闇に染まる
どんなに手を伸ばしても助からないってわかっていても必死に手を伸ばす
刺された所からの出血と水の冷たさで体温が奪われていきドンドン意識がなくなっていく
私はただ……愛が知りたかった 家族から愛されたかった たった一度いいから 人の温もりが欲しかった願う事すら罪だったのかな…
意識を手放そうとしたその時
───まだ諦めるな…!!────
頭の中に知らない女性の声が響いて聞こえてくる ドボンと海の中に落ちてくる音が聞こえ手を引きずられ冷たい水の中から誰かから抱きしめられでていく
「カハ…!ゲホ…ゲホ…!だ…だれ……」
抱きしめれたまま新鮮な空気が肺に流れてくるのを感じながら水を吐き出し薄っすらと目を開ける まずい…意識が朦朧としてくる……
意識が朦朧としぼんやりと見える姿から優しい声が聞こえてくる
「…妾は…黒木アリア…黒の預言者…っと今は呼ばれている…生き残りの色使いの妖じゃ…もう大丈夫 妾が助けてあげるからの…そなたを」
意識が薄れていく中見えてきた優しく笑う真っ白な雪みたいな女性
まるで神様みたい…私を助ける…?
あぁ…最期に神様が私を迎えにきてくれたのかな
死を覚悟しながら冷たいけど僅かに暖かい温もりを感じながら抱きしめられたまま意識を手放した
「…おい!?…ッチ!いかんな…出血量と冷たさにやられておるの…急がなければ…!!」
燐を抱きしめたまま勢いよく高くジャンプし時雨がいる崖上に着地する
「…!なぜ燐がここに…!貴様はだれだ!燐は俺のものだ!!」
突如現れた燐を抱き抱えた真っ白な女性の登場に驚きが隠せず剣を構えジリジリと迫っていく
「……お前の愛は汚い 反吐がでる 一方的な押し付けの愛でこの子を殺した…妾は見ていた だからこの子を助けたのじゃ…月神よ…聞いたことあるじゃろうけど妾は5000年前に滅びたと言われる色使いの妖じゃ」
燐を抱き抱えたまま目の前で剣を構える時雨を見下すように見て淡々と話しクルっと向きを変え歩き出そうとする
「色使いの妖だと…!?バカな…!生き残りがいたのか!?そんな事より燐を返せ!!俺はやり直すんだよ!燐とともに!」
剣をぐいっとアリアの方に向かって突き出しギャンギャンと喚くように言う
そんな時雨を哀れむように見て静かに呟くように言う
「同意を求めず 自分がやりたいようにやり直すのが貴様の愛か 貴様は最愛の人を殺して心が痛まないのか?悲しくないのか?余程狂っておるの 返さぬ この子は今死にかけの状態じゃ 妾が助ける 貴様と話す時間すら惜しいわ」
それだけを言うとフッと目の前から姿を消す
「違う!待て 待てよ!!!俺は…俺は…!!ただ…愛していたんだよ…!ずっと…!!…そう 愛したかった…こんなはずじゃ…なかったんだ……」
ただ愛したかった あの時一目惚れした時からずっとずっと愛していた 殺そうとしてから気づいた嘘偽りのない気持ちに自覚した
あの時目の前で血だらけで動かない燐を見てから変わってしまった 涙を零しながらその場に座り込む
願わくばまた昔みたいに純粋に君を愛したかった だけどもうそれは叶わない 自分で壊してしまった
だから
「君を逃がさない ずっとずっと探し続けて次また会えたら次こそ…必ず…」
涙を拭い取るとニタァと笑みを浮かべる
間違えた愛し方をしてしまった月の神が闇に堕ちてゆく ゆっくりと立ち上がり自分の国へと帰って行く その帰り道に運命的な出会いがあるとも知らずに……
その出会いが彼を変えるまでは闇に染まった狂愛を彼はゆっくりと育んでいくだろう…




