我々も資材集めには苦労しているんですよ」

「よその村との争いになったら、勢いの弱いこっちが負けますからね」

 ――うぐっ。

 ごめん、みんな。苦労をかけて……。


「だけど!

 それとこれとは別の話なんだ。

 早く撤収しないと――」


「和颯さまっ!

 大変です!!

 北東から敵が来ます!」


 ほらぁ――っ!!


「早く逃げるぞ! 急げ!」


 たちまち目の前が、大混乱に陥る。

「あああ~! ちょっと待ってください!」

「ダメです! 間に合いません!」


「和颯様、敵をご覧ください!」

「大変です!

 ものすごい大軍です!」

「あの数はおそらく――3,000人!!」


 ――なんですとぉぉっ!!?



 ぎゃああ~~っ!

 どうするんだ!

 

 敵はものすごい速さでこっちに向かってくる。


「急げ! 逃げるぞ!」

「あ~! 待ってください!」

 みんな、一抱えでも多くの柴を持ち帰ろうと大騒ぎだ。

「そんなのは良いから。

 抱えきれない荷物は置いて――」

「なりません!」

 一喝したのは貞じいだった。


「敵は既に目の前に迫っています。

 騎馬の兵士も多く、今から大急ぎで逃げても、すぐに追いつかれてしまいます。


 戦いでは、逃げる側より追う側の方が圧倒的に有利。

 しかも、我々に武器はなく、荷物が多い。女子供も大勢います。

 

 今、敵に背を向けて逃げてはいけません。

 大惨事になります」


「だけどっ!」


「幸い、我々がいるのは寺のある高台。

 地の利は我々にあります。

 我々から敵方はよく見えますが、敵方から我々はよく見えません」


「皆、今刈った竹の先を斜めに切って、竹槍を作れ!」

 一益が叫んだ。


「こちらも大軍だと思わせるんだ!

 そうすれば、敵もうかつに手を出せねぇ!

 竹槍は、右手と左手で一本づつ持つんだぞ!

 人数を水増して見せる作戦だ!


 女と子供も参加しろ。ただし、ポジションは最後尾!

 女子供であることは絶対にバレるな!」


 一益は俺の耳元で声を潜めた。

「和颯――。お前は近くの村へ走れ。

 誰でもいいから、連れてこい。

 とにかく人数をそろえるぞ!」


「分かった」

 俺は頷き、馬に跨った。


 そうだ、胡蝶。

 先に胡蝶を逃がさないと――。


 俺は周りを見回して、胡蝶を探そうと――。


 胡蝶はもう、ここにはいなかった。



 俺は目を凝らす。

 はるかかなたに、清州の方角へと疾走していく馬が一騎、見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ