〜陽の巻〜
刈り取った藪は各自で持ち帰っていい、荷車も貸してやる、と言ったら、わらわらと町人たちが集まってきた。全員、鎌や縄を持っている。男もいるが、女もいる。
俺も鎧兜をつけて参加する。
うんうん、竹も草も生活必需品だ。家の補修や火付けにいくらあっても困らないもんな。みんな、バッチリ刈り取って持ち帰ってくれ。
俺は、彼らの護衛のために、集まった兵士たちを見る。
うっわぁ……。
分かってたけど……。
内戦なんて、やるもんじゃないな。
兵士の数が少ない。
少し前まで、700人もいたのに。
今集めることができるのは、ほとんどが徒歩の、新入りの兵士ばかりだ。
馬に乗って参加できたのはたった83人だった。しかも、その中の一人は、見覚えのない小柄な少年だった。一丁前に鎧兜をつけている。誰だろうと思ってよく見ると、武家の息子のふりをした胡蝶だった。
俺は目を剥いた。
「胡蝶っ! 何やってるんだ。お前は戻れ」
馬を寄せ、低く囁く。
胡蝶はちらりとこちらを見ると、すぐに前を向いた。
「――そうすると、騎馬の兵士が82人になりますが?」
――うぐっ!
「だけど、お前は女で――」
「問題ありません。
戦闘員として、役立たずであることは承知しております。
ですが、戦闘にはならないのでしょう?
頭数を増やすだけであれば、わたくしでも十分です」
くううううぅぅぅ。
情けない。だが、その通りだ。
「危なくなったら、逃げろ。
いや、危なくなる前に、逃げろ。
戦闘は、禁止。
戦うな。逃げるんだ。
守れるか?
これは――命令だ」
胡蝶はまっすぐにこちらを向いて、頭を下げた。
「――御意」
※※※
清州から竜眼寺まで、歩いて2時間もかからない。
大集団に膨れ上がった俺たちは、わっと竜眼寺の藪に群がった。
俺たちが藪を刈り始めたのを見て、竜眼寺から数名の男が逃げ出すのが見えた。
走り去った方角は――北東。岩倉家の屋敷への伝令か。
岩倉から竜眼寺までは10kmちょっと。
歩いて2時間半だ。
今から岩倉に戻り、兵士を集め、戻ってくるとしたら――五時間半以上はかかるはずだ。
よし。それまでに撤収するぞ!




