ep.048 am02:09 北海道札幌市中央区 ニュークラブCoCo
am02:09 北海道札幌市中央区 ニュークラブCoCo
「何じゃのぅ?」
陣悟郎はギロリと目を剥き尋ねた。
「先程のは、もしや鷲尾・・・」
言いかけて止める。
忍びに余計な詮索は無用。
自身で思い出したのだ。
只々、与えられた仕事を熟せばよい。
必要ない情報を知り、温情が生まれ、そして、その先にあるのは“裏切り”、“苦悩”、確実な“死”。
「いいえ、気になさらずに・・・、では、小樽で」
皐月は頭を下げ、静かに立ち上がる。
陣悟郎に背を向けた時だった。
「フッ。基本に忠実じゃの、烏丸の嬢ちゃんは」
陣悟郎が漏らす。
皐月が振り返ると、陣悟郎はニィと笑い、
「覚えておくがいい。任務を遂行するのに、余計な情報は身を滅ぼすが。逆に情報にずっぷり身を沈めると、今度はその情報がお前さんを助ける事もあるんじゃよ。まぁ、稀じゃがな。ふぉっふぉっ」
「ご教授ありがとうございます」
皐月はサングラスを掛け、深々と頭を下げると陣悟郎の前を後にした。
皐月がエレベーターを降りビルから出ると、車の車庫入れを頼んだ店のキャッチが皐月に近付いて来て、
「お客さん、悪い事は言わないから、車ん所に行くのは後少ししてからの方がいい。なんだか物騒な連中が、誰かを探して駐車場の周りをウロウロしてたから」
皐月に耳打ちした。
皐月は妖しく笑うと、
「情報ありがとう。助かったわ」
わざと女言葉で喋り、キャッチを驚かせる。
そのままキャッチの頬に軽くキスをすると、にっこり微笑み、
「今のはサービス。でも、私の事は忘れてね」
足速に駐車場に向かった。
残されたキャッチはその場にへたり込み、
「女か、スゲー美人やった。あんないい女、ススキノには中々居ないよな・・・。はぁ・・・」
歩きながら皐月は理由を探す。
《恐らく私の事探している。でも、何故?まさか、チンピラを潰した報復?いいわ、何れにせよ面白いじゃない》
皐月は駐車場の手前にあるビルの影に隠れ、様子を伺う。
駐車場の中は薄暗く、完全な人数を把握するのは難しそうだ。
《ここからじゃ確認出来るのは、4人か・・・。だったら・・・》
皐月は隠れているビルの上をチラリと見る。
ビルは三階建てで、簡単に登れそうだ。
尤も、それは非常階段でもあればの話なのだが・・・。




