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俺の妻は忍(しのび)ですか?  ―― そして、次に殺される男は俺ですかっ!?  作者: ひの
21、北に岩倉・東に今川

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〜陽の巻〜

 刈り取った藪は各自で持ち帰っていい、荷車も貸してやる、と言ったら、わらわらと町人たちが集まってきた。全員、鎌や縄を持っている。男もいるが、女もいる。

 俺も鎧兜をつけて参加する。

 うんうん、竹も草も生活必需品だ。家の補修や火付けにいくらあっても困らないもんな。みんな、バッチリ刈り取って持ち帰ってくれ。


 俺は、彼らの護衛のために、集まった兵士たちを見る。


 うっわぁ……。

 分かってたけど……。

 内戦なんて、やるもんじゃないな。


 兵士の数が少ない。

 少し前まで、700人もいたのに。

 今集めることができるのは、ほとんどが徒歩の、新入りの兵士ばかりだ。

 馬に乗って参加できたのはたった83人だった。しかも、その中の一人は、見覚えのない小柄な少年だった。一丁前に鎧兜をつけている。誰だろうと思ってよく見ると、武家の息子のふりをした胡蝶だった。


 俺は目を剥いた。


「胡蝶っ! 何やってるんだ。お前は戻れ」

 馬を寄せ、低く囁く。


 胡蝶はちらりとこちらを見ると、すぐに前を向いた。

「――そうすると、騎馬の兵士が82人になりますが?」

 ――うぐっ!


「だけど、お前は女で――」


「問題ありません。

 戦闘員として、役立たずであることは承知しております。

 ですが、戦闘にはならないのでしょう?

 頭数を増やすだけであれば、わたくしでも十分です」


 くううううぅぅぅ。

 情けない。だが、その通りだ。


「危なくなったら、逃げろ。

 いや、危なくなる前に、逃げろ。

 戦闘は、禁止。

 戦うな。逃げるんだ。

 守れるか?

 これは――命令だ」


 胡蝶はまっすぐにこちらを向いて、頭を下げた。

「――御意」


※※※


 清州から竜眼寺まで、歩いて2時間もかからない。

 大集団に膨れ上がった俺たちは、わっと竜眼寺の藪に群がった。

 


 俺たちが藪を刈り始めたのを見て、竜眼寺から数名の男が逃げ出すのが見えた。

 走り去った方角は――北東。岩倉家の屋敷への伝令か。


 岩倉から竜眼寺までは10kmちょっと。

 歩いて2時間半だ。

 今から岩倉に戻り、兵士を集め、戻ってくるとしたら――五時間半以上はかかるはずだ。


 よし。それまでに撤収するぞ!

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