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~陽の巻~ 廊下
廊下には、萌がいた。
「――和颯兄さま……」
不安そうに俺を見上げる。
萌の後ろには目を伏せた蔦がいて、俺はかつて、火鳥に影のように付き従っていた各務野を思い出す。
俺は立ち止まり、片手で萌の肩を抱いた。
――萌。大きくなったな……。
萌ももう、14歳か。
火鳥が俺のもとに嫁いできたのが14歳だった。
幼い幼いと思っていた萌も、もう立派な大人だ。きっともうすぐ、誰かに嫁ぐ。
でも俺は、萌の嫁入りを見届けることはできないかもしれない。俺は今日、死ぬかもしれないから。
――萌。幸せになれよ。
「和颯兄さま。萌は――萌は――……」
萌の目は真っ赤で、今も必死になって涙が零れるのをこらえているのが分かる。
俺は萌に背中を向けた。
「――行ってくる。
あとの事は。胡蝶に、従え」
俺は萌を廊下に残し、大股で歩き去った。




