すれ違った心は深海に落ちる
耳が痛くなる 聞きたくない声が聞こえてくる
私だって出来るなら人を殺したくない
バケモノ 人殺し 死神聴きたくない聴きたくない
人を殺す時の叫びに耳を塞ぎたくなる ごめんなさい私を許して許して……
フラフラと次のターゲットを探しながら歩いている 彼女はあの淡い光の中で本来の姿と能力を手に入れた 氷と能力乗っ取り 空間移動…チート能力ばかりだった 能力乗っ取りを使うと相手の能力を乗っ取る事が出来て相手は能力が使えなくなる
それを利用して次々と殺していった 数はもうわからないほどに
「………願いを叶えたい…私は……」
痛む心を無理に押さえつけ前をただ向く それが私の宿命だから だからだからだからだから……
〝感情に飲まれたらいけない 心を氷に 冷たく 感情を消して〟
「……燐!!燐だよな!?」
後ろから懐かしい声がしてバッと振り返る
振り向いた先には……
「な…ん…で…?貴方がここに…?」
声が震える なぜ貴方がここに?時雨様……
体が成長しているから気づかれないと思っていた なのに一発で私だと気づいた
困惑している燐をよそに時雨は燐へと近づき愛おしそうに頬を撫でる
「燐 会いたかった…俺は燐が死んだと思っていなかったからずっーと探していたんだ…ようやくようやく見つけた…今噂になっている死神は燐だろ?もうそんなことしなくていい
俺と永遠に一緒にいよう…さぁ 国へ帰ろう」
頰を撫でる手を止め優しく抱きしめる
初めて恋をした大切な大切な俺だけの婚約者
もうカルデァル国なんかに引き渡さない
永遠に月の都に……〝監禁してやる〟
ニタァと昔とは違う狂気の笑みを浮かべる
「…!?か…帰りません…!!私は…!私は…!!やるべきことがあるんです…!!時雨様!離してください!!」
昔とは違う笑みに気づき顔が怯えた顔になる力の限り突き飛ばす 突き飛ばし距離を開け逃げる体制を取ろうとする
「…なんで?なんで俺の愛を受け入れてくれないんだ?なんで俺を突き飛ばした?なんでこんなにも愛しているのに なぁ…なんでだよ!!」
突き飛ばされ体がグラっと傾くが倒れず顔を俯きブツブツといいギロっと睨むように燐を見て距離を詰めようとする
「ヒィ…!?!?」
恐怖のあまり体が言う事が聞かず能力を使わず涙目になりながらがむしゃらに走り始める
早く早く逃げないと 怖い怖い!!昔みたいな時雨様じゃない…!!
ただ走るもう辛くて怖い想いは嫌だから
もうずっとずっと痛かった体も心も全てが
だけど私は願いを叶えたい ずっとずっとずっと欲しくて知りたかった永遠の愛を
頭の中で考えながらがむしゃらに随分と遠くに走っていく
「ハァ…ハァ…この先……行き止まり…海…」
いつのまにかたどり着いたのは崖の上だった真下は海で落ちたらとてもじゃないが助かる道はないだろう
「ようやく追いついた……燐 俺の手を取って?俺なら燐を幸せにできるよ?…ほら…」
同じ道を走ったのにもかかわらず息切れをしておらず追い詰めるように一歩ずつ一歩ずつ燐に近寄りながら手を差し伸べる
「時雨様……私の幸せは…私だけしか…わからないのです……私はやるべきことが…先程いいましたがあるんです……」
息を整えながら時雨が近寄るたびにギリギリまで下がっていく
私の幸せはただ一つ 〝永遠の愛を 家族からの愛が…日常の生活が送りたい〟
「……燐 俺は貴方が成長した姿を一発でみあてた なぜかって?ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと見ていたから…♪俺の国に帰って永遠に一緒に暮らそう?次はニガサナイ」
狂気じみた笑みがさらに濃くなる あの時燐が血だらけで倒れた所を見てから時雨は心が愛が歪んだ 誰かに殺されるぐらいなら…いっそ………
「時雨様……私は………っ…!?!?」
怯えながらも前を時雨を見ながら話そうとするが身体中に鈍い痛みが広がっていく
痛みが広がる場所を目線を下げ見ると心臓に刀が深く刺さっている 口から〝白い血〟を吐き出し刺された部分からも雪みたいな白い血が流れ出してくる 体がグラつくが抱きとめられる
「俺の手を取らないなら……死んでくれよ
あの世でやり直そう??もう一度やり直して
〝来世〟で幸せになろう??な?」
アハハハハハハ!!と笑いながら更に深く刺し燐の唇に軽くキスをする
「……っ……!!」
身体中が痛い 気持ち悪い 離して離してよ
私はまだ死ぬわけにはいかないんです
ねぇ どうして私は…死なないといけないんですか 瞳から一筋の涙が溢れてくる
次の瞬間 体が浮遊感に包まれていく 涙で歪む視界の中 崖の上から時雨の顔が見え すぐに冷たい水が身体を包み込み堕ちてゆく
あぁ…海に落とされたんですね
深い深い底が見えない海に落ちながら力の限り必死に手を伸ばす
───だれか 助けて……────
声にならない声は泡に消えてゆく
助けて 助けて 私は私はまだ…生きたいよ……




