プロローグ
初めての投稿で、読みにくい部分もあるかもしれません。
大まかなあらすじ以外まだ思案中ですので、気長に付き合っていただけたらと思います。
蒼さが、空気や風さえも染める。
荘厳な静寂。死の沈黙。残酷なまでの無慈悲。この空は、全てを受け入れる限りない許容と、全てを拒絶する非情さを同時に感じさせる。自発的に動くものは風以外に存在しない。命の気配すら葬られている。
少女は沈黙し、遥か彼方まで続く空を見上げている。僕はそのすこし後ろから、蒼さを纏った彼女の頼りない輪郭を見守っている。
吹き続けていた風が一瞬、凪いだ。薄い空気が緊張する。何かを伝えようとしている。その何かを、聞いたような気がした瞬間、また風。
細く冷たい風が綾なす旋律が、荒涼とした高地に存在する唯一の音楽。心の深淵に吹き込み、記憶までも奪い去ってゆくかのよう。少女が振り返るとき、彼女は僕を憶えているだろうか。不安になり、問いかけようと口を開く。しかし思いは言葉を紡がない。言葉にならなかった問いは薄い空気に溶け、その空気を乾燥した風が運び去った。砂埃が舞い上がる。少女の身体も砂が崩れてゆくように消えてしまう錯覚を覚える。
やがて振り向いた少女は穏やかな、哀しそうにも見える微笑みを向けた。それに応えて僕も微笑む。僕のそれは安堵。言葉は発しない。
少女はそっと滑りこませるように僕の手を握り、ふたりは砂礫の乾いた音をさせながらバスに乗り込んだ。
浅い呼吸と、冷たくなった手。
頂を白く染めた険しい山脈が、視界の果てを微かに移動する。水平線の霞みに消える帆船のように。ここは蒼穹という海に浮かぶ辺境の島。荒涼とした砂礫の孤島。
悪路を進むバスは絶え間なく揺れ続ける。
体温が溶け合って、繋いだ手が少しずつ温かくなる。
気障ったらしくはじめましたが、最初だけです。
次からは軽い文でいきます……




