日常の終わり
受話器をフックにかけると僕は大きくため息をついた。
「さて……、どうすっかなぁ……」
誰にともなくなくつぶやいて、したくもないここ数日の出来事を思い返す。
僕の置かれた環境はたったの数日でまるで変わってしまったのだ。
「他に好きなひとができたの」
久々に会った彼女は言った。
なんとなくそんなオチだろうな、などと予想していた僕は取り乱したりはしなかったけど、やっぱりショックを受けて呆然としてしまった。
そんな僕が間を繋がないでいると彼女は、相手は年上の社会人でしっかりしていてやさしくてなどと、訊いていないのにつらつらと話しはじめた。
そして最後に颯太くんはやさしいしもっと素敵なひとがいるよとか、当たり障りのないところに着地させると彼女は、席を立った。
「ごめんなさい」
頭を下げた彼女に僕は中途半端な笑顔を向けて、
「元気でね」
とようやくひとことだけ絞りだした。
その後、ぼんやりとした意識のままバイクで帰ろうとした僕は、盛大にクラッシュして骨折、そのまま入院となった。
ヘルメットやライダースジャケットのお陰で頭部は異常なし、上半身は擦過傷程度だったが、足を骨折してしまったせいでバイトにも行けなくなってしまった。
ブルーカラーのバイト先には、いつ復帰するかもわからない人材を待つほど余裕もなくて、などと遠回しに退職を勧められてしまった。
これが僕に起きた数日間の出来事。
「結構などん底だよなぁ……」
大きなため息が、またひとつ。
少女はそんな僕の前にあらわれた。




